産科医不足を補うため、伊那市は29日、市内でお産を扱う助産所への補助制度を設けると発表した。補助金750万円を盛った補正予算案を6月定例市議会に提案する。同市の伊那中央病院に過度に集中している現状を緩和する狙いがある。助産所への補助制度は県内で初めてという。
上伊那地域では、お産を年500件扱っていた駒ケ根市の昭和伊南総合病院が産科医不足で今年3月に休止。このため、年1000件扱っていた伊那中央病院が今年度1200件を想定して対応している。
対象は助産所の建築・改修費と備品購入費で、250万円を上限に費用の半額を補助する。期間は5年間で、1カ所あたり上限額に達するまで数回に分けて申請できる。
市によると、市内には近く開業する1カ所を含め3カ所の助産所があり、補正予算案にはこの3カ所分を計上した。備品では、価格が高額な超音波診断装置や分娩(ぶんべん)監視装置への補助を想定している。
小坂樫男市長は「伊那中央の産科医がハードな勤務を強いられている。助産所に年100件程度を扱ってもらうことで、少しでも緩和させたい」と話した。【武田博仁】
毎日新聞 2008年5月30日 地方版