諏訪市の諏訪赤十字病院救命救急センターで昨年度に受け入れた救急患者のうち、緊急度の低い軽症の患者が20%に上っていることが29日、同病院のまとめで分かった。昨年6月に諏訪地区小児夜間急病センターが開設されたことでやや減少したものの、依然として5人に1人の割合。より高度な救急医療を期待される同センターにとっては本来の役割ではない部分で医師などの負担が増えている現状がある。住民側の理解とともに、成人の夜間急病センターの設置も将来的な課題とされた。
同病院によると、昨年度の救急患者数は1万6486人。重症度別割合では、軽症(診察のみ、または投薬のみの外来患者)が21%、中等症(点滴、吸入、検査などの外来患者)が51%、重症(入院や緊急手術、死亡者を含む)が28%だった。軽症は前年度より10%減少。投薬のみのケースが多かったという小児の患者が小児夜間急病センターに移ったことが主な要因とされた。
同日の経営審議会(会長・山田勝文諏訪市長)で小口寿夫院長は「症状が軽い人でも夜中に来ると、みんな起きて対応しないといけない。医師、看護師が疲弊してしまう」と指摘。成人の1次救急についても「広域でやっていただければ非常に助かる」と述べた。
患者の半数以上を占める諏訪市では昨年7月、開業医の高齢化などを理由に在宅当番医が日曜・祝日のみに縮小された。市医師会の小松道俊会長も「1次救急の受け皿ができれば住民としても安心」と訴えた。
これに対し、山田市長(諏訪広域連合長)は小児夜間急病センターが予想以上の患者数で診療報酬のみで賄えている現状を認めつつも「もう少し様子を見たい」と述べるにとどまった。
諏訪医療圏の救急医療は、在宅当番医による1次、病院群輪番制に基づく2次、救命救急センターの3次で構成され、同センターは1、2次医療機関との連携のもと、重症や複数の診療領域にわたる救急患者を24時間体制で受け入れ、高度な救急医療を総合的に提供する医療機関と位置付けられている。
同病院は「軽症の患者が減ったのは小児の部分が減っただけと考えられる。引き続き地域住民への啓発が必要」と話している。