障害者雇用、すそ野広がる――カフェ、リサイクル、農業…「特例子会社」多様に

 
              
HOME / ニュース / 記事
 

障害者雇用、すそ野広がる――カフェ、リサイクル、農業…「特例子会社」多様に

2008/05/30配信
 関西で障害者雇用を目的に企業が設立する「特例子会社」の事業が多様化している。ワールド子会社は飲食事業に参入。コクヨ子会社は農業、ノーリツ子会社は廃棄給湯器のリサイクル事業を開始した。これまでは清掃や印刷などの業務が多かったが、事業領域を広げることで雇用拡大を図るとともに、これまで進んでいなかった知的・精神障害者らの受け入れにもつなげる。

お昼時の「アンダーレ・ア・ピエディ」。周辺企業の人たちでにぎわう(神戸市)
お昼時の「アンダーレ・ア・ピエディ」。周辺企業の人たちでにぎわう(神戸市)

 ワールドの特例子会社、ワールドビジネスサポート(神戸市)はこのほどワールド本社1階にカフェ「アンダーレ・ア・ピエディ」をオープンした。イタリア風デザインの店内でパンを作り、店頭に運ぶのは知的障害を持つ店員だ。

 同社はワールドグループの庶務を担う特例子会社として、身体障害者を中心とする約60人の障害者を雇用し、2004年に発足した。その後グループの社員数が増加。「障害者雇用を増やすには事業の幅を広げる必要がある」(川上知之社長)として、07年度から商品検品など新規事業を開始。カフェも合わせ障害者の人数を約130人にまで増やした。うち約50人は知的障害者だ。

 ノーリツの特例子会社エスコアハーツ(兵庫県明石市)は4月から、給湯器のリサイクル事業を始めた。これまで廃棄されていた給湯器をノーリツが回収。エスコアハーツが買い取り、銅やステンレスなど素材に分解して資源業者に売り渡す。リサイクルは比較的納期に余裕があり、重度の障害者でも取り組みやすい利点がある。


 同社は給湯器事業のほかに、名刺印刷、カタログ発送など複数の事業を展開。板敷正人取締役は「配置転換できる環境を整えることで職場定着につながる」と話す。06年設立以降、20人の知的障害者を雇用しているが離職者はゼロだ。

 新たな特例子会社をつくる動きもある。コクヨは身体障害者による印刷業務の特例子会社コクヨKハート(大阪市)を持つが、知的障害者を雇用するため特例子会社ハートランド(大阪府泉南市)を設立。農業生産法人として無農薬サラダホウレンソウを生協や市場に出荷している。

 ニッセンホールディングスもu&n(京都市)を設立、5月に特例子会社の認定を受けた。まず社員食堂の運営業務などでスタートしたが、秋には重度の視覚障害者を雇用し、社員向けのマッサージ事業を始める計画。料金は市場価格の約半額で、1回500―700円を想定している。
Index
Today's Topics 関西からひとこと:文化・経済人による書き下ろしエッセー
ニュース 聞く リサーチ:関西人気質などをネット調査交え分析
深める ローカル:経済・学術・文化の底流を探る ひたる アート:美術・音楽・演劇の最新情報を
交わる ピープル:地域へのこだわりを持つ人を紹介 知る カルチャー:創作現場などを訪れ歴史を学ぶ
楽しむ スポーツ・レジャー:地域の知られざるトピックを発掘 役立つ ライフ:便利な商品や施設情報を満載
 
ページの一番上へ
サイトポリシー 免責事項 個人情報 著作権 リンクポリシー