中国・四川大地震の被災地に航空自衛隊の輸送機でテントや毛布などの救援物資を運ぶ計画をめぐり29日、日中両政府間で当面は見送るべきだとの意見が強まった。本来の目的である多量の物資輸送には、空自の輸送機より民間の貨物機の方が積載量が大きいという実務上の理由に加え、中国側が今回は受け入れの環境が十分整っていないとの判断に傾いたためだ。政府は民間機での輸送を検討している。
テントや毛布の提供は、中国側が要請してきた。その際、自衛隊の輸送機で救援物資を運ぶことについて、中国軍関係者が28日、受け入れる考えを日本側に伝えていた。これを受け政府は、C130輸送機で陸上自衛隊が備蓄している毛布約4000枚とテント約200張りを、空自小牧基地(愛知県)から、四川省の成都に空輸することを検討してきた。
しかし、C130では3回に分けて輸送しなければならないのに対し、民間機は一度に数倍の量を運べるという。また、同型機はイラク復興活動にも派遣されており、運用に余裕がない事情もある。
一方、外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長は29日、北京で中国外務省の武大偉次官と、この計画について協議。関係者によると、中国側の受け入れ態勢などの事情について説明があったという。【古本陽荘】
毎日新聞 2008年5月30日 東京朝刊