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国会同意人事 報道規制規定は撤廃せよ

 各種審議会の委員など国会の同意が必要な人事をめぐり、報道の自由や国民の知る権利を脅かす問題が現実化した。政府が衆参両院合同代表者会議に八機関二十三人の人事案を提示したものの、候補者が事前に報道された日銀審議委員ら二人の提示を見送った件である。

 昨年秋に与野党で決めた国会同意人事の新しいルールの中に、人事案の提示前に報道があった場合は受け付けないという規定がある。民主党の西岡武夫参院議院運営委員長が情報漏れに反発し、候補者を差し替えない限り提示を受けることはできないとの認識を示した。

 提示を見送った政府は、二十九日に人事案を示す方針というが、そもそも事前に報道されたという理由だけで、こうした事態を招くことが果たして有益なのか。事前報道を規制するような取り決め自体、理不尽としか言いようがない。

 新しいルールは衆参で与野党の勢力が異なる「ねじれ国会」を受けて、与党側の働き掛けによって設けられた。国会同意人事は法案と違って衆院での再議決規定がなく、参院で認められないと任命できなくなったからである。

 衆参で与党が過半数を占めていた時代は、政府の人事案は与党にだけ事前に説明されていた。政府・与党の一方的なペースで決まっていた人事に歯止めをかけるため、両院合同代表者会議を新設し、与野党同時に説明することになった。その際、事前報道に関する規定が盛り込まれた。

 人事案が事前に報道されると、それが既成事実化して反対しにくくなるとして民主党が要望した。この考え方は理解し難く、当初から批判が強かった。事前に報道されようがされまいが、堂々と国会で適任者かどうか議論すべき問題だろう。

 候補者の適否を国民が判断する材料を少しでも早く知らせるのは報道機関の重要な役割だ。国会は世論の反応を参考にして、人事の妥当性を論ずることもできる。

 さらに一連の日銀人事では、総裁、副総裁の人事案が正式提示の前にマスコミで活発に報道されたが、民主党は問題視しなかった。今回はどうしてなのか。対応は明らかに一貫性を欠いている。場当たり的な政府への嫌がらせと言われても仕方あるまい。

 事前報道された人事案が門前払いされ、差し替えられるようになると、報道をためらう空気が生まれかねない。事実上のメディア規制といえる。報道の自由を侵害しかねない規制は、早急に撤廃すべきである。


原爆症認定 まだ足りぬ国の積極姿勢

 原爆症の認定申請を却下された仙台市の被爆者二人が、国に却下処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審に続き二人を原爆症と認め、却下処分を取り消した。国に対する賠償請求は退けた。

 全国十五地裁と六高裁で係争中の集団訴訟で最初の控訴審判決であり、国が今春新しい審査基準を導入し、認定条件を大幅に緩和してから初の司法判断であるだけに、注目された。判決は、原告二人とも原爆症の認定要件である病気が原爆放射線と因果関係がある「放射線起因性」と、現在も治療が必要な「要医療性」が認められるとした。

 国は新基準によって、爆心地から約三・五キロ以内での被爆や、投下後約百時間以内に爆心地付近に入ったなどの条件に合い、がんや白血病など五疾病になった被爆者を積極的に認定する方針に転じた。それでも、原告二人に対して「要医療性」は認められないなどの判断は変わらないとしていた。

 新基準下でも原爆症と認めようとしなかった二人を、司法が救済したことを国は重く受け止める必要がある。積極的認定に踏みだしたとしながら、司法はまだ踏み込みが足りないと批判したといえよう。国は被爆者救済へ一層の努力が求められる。

 大切なことは認定新基準の弾力的な運用だ。従来より認定要件が緩和されたといっても、爆心地からの距離などの線引きは残っている。線引きから漏れた人は、被爆状況や病状を基に「個別審査」で判断されることになっているが、審査内容はいまだに示されず、あいまいなままだ。国は高裁判決を参考にするつもりだったとみられる。無責任と言わざるを得ない。

 被爆者の高齢化が進む。被爆者救済を最優先に、認定作業を急ぐべきだ。

(2008年5月29日掲載)
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