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医療観光ツアーの裏に隠れた問題
ボーダーレス化する世界の医療を紹介した「医療観光」特集(3月5日号)では、最先端治療を格安で受けるために渡航する患者が紹介されていた。しかし、意図的に伏せられていた事実がある。
まずは渡航できる患者が限られていること。短期の入院しか要さず、渡航まで待機できる状態の患者に限られる。救急疾患、慢性疾患、感染症などは、現段階では対象にならない。
日本の医療費がインドよりも格段に安い点にも触れていない。日本の国民皆保険制度なら、1カ月当たりの医療費の上限が低所得者では約3万5000円、高所得者でも15万円強に抑えられる。
日本人は途上国並みの価格で先進国の医療を享受している。だがこれは国の医療費抑制政策や、医療従事者の無償長時間労働という犠牲の上に成り立ってきた。今やその「夢の楼閣」が崩れ去ろうとしている事実を報じてほしい。
湯地晃一郎(東京都)
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特集を読んで、思わずため息をついた。医療の世界でも、格差が広がっているようだ。外国で最先端医療を受ける患者が増えているという。しかし本当に貧しい国の人たちは、治るべき病気でも医療の機会を得られずに苦しみ、命を失うこともある。
問題解決のため、国際的な医療保険機関を設立してはどうだろう。加入者は格安に設定した保険料を支払い、払えない人は免除して、全世界の人々に最先端医療を受ける機会を与える。人類の平和共存のために、日本やEU(欧州連合)、アメリカに先導を期待したい。
内悧(広島県)
帝王切開の増加が物語る意外な現実
帝王切開による分娩がアメリカで増加していることについて、記事では語られなかった理由をつけ加えたい(「出産という名のビジネス」2月20日号)。
以前に比べ、ラマーズ法の講習を受けるなど自然分娩の準備をする女性が減っている。肥満体質や糖尿病、薬物乱用などの健康問題をかかえる女性も多い。
医療従事者は陣痛の痛みを緩和させるために投薬を行うが、出産時の子宮拡張や胎児を押し出す力に支障をきたす可能性がある。さらに、自然分娩をよしとする周囲からのプレッシャーがほとんどなくなったこともあげられる。
帝王切開が増えた大きな要因は、病院や医師の金儲けのためだと言うのは簡単だろう。しかしそうした非難は、背景にある複雑な状況を無視した、単純な議論だ。
Jeffrey A. Lindenberg(カリフォルニア州)
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記事では帝王切開の率がアメリカで高いという、望ましくない傾向を取り上げていた。ただ多くの途上国では、アメリカ以上に急激な広がりをみせている。
チリではすべての出産の40%近くが帝王切開による。北京では60%、インドのいくつかの地域では34%にのぼる。アメリカで行われる医療行為は、ほかの国からみれば「最善の医療行為」とされることが多い。
世界中で産科医療の質を改善するには、母子の命を守るために必要で、かつ効果があるという場合に帝王切開を行う――そんな節度ある適用を呼びかけていく必要がある。そうすれば帝王切開による出産の率は減少するだろう。
Ana Langer(エンジェンダー・ヘルス代表)