【北京=野口東秀】中国・四川大地震の被災者支援で、中国側の要請を受けた自衛隊輸送機の派遣案について、中国のインターネットでは冷静な見方もある一方、「売国的行動だ」「中国人の悲哀だ」と批判的な書き込みが目立っている。自衛隊機受け入れをいったんは決断した胡錦濤指導部だが、対日強硬派や国内世論の反応を計り、受け入れを判断せざるを得ない状況とみられる。国営新華社通信によると、韓国は29日、すでに成都に物資を積んだ「軍用機」を派遣しており、“歴史”を抱える日本との違いが際立っている。
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感動?演技?土下座めぐりネット騒然
中国外務省の秦剛報道官は同日の記者会見で、世界の国・軍からの援助は歓迎としながらも、「受け入れ国の具体的状況」に基づいて協議し、判断していく必要性を指摘した。同報道官は、旧日本軍の侵略戦争という「歴史」にからめた国民感情にまったく言及しなかったが、自衛隊機の派遣に予想以上の反発があり、マイナス効果を生むと判断、決定を翻した場合は、チャーター便などの輸送に変更される可能性を示唆したとも言える。
一方で、韓国の通信社、聯合ニュースによると、テントや非常食などを積んだ韓国空軍のC130輸送機3機が29日、成都に到着している。
しかし、ネット上では、「軍靴を履いた日本人を中国に入れることは絶対に不可能だ」「民間機で十分だ」「援助隊と自衛隊は性格が違う」「絶対に許さない」「領空で日本の軍機は見たくない」「中国には強大な軍があるのに自衛隊が必要か」など感情的で日本に対して厳しい批判が寄せられている。
北京では、「歴史は歴史。援助に感謝する」と話す人も少なくないが、その一方で、軍を含めた対日強硬派が国民の底流に流れる反日感情を利用し、自衛隊機派遣案をつぶす動きに出ている可能性も否定できない。
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