来年5月に始まる裁判員制度に向け、最高裁は、法廷での証人尋問や被告人質問を瞬時に文字化する「音声認識システム」を開発し、東京地裁で28日公開した。今後、同地裁の4法廷に設置して実証試験を行い、制度開始までに精度を高める。
裁判員裁判は原則として連日開廷され、審理の直後に有罪・無罪や量刑を判断する評議を行う。評議の際に、裁判員らが証言内容を確認できるよう法廷でのやりとりは録画・録音されるが、確認したい場面を迅速に検索できるようにするため、音声認識システムが開発された。
公開されたシステムは、マイクで拾った音声を前後の文脈から判断して文字化し、証言席を撮影した映像や音声と結びつけて記録する。検索画面にキーワードや発言者を入力して確認したい場面を絞り込んでいき、録画されたやりとりをパソコンで再生する仕組みだ。
最高裁はNECに委託し、05年から約4億円をかけて開発した。実用段階では8割の認識率を目指すが、そのレベルに近づきつつあるという。実証試験を経て今年度中に、全国計約170の裁判員裁判用の法廷すべてに設置する予定。関西弁を認識できるシステムも開発する。【北村和巳】
毎日新聞 2008年5月28日 22時02分