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【若者の部】 入選
農業を通した国際貢献への道
(原文)
宮永 幸則(17歳)男
日本・兵庫県
兵庫県立播磨農業高等学校
これまで人類は、生きるために食糧を生産することによって安定した生活基盤を築き、長い世代に渡って子孫を残していくことができました。しかし、ここ近年は世界の各地で食糧不足の問題が起こっており、今この瞬間も数えきれない多くの人たちが餓死しているというのが現状です。これからの未来、わたしたち人類が安心して生活していくためには、食糧の確保が一番大切なことです。
私は中学卒業後、播磨農業高校に進学しました。これからの時代、世界の食糧確保の問題は重要であり、先見的にも農業はとても重要な役割を果たす産業だと考えたからです。
私は幼い頃から汗をかくことが好きで、大変な作業も難なくこなすという長所がありました。屋内での座学よりも外に出て行う実習のような体全体で学ぶ学習のほうが好きでしたので、農業実習が主体の農業高校は私にとっては最高の学びのスペースでした。入学後は無農薬の有機農法に興味を持ち、学校全体で取り組んでいるアイガモ農法について懸命に勉強しました。
アイガモ農法とは、農薬を一切使用せずにアイガモの働きと人間の汗だけで米づくりを行う、完全無農薬の有機農法です。今まで私は農薬を使用した米作りしか知らなかったので、アイガモ農法に強い関心を持ち、学校の実習だけでなく、昨年に神戸で開催された「全国アイガモフォーラム」に参加したり、夏休みを利用して九州のアイガモ農家へ一週間の間、農家研修へ出かけたりしました。一週間という限られた時間で、いかに多くのことを学び取れるかは不安でしたが、自分の長所である重労働にも耐えられる強い根性で一生懸命に実習をし、毎日生きた教材をもとに学習することによって充実した時間を送ることができました。それだけでなく、農家に課せられた厳しい現状も目の当たりにし、人類が生きていくための食糧を生産するということが、とても大変な仕事だということを痛感することのできる一週間でした。
なによりも一番印象にのこったのが、アイガモ農法の多面的な生産機能でした。まず、水田では稻が実ります。また、雑草防除や害虫駆除の役割を果すアイガモは家畜として食用できます。水田の中にはアイガモのフンをエサにしてドジョウやコイが育ち、水産物として食用することができます。つまり、少ないスペースで、稲作と畜産と水産の3つが同時に行えるのです。これにより、少ない労力や費用でたくさんの食糧を生産することができるというわけです。アイガモ農法が全世界に広まれば、世界の食糧不足の問題を解決できるのではないでしょうか。
私の将来の夢は、青年海外協力隊の隊員として、世界各国に農業の技術を教えに行き、同時にその国でアイガモ農法の普及活動を行うことです。言語も文化も異なる国で自分の想いや意志をつらぬくことは決して簡単なことではないでしょう。しかし、誰かがやらなければ、世界の食糧問題はいつまでたっても解決することができません。そこで、自分が先頭に立って開発途上国などに農業技術の援助をし、国際貢献していきたいのです。
まず自分の夢を叶える第一歩として、高校卒業後は大学の農学部で農業に関する深い知識を身に付け、世界じゅうの全ての人々が平和と生存のために安心した生活のできる国際社会を築くための一翼を担いたいと想います。
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