2008年05月29日 更新

歌舞伎町「新宿コマ劇場」年内で閉鎖、北島三郎「本当に残念」

半世紀以上の歴史に幕を閉じる新宿コマ劇場。また1つ“昭和の名所”が姿を消す

半世紀以上の歴史に幕を閉じる新宿コマ劇場。また1つ“昭和の名所”が姿を消す

 日本大衆芸能の殿堂、東京・歌舞伎町の「新宿コマ劇場」が年内いっぱいで閉鎖することが28日、発表された。娯楽の多様化の中、動員減に歯止めがかからず、運営するコマ・スタジアムが決断した。来年から土地を所有する東宝の支援を受けながら、跡地の再開発を進める。

 コマ劇場は昭和31年にオープン。こまのように回る円形舞台が名前の由来で、約2000席を有し、故美空ひばりさんや北島三郎(71)ら演歌歌手の公演を上演。ピーク時には年間100万人を動員した。

 しかし、最近は入場者数が落ち込み、業績が悪化。松平健(54)の座長公演から「マツケンサンバII」のヒットが生まれたり、海外ミュージカル「WE WILL ROCK YOU」を輸入するなど奮闘したが、閉館に追い込まれた。

 演劇評論家の大笹吉雄さんは「歌手芝居の流れを作ったが、大劇場で遠くから見るより、テレビで十分と考える人が増え、時代の波に取り残された」と分析した。

 昭和43年以来、毎年のように座長公演を行っている北島は、「初の座長公演から通算39年間お世話になり、ひと言では言い尽くせないたくさんの思い出があります。名劇場の1つが失われるのは本当に残念」と惜しんだ。

 ラスト公演は12月22日まで上演される「愛と青春の宝塚」で、紫吹淳(39)ら元宝塚トップスターが出演。大みそかに生放送されるテレビ東京系「年忘れにっぽんの歌」が劇場使用の最後となる。

◆島倉千代子(70)

 「本当に思い出深い劇場です。思い出も建物も一緒に消えてしまうようで悲しいです」

◆八代亜紀(57)

 「新宿が舞台の『なみだ恋』で世に出た私にとって、コマ劇場の思い出は一生の宝物です」