唐津市内の医師会や同市で組織する「市周産期医療対策委員会」(夏秋洋一委員長)は28日、6月に予定していた佐賀大から同市の唐津赤十字病院への産婦人科医1人の派遣が中止になったと発表した。同病院の産婦人科医の1人態勢は解消されず、同委は引き続き佐賀大に派遣を要請するとともに、同病院も産婦人科医の公募を始めた。
夏秋委員長によると、同病院では3月末に産婦人科医1人が退職。同委と市は佐賀大から新任者派遣の約束を取り付けていたが、4月中旬になって派遣予定の医師が関東方面の病院へ転勤することになり、調整がつかなかったという。
同病院は切迫早産や未熟児出産などに対応する2次救急医療機関で、医師2人態勢の昨年は救急患者42人を受け入れ、55人を主に佐賀市内の病院に搬送するなどした。4月から1人態勢となり、夏秋委員長は「最低2人が必要な手術はできない。急患の受け入れも基本的に無理で、既に救急医療としての受け皿がない状態だ」と指摘。1人になった産婦人科医の過剰負担を回避するため、市内の開業医や佐賀大、久留米大の医師のうち1人が休日勤務などを担当しているという。佐賀大側は、同委側に「今後の産婦人科医の派遣先に関しては、唐津赤十字病院を最優先する。唐津からの急患も全面的に受け入れる」と話しているという。同委や市は県や他の大学病院などにも陳情を続ける予定だ。
=2008/05/29付 西日本新聞朝刊=