東備地域で、救急患者搬送の際に病院から受け入れを断られるケースが増えています。
赤磐市消防本部(赤磐市を管轄)と東備消防組合(備前市と岡山県和気町を管轄)では今年一〜四月、五つ以上の医療機関から受け入れを拒否されたケースが四件発生。うち、二件は脊髄(せきずい)や脳を損傷する重傷度の高いケースにもかかわらず、九カ所目で受け入れ先が決まりました。
四件とも平日の夕方の出来事。搬送先は岡山市でした。
救急医療行政を担当する岡山県施設指導課によると、大半は一、二カ所程度の交渉で受け入れ先が決まるといいますが、東備地域では昨年も、五カ所目で受け入れが決まったのが四件、六カ所目が一件ありました。急患の受け入れ拒否は、じわじわと表面化、かつ深刻化しているのかもしれません。
その最大の原因は、搬送患者の増加に医療施設側の対応が追いつかないため。岡山県内の救急搬送件数は二〇〇五年までの十年間で六割も増加しました。
東備地域では、高度医療を提供したり、急患を受け入れてくれる医療施設がもともと少ない上に、近年は医師不足に直面。それを裏付けるように、岡山市への搬送割合が年々高くなっているのです。
恐らく、県内各地で似たような状況だからこそ、冒頭で紹介したように、平日の夕方でも受け入れが困難な事態に陥るのでしょう。
地域医療の脆弱(ぜいじゃく)さが救急医療の疲弊にもつながる悪循環を何とか断ち切れないものでしょうか。
(備前支局・二羽俊次)