「まさか」「またか」愛知県職員衝撃 
少女盗撮で副校長逮捕

 元副知事候補が2度目の犯罪―。逮捕された長井裕容疑者は2001年に電車内で女子高校生を盗撮した疑いで警察から事情を聴かれ処分されていた。愛知県のエリート職員で将来を嘱望されていた。同じ犯罪を2回繰り返し、県職員らの間では28日に「まさかあの人が」「またか。やっぱり」など衝撃が走った。
 容疑者が最初に盗撮したのは当時、県総務部課長級だった01年12月。通勤途中の三重県の電車内で女子高校生を盗撮、警察の取り調べを受けた。事態を重くみた県は3カ月間、減給10分の1とする懲戒処分を行った。
 そして今回の事件。県幹部は「エリートすぎて職場で孤立していたのかな。ビデオなどに凝り、自宅のパソコンには家族に見せられないその種の写真が収まっていたようだ。病気だね。2回目の犯行で免職など厳しい処分になるだろう」と話す。
 関係者によると容疑者は京都大卒。若いころは自他共に認める将来の副知事候補とされ企画畑に配属。政策通として知られ、県のビジョンづくりなどに携わり、懸賞論文に入賞、大学から教授に誘われたことも。現知事からの評価も高かったが、01年の盗撮で外郭団体などへ『左遷』。これを逆恨みしたのか県知事選時に県の不祥事を暴く『怪文書』を作成したとのうわさが広がったという。
 ある県幹部は「頭が良く、仕事のアドバイスは的確だった。知識、文章ともすごいの一語。転落は1回目の盗撮から。親しい同僚もおらず、孤独でパソコン、女性の画像にはまり、性格がゆがんでいったのか。県としては残念だが、自分でまいた種では仕方がない」とあきらめムードで話していた。
 ■綱紀粛正を担当「説得力あると…」
 愛知県は28日、長井容疑者の逮捕を受けて記者会見を開いて謝罪。富吉賢一産業労働部長は「県職員の不祥事が連続し綱紀粛正に努めていたところ、職員の模範となる管理職が事件を起こし、大きな衝撃を受けた。誠に申し訳ございません」と述べ、頭を下げた。
 列席した専門校の細野登校長によると、長井容疑者は職員の綱紀粛正を担当する立場で22日、職員にチェックシートを配布し注意を呼び掛けたという。同校長は「当時(01年十二月)それなりの処罰をし、本人も反省していた。後付けだが、そういう人間が説明することで説得力があるともいえる」とした。
 チェックシートを配布した直後の犯行。シートは有効な不祥事再発策といえるのか。富吉部長は「シートは配布すれば済むものではなく、職員の意識を高めるよう動きだしたところだった。まずはシート徹底による意識改革が必要」と有効性を訴えた。
 処分方針について同部長は「刑事処分が出てから厳正な処分をする。処分基準では痴漢行為に該当し停職または減給だが、再犯ということで重い処分も可能。免職もあり得る」と厳罰を示唆した。
 ■職員も驚きを隠せず
 長井容疑者が勤めていた県立名古屋高等技術専門校は職業訓練校として情報処理や介護医療などの習得を支援。高校を卒業した若者や離職者など18歳から60代までの生徒約210人が学んでいる。
 長井容疑者は2年前に科学技術交流財団から副校長に就任。庶務課長を兼任して事務職扱いで同校の人事管理など全体を取りまとめる業務に当たっていた。
 同校では28日朝、授業前に各担任が生徒らに事情を説明した。
 長井容疑者の勤務態度はまじめといい、同僚の職員らは「信じられない。生徒への指導も着眼点が良く立派な人だと思っていたのに」と一様に驚いていた。同校の細野登校長は「事実ならば絶対に許されることではない。就業を支援する立場の人間がなぜこんなことを。長井さんは沈着冷静で、与えられた職務を着実にやっていた。優秀な人だと思っていた」と話していた。

【写真説明】副校長の盗撮行為で謝罪する富吉産業労働部長(左)と細野校長=28日昼、名古屋市中区の愛知県庁

(2008年5月28日更新)


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