全国の大学などで、インターネットで公開されている文書を丸写ししてリポートを作成
する学生が増え、石川県内でも指導する教授らの頭を悩ませている。パソコンで文書を複
写して張り付ける「コピーアンドペースト(コピペ)」の機能を使う学生が横行し、一部
高校生にも広がっているという。対抗措置として杉光一成金沢工大大学院教授が開発中の
「発見ソフト」に教育関係者の注目が集まっている。
知的財産が専門の杉光教授によると、複写機能を用いたリポート作成は全国の大学で問
題視されている。学生間で表現が似通っているリポートの文書を点検すると、特定のホー
ムページから複写したことが分かるケースが多いという。
同大の別の男性教授は、複数のホームページに掲載されている文書を巧妙につなぎ合わ
せたリポートもあるとして「すべての不正を見抜くのは難しく、確認に手間も掛かる。何
よりも自分で時間をかけて文献を調べることに意義があるのに」と嘆く。
ネット上では太宰治ら有名作家の本の読書感想文も公開されており、加賀地区にある高
校の国語科教諭によると、安易にネット情報を利用して感想文を書く高校生もいるという
。この教諭は「文書が似ている生徒に聞くと、ネットから書き写したと明かすケースもあ
る。大変残念だ」と話す。著作権法に抵触する恐れがあり、県教委も「学校から具体的な
事例は報告されていないが、全国的にはネット情報の転用があると聞いている」としてい
る。
杉光教授が開発中のソフトは、特定の文書を分析する際、言語として意味を持つ単語や
文節に分解し、インターネットで検索する仕組みで、今年二月に特許申請した。翻訳ソフ
トに使われている「形態素解析」という言語処理技術を用い、類似した文書が見つかると
、掲載されているホームページを見つけることができる。
金沢工大大学院知的財産科学研究センター長を務める杉光教授は「単に複写するだけで
は学生の思考力が養われない。自分の力で課題に取り組まないと意味がないことを分かっ
てほしい」と話している。ソフトは東京都内の企業がプログラムを担当し、来年にも発売
する予定となっている。