「崩壊の原因は、教育も医療も同じ」―。札幌市の教員らでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)「教育キャリアプロデュース」の代表を務める元高校教師の三井貴之さんは、「学校現場で生徒は“おれ様”、医療現場では“患者様”で、教師も医師も権威が失墜している。モンスターペアレントもモンスターペイシェントも同じ構造」と嘆く。三井さんは「医療も教育も個人と個人の対立構造になっており、『公共』を媒介にした結び付きが失われている。地域医療の再生には住民の意識改革が必要だ」と訴えている。
三井さんは、北海道の医療法人財団「夕張希望の杜」の理事長を務める村上智彦さんが今月出版した単行本「村上スキーム−地域医療再生の方程式」をプロデュースした。
30年間の教員生活を通じて、「教育の中にいるだけでは教育界は変わらない」と考えた三井さんは昨年4月にNPO法人を立ち上げ、子どもたちを対象にした病院での職業体験を企画。地域医療の再生に取り組んでいる村上さんに相談したところ、医療と教育が抱える問題をめぐって意気投合、その対談の内容をまとめた。
2人が強調するのは、欲望(WANTS)と社会的必要性(NEEDS)が住民意識の中で分離していないこと。医療も教育も共に「公共サービス」として提供されるものでありながら、「公共」が失われて「個人対個人」の関係になっていることを問題視している。
三井さんは「モンスターペアレントもモンスターペイシェントも同じ構造で、個人と個人の間に入る公的な存在が意識されず、一人ひとりが個人的な欲望を追求する時代になった。しかし、医師と患者を媒介する『公』とは何かが難しい。欧州では神を媒介にするのかもしれないが、日本では何を『公』とすべきか。これが今後の日本の課題だろう」と話している。
更新:2008/05/28 11:25 キャリアブレイン
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08/05/23配信
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