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地球温暖化対策

2008年05月28日

 かつて1トン当たり2〜3万円だった鉄スクラップが6万円を超えて7万円をうかがう情勢となっている。鉄スクラップを原料として鋼材をつくる電気炉メーカーにとっては大変厳しい状況である。この値上がりには様々な背景があるが、地球温暖化対策も少なからず関係しているようだ。

 地球温暖化対策といえば、化石燃料に代わるバイオエタノールの世界的な使用拡大がトウモロコシなど穀物の値上がりを呼び世界的な食糧問題の一因となっていると見る専門家は少なくない。

 話を鉄スクラップに戻すが、実は鉄スクラップを原料とする電気炉メーカーと鉄鉱石を主たる原料とする高炉メーカーとは同じ製鉄業といいながら使用原料とつくる品種の両面で役割を分担しあってきた。その高炉メーカーがここにきて鉄スクラップを大量に使い始めたのである。彼らは旺盛な鋼材需要を背景に史上空前の高生産を続ける一方、地球温暖化対策であるCO2排出量大幅削減を大命題として抱えている。そこで鉄鉱石を原料の基本としつつもCO2発生負荷の低い鉄スクラップ使用を拡大する方針に舵(かじ)を切ったのである。

 選択肢としてはあり得ることである。だが鉄鉱石などとは違い、鉄スクラップは工場や建物の解体現場で回収され、あるいは鉄の加工過程で派生的に生み出されるものであり、簡単に供給量は増えない。高炉メーカーが大量に買えば当然価格は上がる。彼らとしてはそれは織り込み済み。だが鉄スクラップを原料とする電気炉メーカーにとっては死活問題である。

 個別施策の是非の判断は難しい。だが穀物の値上がりもしかり、地球温暖化対策といえどもそのしわ寄せが弱者にくることだけは確かなようだ。(呟)

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