連合の高木剛会長は27日、今年度の運動方針などを議論する中央委員会で「ヨーロッパのような、1日の労働時間の上限規制の導入を考えなければならない」とあいさつし、長時間労働を規制する新たな手法を検討する考えを示した。現行より踏み込んだ手法で、増加の続く過労死や減らない労働時間に対する労働側の危機感があるものとみられる。
連合は08年春闘で、15年ぶりに時間外労働の賃金割増率(現行25%)の引き上げに取り組んだ。しかし経営側の抵抗が強く、多くの労組では継続協議になった。高木会長は「時間外、休日労働を拒否するぐらいの心構えがないと局面は打開できない」と危機感を述べ、ヨーロッパ型の労働時間の上限規制の検討を表明した。
ヨーロッパ型の上限規制は、毎日の勤務と勤務の間の時間を11時間以上とするなど、連続勤務に歯止めをかける休息の時間を設けることを求める。毎日午前9時に出社する人なら、午後10時以降は残業をさせることができなくなる。連合幹部は「1日の最低休息時間を決めることになり、過労死防止に効果的だ」と語る。
厚生労働省が23日に公表した過労による労災の認定件数のまとめでは過労死、過労自殺ともに過去最多を更新。労働相談に取り組む弁護士などからも、上限規制を中心とした過労死防止法制定を求める声も出ている。【東海林智】
【関連記事】
社説:過重労働 「名ばかり管理職」を一掃せよ
【関連記事】
労災:精神疾患、最多に 過労自殺も 若年層へ広がり−−厚労省07年度まとめ
【関連記事】
トヨタ:「カイゼン」に残業代全額支払いへ
【関連記事】
マクドナルド:店長2千人に残業代 総人件費で増減なし
【関連記事】
筑波大:職員にサービス残業 労基署が改善指導 /茨城