家庭医きょう診療開始 伊達のクリニック

明るい雰囲気の診療室で抱負を語る高沢医師と菅家医師
 地域に溶け込みながら、患者の既往症や家庭環境なども把握した上で幅広い初期診療を担う家庭医の本格的な診療が28日、福島県伊達市の保原中央クリニックで始まる。同クリニックは家庭医を養成している福島県立医大と連携する形で家庭医療科を新設し、家庭医を目指す研修医2人が診療に当たる。

 クリニックの4階を改装して7つの診療室を設けた。いずれも約10畳と通常の診療室より大きい。暖色の色調の室内にはベッドだけでなく、家族のためのソファも置き、じっくりと話し合える環境を整えた。当面は外来のみだが、今後は訪問診療も視野に入れる。

 常駐して診療するのは県立医大卒の2人の研修医。高沢奈緒美さん(29)は「診療室のレイアウトも自分で考えた。わたしの部屋に来てもらうような感じで患者と向き合いたい」と話す。菅家智史さん(28)は「まずは家庭医がどんなものかを知ってほしい。至らない点もあるが、一歩ずつ前進したい」と語った。

 海外では初期診療を担う役割で、「かかりつけ医」の現代版ともいえる家庭医だが、日本での認知度はまだ低い。県立医大は地域・家庭医療部長の葛西龍樹教授が中心となり、2006年度に養成を始めた。現在、13人の研修医が県内各地の医療機関に散らばって内科などで研修を続けているが、独立した家庭医療科で研修医が診療を始めるのは保原中央クリニックが初めて。

 27日の開所式で葛西教授は「地域の意見を聞きながら、ここがモデルになって全国に広まるよう頑張りたい」とあいさつ。クリニックを運営する仁泉会医学研究所の佐藤喜一理事長は「専門化する医学だが、原点は家庭医療にある。地域の中で実がなるように支えてほしい」と期待を込めた。

 診察は月―金曜日の午前、午後と土曜日の午前。事前予約もできる。連絡先は保原中央クリニック024(575)3290。
2008年05月28日水曜日

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