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和白干潟見守り20年

2008年05月16日

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「干潟は今でも貴重な動植物の命の源」と語る山本代表=福岡市東区和白4丁目の和白干潟

 ■市民団体あす記念イベント

 希少な渡り鳥の飛来地などとして知られる福岡市東区の和白干潟(約80ヘクタール)の環境保全活動を続ける市民団体「和白干潟を守る会」(山本廣子代表)が、今年で設立20周年を迎えた。「多くの命を育む干潟の大切さに気づいて欲しい」と山本代表。同会は17日、干潟の動植物をモチーフにした切り絵を楽しむ記念イベントを開く。

 5月中旬の和白干潟。腰をかがめると、全長1センチ程度の無数のウミニナがもぞもぞと動いている。水辺に向かって歩けば、小指が入るくらいの穴の周りに米粒くらいの砂だんごが山盛りに。山本代表が「コメツキガニが掘った後ですよ」。中には黒い砂も。「これは酸素を含まない砂。カニが地中から掘りだしてくれるから、干潟が耕されて、地中の環境が保てる。生き物をちゃんと守れば、干潟は自然に回復するんです」

 「守る会」は88年4月、山本代表の呼びかけで地元住民らが設立した。干潟の清掃や自然観察などの活動を行っている。設立の発端となったのは、眼前の博多湾の海上に約400ヘクタールの人工島を建設する市の計画。反対請願のため、地元住民約300人の署名を集めた。人工島は94年から建設が進められている。

 守る会の調査では、人工島で潮の流れが停滞した影響でアオサが大量に発生し、アオサをエサにする陸のヒドリガモなどが増え、沖合の野鳥が減ったという。

 一方で、行政による保全の動きも起きた。人工島の影響を軽減しようと、市が海底の汚泥を砂で覆う事業などを展開。国は03年11月、絶滅の危険性が高いクロツラヘラサギやズグロカモメなどが越冬する場所として、和白干潟(約80ヘクタール)を鳥獣保護区に指定した。04年9月に、湿地保全の国際条約であるラムサール条約の登録候補地にも選んだ。

 同条約への登録はまだ実現していないが、守る会は今後、湿地に関する韓国のNGOなどと連携して登録を目指したい考えだ。

 記念イベントは17日午後1時半から。干潮の時間に合わせて干潟を観察し、スケッチをもとに切り絵はがきを作る。切り絵作家でもある山本代表が講師を務める。募集は30人で参加費1人500円。希望者は、「守る会」の山之内さん(092・944・1543)か、河上さん(090・9791・0276)へ。

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