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松本地域のお産連携6月開始 「共通診療ノート」も

5月28日(水)

病院と診療所が連携してお産を支える仕組みで妊婦に配られる「共通診療ノート」

 松本地域の9市町村と松本市医師会などは6月、健康な妊婦の健診について出産を扱わない病院や診療所が主に担い、出産を扱う医療機関の外来診療の負担を軽減する仕組みをスタートさせる。複数の医師が妊婦の情報を共有できる「共通診療ノート」を作製、6月中旬から妊婦に配る。

 松本や安曇野、塩尻市など9市町村の新しい仕組みを検討してきた「松本地域の産科・小児科医療検討会」を改組し、「松本地域出産・子育て安心ネットワーク協議会」を設立。26日夜の設立総会で事業内容を決めた。

 6月からは、妊娠の確認や妊娠10週までの健診については出産を扱わない15カ所の産婦人科(健診協力医療機関)が担う。妊娠が分かった時点で主に健診協力医療機関が診療ノートを妊婦に配る。

 妊婦は出産予定日が決まる11−12週に出産を希望する医療機関を初診。その後33週までの健診を出産施設と協力機関のどちらで受けるかは、妊婦の状態や希望、施設の状況などで出産施設の医師が判断する。

 松本地域では2006年以降、安曇野赤十字病院(安曇野市)、国立病院機構まつもと医療センター松本病院(松本市)などが出産の扱いを休止。出産を扱う医療機関は現在7カ所に減っている。協議会によると、妊娠初期の健診から出産まで同じ医療機関が担う現状のままでは、出産を扱う医療機関の負担が増し、緊急の際に受け入れが難しくなる可能性もあるという。

 協議会の須沢博一会長は総会で「新しい体制はあくまで緊急避難的な措置」とし、「お産難民が出ないよう住民パワーで国に産科医の増員などを訴えてほしい」と述べた。

 協議会は、県の支援金と市町村の負担金で運営。危険度の高い分娩(ぶんべん)を担当する医師への研究費支給も決めており、今後、詳細を詰める。