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【主張】公務員改革法案 歓迎したい与野党の合意

2008.5.28 02:12
このニュースのトピックス主張

 今国会での成立が危ぶまれていた国家公務員制度改革基本法案で、自民、公明、民主3党の修正協議が急遽(きゅうきょ)合意に達した。29日には衆院を通過する見通しで、法案成立にめどがついたことを歓迎したい。

 民主党案に基本的に与党側が歩み寄ったことによるが、もともと政府案とは重なり合う部分が多かっただけに、いわば小異を捨てて大同についた形だ。

 法案は、明治時代以来の硬直した官僚機構を政治主導型へと転換する大きなステップともなる。重要法案での今回の3党合意は高く評価されてよかろう。

 修正協議では、中央官庁の人事一元化に向けた外局としての「内閣人事庁」の創設は見送られ、内閣府に「内閣人事局」を設ける民主党案に修正された。

 内閣人事庁については当初、国家公務員の採用・配置を基本的にすべて担う方向で法案作りが進んでいた。ところが、官僚側の抵抗や政府与党内部の利害調整から複雑な修正が加わり、最終的な政府案では、事後審査と、必要に応じて閣僚に助言する立場にとどめられていた。

 その意味では、民主党案の方が当初の政府原案に近い。より内閣の人事権が強まることは改革本来の趣旨にもかなう。

 政治家と官僚の「接触制限」についても、政府案は接触窓口自体を制限する形にしていた。これに対し、民主党案は接触制限の規定は設けず、記録の作成や情報公開で対応すべきだとしていた。

 この点でも民主党案が修正案に盛り込まれるが、問題は政官の癒着構造を断ち切る仕組みがつくれるかどうかだ。この基本がしっかり盛り込まれるのなら、両案に大きな差異はなかろう。

 最後までもめていた「労働協約締結権」の付与についても、これまで「今後の検討課題」としていた表現から与党側が一歩踏み込むことで合意した。

 官僚機構の“制度疲労”は限界に達している。政治、経済のグローバル化と多様化の進展で、中央集権的な行政の在り方そのものも見直しを迫られている。

 全国一律の政策を地方に均等に徹底すれば足りてきた中央集権万能時代は終わった。中央省庁もまたそれに応じて変わる必要がある法案成立はあくまで一里塚にすぎない。与野党の協力が求められるのはむしろこれからだ。

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