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【主張】アフリカ開発会議 援助と自助の相乗効果を
日本が主導して開く国際会議としては最大のアフリカ開発会議(TICAD)の第4回首脳級会合がきょうから横浜市で開かれる。
日本が暫定政権を承認していないソマリアを除く全アフリカ52カ国から代表が来日、うち約40カ国からは首脳級が参加する。
TICADは冷戦終了でアフリカの戦略的価値が薄れた後の1993年、日本が国連などと共催で第1回会議を東京で開いて以来、5年に1度日本で開いてきた。
首脳級の参加者は第1回5人、第2回13人、第3回23人、今回は約40人と増えてきた。日本の政府開発援助(ODA)が97年をピークに4割も減り、90年代の世界1位から昨年は5位にまで転落した中で参加首脳がこれだけ増えたのは、援助期待だけでなく、会議に意義を見いだしているからだろう。TICADは日本外交の数少ない成功例に挙げられる。
アフリカは90年代まで、援助を重ねても貧困や飢餓、紛争、感染症などから抜け出せなかった。しかし、2001年以降は資源などの高騰で、先進国の経済協力開発機構(OECD)加盟国平均を2倍も上回る5〜6%の成長を続けてきた。アフリカはようやく経済的に離陸しようとしている。
こうした情勢を受け、今回のTICADの基本メッセージは「元気なアフリカを目指して」だ。具体的には(1)成長の加速化(2)平和の定着と「人間の安全保障」の確立(3)環境・気候変動−が主要議題となる。食糧危機対策も入る。
だが、貧困、感染症などの問題はなお深刻だ。福田康夫首相は、会議で日本の対アフリカODA倍増計画を打ち出す。財政再建下、容易ではないが、日本のODA予算は一般会計の1・5%にすぎない。工夫の余地があるはずだ。元気になったアフリカには円借款の拡大も可能となろう。
アフリカ諸国にとっても自助努力の環境が整いつつある。援助と自助努力が相乗効果を生むような展開を期待したい。
日本のアフリカ支援には当然ながら戦略的意味がある。アフリカの資源確保、国連常任理事国入りでのアフリカ票の獲得などだ。
中国やインドはアフリカの資源目当てに近年、日本を上回るほどのアフリカ接近を続けている。負けられない競争だが、日本ならではの支援を通じて、信頼という国の資産を増やしていきたい。