プール死亡事故、元市職員に有罪判決
おととし、埼玉県ふじみ野市のプールで小学2年生の女の子が死亡した事故の裁判で、さいたま地裁は当時の市の課長ら2人に対し、有罪判決を言い渡しました。一方、プールの管理業者側は起訴猶予処分となっていて、遺族は「市側と業者側の責任に軽重があるとは思えない」と訴えています。 3年前の11月、七五三で家族とともに神社にお参りをする戸丸瑛梨香さん(当時7)。この時見せた笑顔から8カ月後、瑛梨香さんの幼い命は断たれました。 おととし7月、瑛梨香さんはふじみ野市の市営プールで防護柵が外れた吸水口に吸い込まれ死亡しました。この事故で、検察は当時の市の体育課長・高見輝雄被告(61)と管理係長の河原孝史被告(47)の2人を在宅起訴。裁判では、事故の前から行われていたずさんな管理や、実際に管理を任せられた業者側の責任が大きな争点となっていました。 「2人は課長や管理係長に就任した以上は、それまでの無責任の連鎖を断ち切り、職責を果たさねばならなかった」(裁判長) 裁判でさいたま地裁はこのように指摘。その上で、「業者任せの無責任な態度を真摯に反省している」として、それぞれに執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。その瞬間、法廷には遺族のすすり泣く声が響きましたが、この場所には遺族が強く責任を求めていた管理業者の姿はありませんでした。 遺族が大切に保管している1冊のアルバムがあります。しかし、瑛梨香さんの思い出がたくさん詰まったアルバムが、これ以上、増えることはありません。 この事故で、検察はプールの管理業者について「不備のある施設の管理を任されたにすぎない」として、起訴猶予処分としました。これに対し、遺族は「市と業者側に責任の軽重があるとは思えない」と異議を申し立て、今年4月、さいたま検察審査会は業者側についても「起訴相当」と議決しました。 遺族は判決について「瑛梨香の死を無駄にしないでほしい」とコメント。現在は、検察の判断の行方を静かに見守っています。(27日16:14)
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