家庭菜園が人気という。二十四日付本紙の地方経済面で紹介されていた。食の安全・安心への関心や食材の値上がりが背景にあるようだ。
確かに、これだけ食の安全性をめぐる事件が相次ぐと、なんとか自前で調達をと考える人は多いだろう。せめて身近な野菜でもと、ささやかな自衛策として広がっているのではないだろうか。
実はわが家のネコの額ほどの庭の一角でも今、夏野菜が育っている。ゴールデンウイークにホームセンターでキュウリやトマトの苗を買い、近所の人のアドバイスで畝をつくって植え付けた。雨が降るごとに、ぐんぐん丈が伸び、葉の鮮やかな緑に、つい見とれてしまう。
経済ジャーナリストの竹間忠夫氏の近著「家庭菜園 この素晴らしい世界」が魅力を伝える。趣味の家庭菜園歴二十年という筆者が説く一番のメリットは、やはり安全・安心だ。
雑草の除去や病害虫の防除などは大変な作業で、「無農薬で野菜を作るとき虫取りは宿命的。狭い家庭菜園だからこそできる」と説く。収穫したらすぐに食卓を飾れ、究極の地産地消といえる。食料自給率のアップにもつながるかもしれない。
竹間氏は、ほかにも土とのふれあい、健康づくり、畑仲間との交流、子どもの教育といった利点を挙げる。家庭菜園の効用は多様といえよう。