『日本人拉致事件!』

北朝鮮による日本人拉致事件問題は、“事件”と呼ぶにはナマやさしい国家的犯罪の行為実行中を思わせ、まさに“戦時下”にいる気にさせられる。
考えてみりゃァ北朝鮮と日本は太平洋戦争の終結をしてないワケで現在まで戦争実行中なのだ。ミサイルは日本に向いてるし、不審船という形での進攻も当然の作戦だ。一部の妄動主義者の行動にしては船内は重装備すぎるわな。
政府調査団による5人生存8人死亡の実態調査を行ってきたが、不自然きわまりない北朝鮮のつくり話を報告するのみで落胆とタメ息が出る。家族の者しか見せない生存者のビデオには“本音”を伝えない苦汁が写っていたコトだろう戦争捕虜のように。
日朝国交正常化交渉は“戦争終結”のサインでありやりとげるべきーだが、人質を取られて状態での交渉はいい形になるハズもない。
この交渉は1回はつぶされるかも。小泉首相も一度で交渉成立とは思ってないのでワ。拉致被害者家族にはとても報告できない残酷な事実を知ってるからだろう。
1987年におきた大韓航空「爆破」事件の実行犯のひとり金賢姫(キム・ヨンヒ)の口から出た李恩恵(リ・ウネ)と云う日本人教師の存在は当時かなりの話題になったがまだ“拉致”の認定ができなかったーそんなコトが本当におきてるとはにわかに信じがたいーのが大方の見方だったし美しき女スパイ金賢姫に目を奪われていたのだから。
90年に出版された「破壊工作」は著者の野田峰雄氏が追跡ドキュメントして書かれたモノで北朝鮮スパイが大韓航空爆破を遂行するまでの足取りを追っている。
この本では金賢姫は実行犯と云うより囮犯?的で、たいした存在ではないーが捕まった時に劇薬をのんでるのだから命がけではあったのだ。“宮本”と名のる朝鮮人が暗躍し蜂谷眞一に化け金賢姫は蜂谷真由美という日本人になる。実在した蜂谷サンは4人出てくるがそのうちひとりは行方不明。李恩恵が死亡したのが86年だとすれば、その翌年は大韓航空爆破があったのだから最高任務遂行のため“用ずみ”とされたか・・・。“宮本”か“松本”とも名乗ったか作戦の英雄(とされてる)辛光洙(シン・グアンス)の関わりも見えてきて恐ろしい。ここ10年のあいだに読んだ本の中で「北朝鮮脱出・上下巻」(97年)カン・チョルファンとアン・ヒヨクによるノンフィクションがいちばん衝撃的だった。強制収容所ともいうべきヨドク政治犯収容所に収容されること11年。やっと釈放されるがーその後も監視がつきまとい同じ地獄の収容所をくぐり抜けてきたアン・ヒヨクとともに韓国に亡命するコトになるのだが、現在の話であるコトにまず驚く。北朝鮮は疑心暗鬼の国なのか?同胞に対してもこれほど苛烈な仕打ちをするとは。収容されてる日本人のコトもチラチラふれてるが朝鮮人よりもヒドイ目にあってるとも書かれてる。どう地獄の収容所なのかーは、ぜひ読んでもらうしかない。
作戦を遂行し、金(命も)かけて拉致した日本人は一時的にしろ他の人よりはいい“別荘”でくらしたコトは本当だろうが用ずみになったら?という不安は消しようがない。あンな若い人らが同時期に病死、水死、事故死、自殺と続くのはやはり作為的だ。スパイ映画そのものみたいな言い訳がよく出来るものだとアキれるばかりだ。いくら将軍様が罪を認め口で謝罪しても体制がまるで変わる気ないのだから始末悪い。
イラク攻撃に燃えるアメリカは、飢餓で弱ってる今の北朝鮮をすぐ攻撃すれば“勝てる”的右翼発言もあるが、小泉総理の訪朝で急変。アメリカから高い評価を受けたのは、一時的にしろ日本は北朝鮮を押さえている形となってるからだ。
これでアメリカはイラク攻撃に集中できるってもンだ。
これは“拉致”事件のみにあらず、その裏にはそれぞれの国がいつ“戦争”をひきおこすかの目論みが動いているのだ。今までアメリカや韓国に頼っていた北朝鮮問題は拉致事件によって北朝鮮と直接対決の時が来たのだ。交渉が失敗すれば戦争になるコトも覚悟しなければならない。が、そんな空気を感じるコトもなくブランドだ、味覚だ、エステだと気を奪われてる今の日本人はーある意味ではスゴイ?。
それよりも北朝鮮による日本人拉致事件が明るみになってから、またもや在日朝鮮人に対する“差別”が行われているコトだ。彼らは50余年前の戦争時に祖国から強制連行されて来た父母を持つ人々であるのだゾ。日本人による朝鮮人大量拉致犯罪は戦争の敗北によって終らせてていいのか?これを機に強制連行の事実をもう一度、見直すべきだろう。しかし、かつて日本がやったコトを今、北朝鮮にやられても文句言えないだろー的な対話は不毛であり無意味だ。
いきなり連れていかれた北朝鮮で同じような差別を受けてる日本人の姿を思い描いてみな。どんな気がスル?そして、なかなか助けに来てくれない祖国に向って、どんな思いで心の変化をしていかねばならないかを・・・。







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