厚生労働省は、現行では「原則1回、子供が1歳まで」となっている育児休業について、複数回に分割してとることができるよう制度改正する方針を固めた。0・5%(05年度)と極めて低水準にとどまっている男性の育休取得率を引き上げるのが狙い。複数回取得に併せ、取得期間の延長も検討している。【山崎友記子】
育休は92年の育児休業法(現在は育児・介護休業法)で男女とも制度化。女性の取得率が7割を超えているのに対し、男性は取得率が低いばかりでなく、取得しても、1週間や10日程度の短期のケースが目立っている。
男性の育児参加に限界があり、少子化対策としても効果が望めない。厚労省が目標とする男性の育休取得率10%(14年度)の達成もおぼつかない。妻側には出産前後のほか、自分が職場復帰する時期にも夫の育休取得への期待が大きいこともあり、複数回取得が必要と判断した。
具体的には、夫が妻の産後8週間以内に一度育休を取れば、職場復帰後も再取得を認める▽父母両方が取得する場合にのみ、育休取得期間を半年など一定期間延長する--などが検討されている。
有識者らによる厚労省の研究会が6月にもまとめる報告書に、こうした内容を盛り込む見込み。同省は来年の通常国会にも改正案を提出したい考え。改正には経営側の反発も予想されるが、厚労省は「各企業にも我慢してほしい」としている。
諸外国では、父親が育休を取る場合に限り、取得期間を6週間延長できる「パパ・クオータ」制度(給与は6週間延長で8割を補償)をノルウェーが導入、出生率回復につなげている例などがある。
毎日新聞 2008年5月27日 大阪朝刊