五輪１００キロ級代表権かけ　２９日に柔道全日本選手権開催

　体重無差別で柔道日本一を決める全日本選手権は２９日、北京五輪１００キロ超級代表の最終選考会を兼ねて東京・日本武道館で行われる。同階級で五輪切符を目指す井上康生（綜合警備保障）、棟田康幸（警視庁）、石井慧（国士大）に、前年覇者で１００キロ級代表の鈴木桂治（平成管財）を加えた有力４選手が２８日、東京都文京区の講道館で記者会見し、大会への意気込みを語った。

　６日の全日本選抜体重別選手権を制し、五輪切符への望みをつないだ井上は「福岡で勝って自信がついた。勢いがあるものと信じて、全日本を勝ちにいきたい」と５年ぶり４度目の優勝へ力こぶ。国際大会での実績で棟田に見劣りし、代表争いでがけっぷちに立たされている状況に変わりはないが、「最後になるかもしれないという考えもよぎったが、開き直ってやるだけ。いかに勝つかということだけを考えて過ごしている」と穏やかな表情で話した。

　昨年の世界選手権無差別級覇者の棟田は、悲願の全日本初制覇に燃える。「五輪や世界選手権よりも、僕の中では位置づけの高い試合。あしたの試合のことだけを考えている」。代表争いではライバルをリードしているが、「五輪は意識していない。目の前の選手に全力をぶつけるだけ」と強調した。

　左臀部のけがで選抜体重別を欠場した石井は「ヒール役になって相手を苦しめたい」と不敵に笑った。昨秋、１００キロ級から階級を上げると、１２月の嘉納杯、２月のオーストリア国際で優勝。「パワーも増したし、技のキレも違う。新しい石井をみてもらいたい」と最後のチャンスに望みを託す。

　一方、すでに代表に決まっている鈴木は連覇が目標になる。「余裕が慢心にならないよう、気をつけてやってきた。前年覇者として恥ずかしくない柔道をしたい」と力強く語った。

　１００キロ超級代表は２９日の大会終了後に開かれる強化委員会で決定し、男女計１４人の北京五輪代表が出そろう。