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【スポーツ】

北京へ決戦 100キロ超級 棟田、井上、石井、鈴木 きょう全日本柔道

2008年4月29日 朝刊

柔道の全日本選手権を前に、記者会見する(左から)鈴木桂治、棟田康幸、石井慧、井上康生の4選手=東京都文京区で

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 柔道の男子100キロ超級の北京五輪代表最終選考会を兼ね、体重無差別で日本一を決める全日本選手権が29日、東京・日本武道館で行われる。28日に有力4選手が東京・講道館で会見し、それぞれの思いを語った。

 選考レースで優位に立つ棟田康幸(警視庁)は「五輪、世界選手権より僕の中では位置付けが高い大会。目の前に立つ選手に全力でぶつかるだけ」と勝負に徹することを強調した。

 6日の全日本選抜体重別100キロ超級を制し、五輪へわずかの望みをつないだ井上康生(綜合警備保障)は「勝つことで自信がついた。勢いは見えないものだけど、あると信じて全日本でも勝ちにいきたい」と明るい表情。

 今大会が現役最後となる可能性もあり「やるしかない」と開き直る。五輪については「(試合が)終わってから決まること」と意識の外に追いやった。

 けがによる選抜体重別欠場で大きく落ち込んだという石井慧(国士舘大)は「テレビで見たが、正直、出ていたら優勝していたと思う」と負けん気の強さをのぞかせた。今大会は「勝って、ずるい柔道と言われてもいい」と結果第一の姿勢を見せた。

 100キロ級で五輪代表に決まった前年覇者の鈴木桂治(平成管財)は「気持ちのゆとりが余裕や慢心にならないように」と気を引き締めた。「明日、日本一が決まると思うと興奮する。連覇より勝つ方が大事」と日本の頂点にこだわった。

優勝でも代表落ち?

 男子100キロ超級の五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選手権だが、優勝しても代表に選ばれないケースも十分考えられる。五輪開催年の全日本王者が五輪代表から外れたことはないという前例は破られるか。

 代表争いをリードする棟田の優勝ならば選考に波乱はない。100キロ級代表の鈴木が連覇を飾っても、棟田が消去法で代表に収まるだろうが、負けて選出は不本意。悲願の全日本初優勝で文句なく決めたいところだ。

 石井は左臀部(でんぶ)の負傷で選抜体重別を回避し全日本一本にかけた。全日本で2年連続決勝進出の勝負強さや「あと4年は待てない」と話す21歳の意気込みは侮れない。ただ選抜体重別の欠場は大きなマイナス点とされ、代表には優勝はもちろん高いレベルの試合内容も求められる。

 井上は国際大会での不振の印象はぬぐえず、対外国人の実績を最優先する選考基準がある限り、現実的に全日本を制しても代表を手中するのは難しい。国内選考会で2連勝し、国民的人気という追い風で、選考の雰囲気が変わることに期待するしかない。 (栗田晃)

 

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