デジタル放送のテレビ番組をDVDへコピーする際の回数制限を現行の1回から10回に増やす「ダビング10」が、当初予定の6月2日に開始できず、延期となることが27日、事実上固まった。著作権者に支払う補償金を録画機器の価格に上乗せすることを盛り込んだ文化庁の「私的録音録画補償金制度」への電機メーカーの反発が強く、政府と業界団体の調整が間に合わなかったため。協議は依然、難航しており、ダビング10は開始時期の見通しすら立たない状況だ。
文化庁は今月8日の文化審議会著作権分科会小委員会で、ハードディスク駆動装置(HDD)内蔵型録画機器などを補償金の対象に加えることを提案した。これに対し、電機メーカー側の委員が「縮小されることになっているはずの補償金制度が逆に拡大していく」などと反発。文化庁は「合意に向けた準備が整いそうにない」(著作権課)と判断、29日に予定していた小委を延期した。
デジタル放送のコピー回数をめぐっては、総務省の情報通信審議会が昨年8月、「消費者が制限を感じることなく楽しむため十分な回数にすべきだ」と答申。これを受け、放送局や電機メーカーらで組織する「デジタル放送推進協会」が2月、「6月2日午前4時のダビング10開始の準備を進める」と表明していた。協会は近く、「開始日の延期」を正式表明する。【川口雅浩】
毎日新聞 2008年5月27日 20時43分(最終更新 5月27日 20時45分)