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【社会】

長崎市長射殺で死刑判決 暴力団幹部に、長崎地裁

2008年5月26日 15時02分

 長崎市のJR長崎駅前で昨年4月、選挙運動中だった同市の伊藤一長市長=当時(61)=を射殺したとして、殺人や公選法違反(選挙の自由妨害)などの罪に問われた暴力団幹部城尾哲弥被告(60)に対し、長崎地裁の松尾嘉倫裁判長は26日、求刑通り死刑判決を言い渡した。

 松尾裁判長は量刑の理由を「理不尽極まりなく、行政対象暴力として類例のない極めて悪質な犯行」と指摘、「選挙権の行使を妨害し、民主主義を根底から揺るがす行為だ」と厳しく非難した。

 被爆地長崎の代表として、国内外で平和を訴えてきた現職市長が、市長選の最中に繁華街で銃撃された事件は、社会に大きな衝撃を与え、暴力団による銃犯罪の厳罰化にもつながった。検察側が「『選挙テロ』とも言うべき犯行」と極刑を求めていた。

 判決理由で松尾裁判長は、犯行動機を「市に対して募らせた憤まんをトップである市長への怒りに変え、4選を阻止することで恨みを晴らすとともに、世の中を震撼(しんかん)させる事件を起こして自らの力を誇示したいと考えた」と指摘。「待ち伏せた上、ちゅうちょすることなく射殺しており、かなり以前から計画し犯行に臨んだと考えるのが自然だ」と計画性と強固な殺意を認定した。

 判決によると、城尾被告は4月17日夜、長崎駅前の選挙事務所近くの歩道上で、至近距離から拳銃で2発撃ち、死亡させた。

 長崎市では1990年にも、伊藤前市長の前任で当時の市長、本島等さん(86)が右翼団体幹部に銃撃され、重傷を負っている。

◆凶弾、生活も砕く 遺族「元には戻らぬ」

 「刑が確定したとしても父は帰ってこないし、わたしたちの生活も元には戻らない」。暴力団幹部城尾哲弥被告(60)に殺害された伊藤一長・前長崎市長=当時(61)=の長女横尾優子さん(37)ら遺族の悲しみは今も深いままだ。

 優子さんは、結審までの6の公判を父の遺影を手にすべて傍聴。「なぜ父が殺されなければならなかったのか」。自ら証言台にも立ち、その答えを求め続けた。

 1月の初公判で「市長と遺族には心からおわび申し上げます」と、用意した紙を淡々と読み上げた城尾被告の言葉も謝罪とは受け止めていない。動機を話さない城尾被告の態度に怒りと悔しさだけが積み重なっていった。

 事件から1年の4月、伊藤前市長が当日着ていた上着などを公開。妻十四子さん(62)の「事件を分かってもらうために多くの人に見てほしい」との思いから持参した上着の背中には、銃弾が貫通した直径数ミリの穴が2つ。「こんな小さな穴で命が奪われるなんて…」。優子さんは涙をぬぐいながら弾痕を見つめた。

 十四子さんは事件後、心労などで自宅から出られない状態が続いた。しかし最近になり「少しずつ普通の生活を取り戻している」という。

 一家は3月に福岡市に住まいを移した。優子さんらは週に1回、伊藤前市長の墓参りをするために長崎を訪れている。

(共同) 

 

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