準備書面2

○に数字は機種依存文字なので、1)、2)などで置き換えた。


平成19年(ワ)第1493号損害賠償請求事件

原告 吉岡英介
被告 国立大学法人お茶の水女子大学
参加人 冨永靖徳 外1名

準備書面(2)

平成20年5月20日

神戸地方裁判所 第6部民事部合議係 御中

参加人訴訟代理人
弁護士 壇 俊光

第1 「原告第4準備書面第2求釈明」について
1 原告は丙2号証のパンフレット記載のとおりであると主張している。しかし、ほぼ、同様の事項が配載された、人生100年ネットの記載については、これがマグローブの効能か否かについて、具体的に明らかにしていない。この点を明らかにされたい。
 なお、マグローブの効能の根拠として、43号証を提出しているが、これは氏名不詳者の単なる供述にすぎず、内容も主観的な記述に終始しており、これを裏付ける具体的な根拠もない。これでは、客観性が確保されておらずマグローブの効能の根拠と呼べるようなものではない。むしろ、丙10号証と併せ見れぱ、いわゆる活水器の効能を誤信して取引した被害者が多数いることを窺わせる事実といえる。
 次に、マグローブに関する実験として甲33〜37号証を提出しているが、これらは38号証と併せ見ても、いつ、いかなる検査方法で、いかなる結果であったかを具体的に記載したものではない。これでは客観件が確保されておらず、マグローブの効能を裏付ける資料とは言えない。
 33号証は、K大学のT教授なる人物が不明なうえ、実験の方法やグラフの意味すら不明であり、学問上の不利益というためにするような理由で数値すら記載されていない。
 34号証も実験の具体的条件がまったく不明である。35号証も実験の、與体的事情が全く不明で、おそらく原告の手書きによるグラフが描かれているだけであり、具体的な数値の記載はなく、実験の名に値しない。
 かろうじて実験らしき記載があるのは、甲36号証の報告書であるが、蚊が血を吸う場合対象の素因が大きく影響することが知られているところ、何匹のマウスかもわからないようにマウスの素因による問題が排除されておらず、実験時間も1時間という短時間の実験であり、これは実験としては不十分である。
 また、36号証は「示唆」と記載されており、水の効能を認めたものではない。原告は、38号証で「磁気によって水が変わることが、日本の公的な研究機聞ではっきり示されている」としているが、これは明らかに事笑に反する。
 37号証はボイラーに関するなんらかの燃焼実験と思われるが、実験方法は不明であり、マグローブの根拠と呼べるものはない。
 結局のところ、原告がマグロープの効能に関して資料として提出している証拠に、客観的な資料は皆無であり、このように客観的な資料を欠きながらもマグローブが様々な効能をうたって商品を販売していることは、優に悪徳商法というに値し、揚合によっては関係諸法親との関係でも問題があると指摘せざるをえない。
3 原告は、甲39号証として特許公報を提出しているが、これは、平成20年2月7日に特許庁から登録拒絶がなされており、特許として認められない可能性が高い。特許出願の内容を見ると、詳細説明に「近年、磁力及ぴ電子を利用した水の活性化装置が提案されている。この活性化装置は、水に磁力及び電子を作用させると、水分子のクラスターが小さくなり、水がマイナス電荷を帯びて弱アルカリ化し、水の活性化を促すというものである。」と記載されている。また、発明の効果に「本発明の流体の活性化装置によれば、流体に対して磁力及び電子を効果的に作用させることができるので、強力な磁石を用いることなく流体をより効果的に活性化させることができる。」と記載されている。
 弱アルカリ化とマイナスイオンとの関係が不明であるが、概ね特許といっても、クラスターやマイナスイオンを述べたにすぎない。
 しかし、水の研究を長年してきた、参加人冨永から見れぱ、そもそも「水に磁力及び電子を作用させると、水分子のクラスターが小さくなり、水がマイナス電荷を帯びて弱アルカリ化する」ということ自体が、科学的な記述としてナンセンスであり、物理的にもあり得ない。
 このことから、参加人冨永は、原告の商法が、悪徳商法であるとの確信をより一層強くしているものである。

第2 第3参加人冨永の主張に対して
1 第1項において、原告は悪徳商法について主張しているが、特定の効能がない商品をあたかも効能があるかのように偽ったり、効能があるかどうか明らかでないにも関わらず効能が確実であるかのうように偽ったビジネスは、消費者の取捨選択の由由を誤らせるものであり、悪徳商法と呼ぶべきことは自明のことである。
2 2では、「永久磁石によって作られた流体通路に水を通すことによって得られる影響が「何らかの影響」にすぎないこと、その考えが原告のー説に過ぎないことを認めるに至っている。このことのみをもってしても、原告の商法が悪徳商法であることは明らかである。
 つまり、水に対する影響の具体的内容が明確でなく、また、そのような考えが一般的でもないにもかかわらず、そのことを明記することなく、マグローブに丙2号証記載のような様々な効能が認められるかのような表示をしていることは、消費者に対して不当な情報を与えるものであり、これこそが悪徳商法である。
 原告は、科学的説明について、その説明が絶対にあり得ないと思われる代物でなければ、悪徳商法ではないかのごとく主張しているが、絶対にあり得ない代物以外は悪徳商法にならないわけではない。原告独由の立論と言わざるを得ない。
 また、悪徳商法と呼ぶことが違法性を持たないか否かは、星の数ほどある学説にたまたま自己の考えに沿うものがあるか否かで決められるのではなく、一般人の観点から決められるべきである。
3 原告は、参加人冨永に対して、『参加人冨永は磁気によっては水は影響を受けないという説を支持する者であろうが、自分の説に合わないがゆえに、他人のビジネスを「悪徳商法」であると決めつける、参加人冨永の主張は失当であり、自らの立論にも矛盾している』とし、また、ダイポールについて公正取引委員会から排除命令を受けたことについても、排除命令を受けた主体は、原告とは当然に別主体であり、商品も宣伝文句も違える。であるのに、漫然と十把一絡げに「悪徳商法」呼ぱわりするのは乱暴に過ぎる』とし、『排除命令を受けたからイコール「悪徳商法」であるというのも無理がある』と主張して参加人冨永を批判する。
 この点、原告の言う学説が何であるかは具体的に明らかではないが、磁気を通した水の小クラスタ化や弱アルカリ化についての学説と思われる。しかし、仮にこのような学説があるとしても、マグロープについて「洗剤の使用量が減る」、「猫の毛づやがよくなる」「地球温暖化防止に効巣がある」等を述べる学説は皆無であり、原告の反論は論点のすり替えに過ぎない。
 そもそも、水の小クラスタ化や弱アルカリ化についても、具体的な根拠があるものではなく、さらに、小クラスタ化や弱アルカリ化と丙2号証に紀載されている様々な効能との客観的な因果関係について、参加人冨永の求釈明にも関わらず明らかにしていない。
 繰り返すが、効能(しかも、そのような効能は皆無と思われる)を、具体的な根拠もなく、あたかも明確に存在するかのように偽って販売することは悪徳商法である。
 また、排除命令をうけるということは、少なくとも、公正取引委鼠会に対して相当な資料を提出しなかったのである。おおよそ、特定の効能をうたラ商品を販売するものは、その裏付けとなる具体的資料を用意するべきであり、そのような資料を提出できていないこと一事をもってしても悪徳商法と呼ぶに値する。
 そして、人生100年:ネットの代表挨拶には、株式会社エッチアールヂィ(HRD)のダイポールの影響を受けていることが記されており、このダイボールという商品について、当該商品に水道水を涌過させることによって得られる水は、風呂場のかぴの発生やバスタプ内の湯あかの発生を抑え、トイレの水あかを付きにくくし、トイレの臭いを解消し、洗濯時に衣類の汚れが落ちやすくふっくらと仕上げ、洗剤の使用量を削減し、台所のシンク周りのぬめりを抑え、食器のしつこい油汚れを蒋ちやすくする」かのように表示したことは、マグローブの記載と酷似している。このことからも、マグローブが悪徳商法と称するに値することは明らかである。
4 その他、種々主張しているが、いずれも原告独自の立論にすぎない。
 まず、著名な企業も排除命令を受けていることがあることを理由とするが、著名な企業であっても効能があるかどうか明らかではないにもかかわらず明確であるかのように偽って販売すれば悪徳商法であり、一般人の感覚から乖離していない。
 次に、悪徳商法の被害者がいないと主張するが、被害者は効能を誤信して取引をしたものであり、具体的に名乗り出る必要はない。
 そして、経営確信計画に承認されたと述ぺているが、兵庫県の経営革新計画は、中小企業新事業活動促進法に基づき、中小企業支援の観点から経営革新に取り組む中小企業を、資金調達、税制、販路開拓等で支援するものであり、商品や販売方法の適切さについて判断するものではない。
5 原告は、参加人冨永が、悪徳商法を立証出来なかった揚合、自らが管理するウェブサイトに名誉穀損文書が存することを知りつつ、これを放置したことになることを指摘する。と主張している。
 しかし、ー般人の感覚からしてありえないと思われる効能があたかも確実であるかのような表示をして商品を販売していることが明らかである以上、悪徳商法である。むしろ、原告が適切な商売であること、すなわち水に対する磁気の影響、その水が与える具体的効能について科学的・客観的な証拠を提出して因果性を立証するべきである。
 百歩譲っても、本件文書は、「あっら〜〜 いよいよここじゃなくて、悪マニさんトコのネタになるのか……(遠い目)。京都大の学歴を自慢したってやることがマルチじゃなあ……。まあ、あの自費出版批判本をみた限り、ダウンの人々が法律を遵守したまともな宜伝をすることなんざ期待できないわけだが。」というものであり、参加人天羽が、原告のビジネスにっいて、悪徳商法やマルチ商法を取り扱うホームページで取り上げられることを予想した旨記載しただけである。
 これは、公的言論の法理に照らし合わせても、なんら違法性が認められない。原皆の主張はホームページ上の具体的文言を離れ独自の主張をするものであり、明らかに論理の飛躍である。

以上

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