僕、7週の台本は帰りの電車の中で読みながら「ううー!」って声がもれるくらい、ものすご泣きました。家帰って「ええ話やなー」と思って、ふと気づいたんは「これ、俺がやらなあかんのや…」って(笑)。
撮影自体は、ヘタな落語で「寿限無(じゅげむ)」をやって泣く設定でしたけど、僕は「はい、ここから泣きましょか」っていう器用なことでけへん。そしたら、どっぷり入り込まないかんというので、その日はものすごいテンション高かったですね(笑)。朝から小草若の気持ちになってるから、本番が近づくにつれて「俺(落語が)下手や、どうしよう」ってオタオタし始めて。小草若は下手っていう設定やからほんまはええんですけどね(笑)。その後も、今まで小草若が知らんかった真実を思ったら「お父ちゃん、お母ちゃん、ごめん〜」ってほんまに泣きそうになって…。1日中、そんなテンションでした。その空気が保てたんは、兄弟弟子の3人とお父ちゃん、喜代美ちゃんがきちっとキャラクターを作り上げてきはったおかげ。僕はそれに乗らしてもろたんです。皆さんがいかに役を理解して演じてらっしゃるかというのも分かりますし、一門会に向けて積み上げてきたもんも見えたような気がします。泥臭いし、役者っぽくないといわれるかもしれないんですけど、僕はそういうのが大事や思いますね。