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いちカイにヤリ 投資世代(ロシア株、インド株、中国株、ブラジル株、ADR、BRICs)
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2008/04/28のBlog
『ダイヤモンド・ザイ・オンライン』に最新記事をアップしておきました。

今回の話題は「北京五輪を前に中国の広告業界はエンジン全開」というチョッと過激なタイトルにしました。

さて、その記事の中でも言及したのですけど、オリンピックの公式スポンサー、ソーフー(SOHU)がけさ決算を発表しています。「はっ」と息を呑む大幅なアップサイド・サプライズでした。(内容は今、確認中です)

2008/04/26のBlog
以前に書いた僕の今の相場観をもう一度再掲すると:

1.ドルは中期的にブル局面に入る
2.先進国の株の中ではアメリカ株が欧州株より選好される
3.商品価格は下落する
4.BRICsには強気(順番としてはインド、中国、ロシア、最後がブラジル)
5.とりわけオリンピック恩恵銘柄は今素直に買っておけばウハウハ儲かる→SOHU、EDU、HMIN、ZNHなどなど

と言う事になります。

週末の『バロンズ』を読んでいて上のような考え方がだんだんコンセンサス的な発想になっているという気がしました。(正確にはコンセンサスが僕の上の考えの方に歩み寄っているわけですけど。)

右の表紙絵にあるようにブル(強気派)は「そろそろマーケットに飛び込んでみようかな?」とプールに足を突っ込んでいる状況です。

『バロンズ』は「Big Money Poll」という企画で機関投資家に対するアンケートを定期的に実施しているのですけど、そのアンケート結果をかいつまんで言うと:

Q:マーケットに強気か?

とても強気:7%
強気:43%
中立:38%
弱気:12%
とても弱気;0%

Q:ドルは対ユーロで今後1年の間に?

上昇する:74%
下落する:24%

Q:コモディティーの価格は今後6ヶ月の間に?

上昇する:34%
下落する:66%

などという結果になっているそうです。

僕はこの「Big Money Poll」のアンケート結果が自分の相場観と余り近い場合は気をつけるようにしています。(「Big Money Poll」のトラックレコードは自分で検証したわけではないのですけど、たぶん、可もなく不可もなくという感じだと思います。)でも今の自分のマーケット観にはカムファタブルなので考えを変える気はありません。

それとランディー・フォーサイスが「カレント・イールド」のコラムで「One and done」という表現を使っていますけど、これはとても大事なイベントです。FEDの利下げサイクルの最後になるといつもこの「One and done」という単語が出始めるからです

これに対する僕の考えは以前に示しましたが今回のFOMCで:

1. 利下げなし = 市場はラリーする
2. 25bpの利下げ = 市場はラリーする
3. 50bpないしそれ以上の利下げ = 愚図愚図した展開に

というシナリオを持っています。
2008/04/25のBlog
ヴィジョンチャイナ(ティッカー:VISN)が第1四半期(3月期)決算を発表しています。

売り上げ高:1360万ドル(コンセンサス1310万ドル)
EPS: 8セント(コンセンサス6セント)

来期のガイダンス:

売り上げ高:1920~2020万ドル(コンセンサス1895万ドル)

今年通年のガイダンス:

売り上げ高:9800万ドル~1.02億ドル(コンセンサス9210万ドル)

カンファレンス・コールでは最近提携された広州地下鉄への独占提供契約に関して言及がありました。2010年のアジア・ゲームが広州で開かれるのでこの契約はとりわけタイムリーだという説明でした。

さて、今期の顧客数は381と前期の300から増えました。新しい顧客の中で業種的に目立ったのは薬品とか教育分野だそうです。

ヴィジョンチャイナは過去3ヶ月の間に営業チームを大幅に拡充し、人員数はほぼ倍増しました。これは現在のスクリーンの広告放映時間(つまり稼働率)がまだまだ低いことを考えると理に叶った戦略です。

新規都市への参入に関しては現在の16都市から今年末までに20都市へ参入したいというのが同社の考えです。新しく進出した都市は大体、6ヶ月くらいで黒字化しています。

今期の業績に関してですが第1四半期は概して売り上げ高が伸びないという季節要因にもかかわらず売上高は好調でした。今期の総売上高成長率は+304.5%、広告売上成長率は+326%です。

トータル・アド・アワーは今年通年で103000時間を見込んでいます。

現在の液晶パネル数は4828スクリーンで、これは現在展開している広州分を含みます。

5月1日から半数の都市で広告料率の値上げを発表します。

その他のデータ・ポイントとしては:
+23%売上キャパシティー拡充
+4.1%平均広告サービス収入

時間当たり広告単価:

493ドル(1Q)(→若し新規の3契約を含まなければ543ドル)
474ドル(4Q)
184ドル(1Q07)

となっています。

バランスシートには1.33億ドルのキャッシュが載っています。

新しいガイダンスでの通年での純利益予想は4000~4200万ドル。

質疑応答のハイライト*

Q:バックエンド・ローデッドな年になる=オリンピックの影響は?

A:通常1Qが一番弱く、2Qに少し強くなり、3Q、4Qが強いというのが中国の広告業界の常である。弊社の広告収入のトレンドもこれをフォローすると思われる。今年はオリンピックがあるので3Qは特に強くなると思われるが4Qの落ち込みも少ないはず。

Q:規制の変更に伴う将来の設備投資負担の発生?

A:オリンピックの後くらいのタイミングで液晶のスタンダードがアップグレードされる。今はレシーバーの技術的問題が解決していないので標準のアップグレードは見合わせられている。


Q:オペレーティング・キャッシュフローの確認

A:第1四半期の営業キャッシュフローは600万ドル。投資は300万ドル。
バイドゥ(ティッカー:BIDU)が第1四半期(3月期)の決算を発表しています。

売り上げ高:8190万ドル(コンセンサス7540万ドル)
EPS:60セント(コンセンサス60セント)

来期のガイダンス:

売り上げ高:1.11~1.14億ドル(コンセンサス1.06億ドル)


カンファレンス・コールのサマリー

今期の顧客数:161000(前期は155000)
顧客当たり売上高:3300人民元(前期比±0%)前年比+44%
コミュニティー・プロダクツの利用は多い。
インスタント・メッセンジャーのサービスを開始した。
中国では仕事でもインスタント・メッセンジャーを利用する場合が多い。
エンターティメント分野でのサービスも引き続き拡充する。
バイドゥ・ユニオン・プログラムでは最近チャイナ・ネットコムとの提携を発表した。
4つのオンライン・ゲーム運営会社とのレヴェニュー・シェアリング契約を発表した。
ジェニファー・リーが新しいCFOに。元GMAC、GMチャイナ。(→彼女はとてもソリッドだと思います。)
新しいCOOも同時に発表され、彼は元アップル・チャイナのカントリー・マネージャーだった。

業績面ではスロー・シーズンである旧正月を無事に乗り切った。豪雪にもかかわらず売上高はガイダンスを5%上回った。

TACは7700万人民元。これは売上高の13%で1年まえの10%より増えている。

日本の営業費用は3000万人民元。

バランスシート上のキャッシュは17億人民元(2.38億ドル)。

今期の営業キャッシュフローは2.48億人民元。



【質疑応答】

Q:サーチの売上増進のためにどんなプランがあるか?

A:2006年からダイナミック・ビディング方式を導入している。レヴェニュー・パー・サーチはまだまだ改善の途上にある。マネタイゼーションの機会は一杯ある。競合他社にくらべるとレヴェニュー・パー・サーチは低いと思う。

Q:オリンピック?

A:大企業は特別にオリンピック向けの広告予算を持っている場合が普通だ。でも中小企業は持っていない。バイドゥの顧客は中小企業中心なのでそれらの顧客がオリンピックに際してどのような広告戦略に出るかは判別しにくい。ゲーム期間中、トラフィックのパターンが変わる可能性もある。これも不透明要因。因みにワールドカップのときはトラフィックのパターンはあまり変わらなかった。当時はスポーツ関連の広告主の数が少なかったので恩恵は受けなかった。


Q:TACは徐々にだが確実に上昇している。そこでバイドゥ・ユニオン・プログラムが具体的にどのくらい売上面で貢献しているのか知りたい。

A:バイドゥ・ユニオンの売上を見るときはネット・レヴェニュー、つまり売上高-コストで見る必要がある。若し:

TAC>レヴェニュー

ならディールはやらない。

サーチからのレヴェニューの方がコンテクスチュアル・アドのレヴェニューより大きい。

Q:日本、CtoCのコスト?

A:日本のコストは3000万人民元。通年では2000から2500万ドル。CtoCのコストは低い。


Q:モバイル・サーチが向こう3年でPCからのサーチより大きくなるという競合他社のコメント。グーグルはチャイナ・モバイルと組んでいる。

A:話題にはなっているけれどモバイル・サーチはテイクオフしていない。現在のところモバイルではWAPからのサーチが多い。バイドゥはWAPサーチのリーダー。

Q:人件費?

A:今期の従業員数は6700人。前期は6200人。サラリーが上がっているのではなく、人数が増えている。

Q:来期の見通し?

A:顧客当たり売上高が今期伸びなかったのは季節要因と豪雪の影響が大きい。トラフィックが地域によってはかなり落ち込んだことも影響している。第2四半期にはARPUは大幅改善する。売上ベースが巨大化することによる成長率の漸減はまだ起こっていない。

Q:バイドゥ・ユニオンの是非?

A:バイドゥ・ユニオンの目的は顧客のリーチをどんどん広げることにある。今はそうやって取り込んだ顧客がすぐにプロフィタブルかどうかはそれほど問題ではない。なぜならTACはスイッチ・オンしたりスイッチ・オフしたりできるから。

ユニオンのインフラを今作っておいて、ユニオンの顧客を今獲得しておいた方があとで顧客を取り込むのに苦しむより良い方法だ。
CVRD(ティッカー:RIO)の3月期決算が発表されています。

第1四半期(3月期)売り上げ高:145.5億レアル(コンセンサスは145億レアル)
EPS:47セント(コンセンサスは52セント)

カンファレンス・コールは未だ聞いていません。
スペインの住宅バブルが崩壊寸前の様相を呈しています。

この国の不動産は過去10年足らずの間に3倍になりましたが、住宅の供給の方も凄い勢いでした。

「美しいわがスペインの景観がこれほどメチャクチャに壊されたのはスペイン内戦以来だ。」

そういう嘆きの声が上がるほど新築の家が乱立しているそうです。

なにせ住宅建設セクターはGDPの20%と言われていますから、この国の宅建ブームは半端じゃないですよね。

今はその住宅の売れ行きがパッタリ止まってしまって、ちょうど去年のフロリダとかラスベガスとかサンディエゴの状況と酷似しているのだそうです。

さて、問題はソーラー・パネルの需要を考えた場合、最大の需要先は欧州であって、しかもスペインとドイツはその中でも飛び抜けて大きい市場だということです。

スペインは今年、フィード・イン・タリフの見直しがあります。

その改訂がどうなるかにかかわらず、新築住宅に伴ったソーラー・パネルの設置というのは今後激減することを覚悟しておく必要があるでしょうね。

2008/04/24のBlog
先日インド準備銀行がキャッシュ・リザーブ・レシオを50bp引き上げ、8%としたことを受けて、「次におかしくなるのはインドだ」式の議論が出てきてます。

僕に言わせるとそういう議論は近年のインドの金融・財政政策の経過に対する観察が足りません。

僕はエコノミストではありませんけど、キャッシュ・リザーブ・レシオ(CRR)というのは銀行が融資をする際に預金を全部貸し出しに回すのではなく、そのうちの何%かはリザーブとしてとっておきなさい(→実際にはインド準備銀行に「人質」に取られる)、そういうルールだと思うんです。

したがって、これは利上げではありません。

(もともとインドの銀行はコア・デポジット比率が高いところが多く、アンダー・レンディングになっています。だからキャッシュ・リザーブ・レシオをいじくるというのは「ノレンに腕押し」だし、金融政策としては最もマイルドな切り札と言えると思います。)

実はインドは中国より早いタイミングで、中国より断固としたスタンスでインフレ退治に取り組み始めました。2004年からです。

そして2007年の上半期までには一連の利上げ(インドの場合、政策金利ツールはリバース・レポ・レートなどになります)は完了して、今はずっと様子を見ている段階なんです。

だからキャッシュ・リザーブ・レシオを上げたからといってインド・ルピーで預金することの魅力が増し、インドに「駐車する」海外からの資金が飛び込んでくると考えるのはおかしいと思うのです。

またルピー為替がこのところ比較的安定しているのはインド政府がガンガン為替介入しているからであり、それはインフレを招くという議論がありますけど、これも僕の持っているイメージとは違います。

ルピー高が一段落したのは投機的な投資家が出て行ったからです。

右のグラフはIMFのデータから作成しました。07年と08年はIMFの予想です。

アニュアルの数字をプロットして平滑化してありますから実際の各国のインフレ率の変動よりスムーズ化されてしまっているのですが、中期での方向性を読むにはこれで十分。

インドのインフレが「アウト・オブ・コントロールだ」と断定するのが時期尚早だと僕が主張する理由を読み取って頂ければ幸いです。
[ 11:35 ] [ 相場のテクニック ]
幼少の頃に読んだ絵本に『ふるやのもり』というのがあります。

多分、こんなストーリーだったと記憶しています。

貧しいあばら家に住んでいるおじいさんとおばあさんのところへ馬泥棒と狼が夜陰に紛れて押し込もうとして、聞き耳を立てると:

おじいさん:「この世の中で一番怖いのは馬泥棒じゃのう」
おばあさん:「いや、狼もこわいぞ」
おじいさん:「でも馬泥棒より狼よりこわいのは、やっぱりふるやのもりじゃな。」
おばあさん:「んだんだ。」

それを聞いた馬泥棒と狼は(なんだい、そのフルヤノモリってのは?、、、)
(でも、馬泥棒や狼より恐ろしい怪物なら、きっと怖い相手に違いない)

と思うわけです。

そこにポツポツと雨が降り出したので:

おばあさん:「あ、ふるやのもりのおでましだ。」

これを聞いて馬泥棒と狼はもつれ合いながらいのちからがら逃げて行った、、、

そういう話だったと記憶しています。

 * * *

僕は去年の秋以降の新興国市場の下げと投資家の狼狽振りをみるにつけて、なんだかこの『ふるやのもり』の寓話を思い出さずには居られないんですね。

つまり投資家の心が疑心暗鬼になっているときは縫い針一本が落ちた音でも飛び上がって怖がる、、、そういうメンタリティーに皆すっかり染まってしまっているわけです。

きっと悪いニュースが出るにきまっている、、、、
そろそろ次は新興国の経済がおかしくなる番だぞ、、、

まあ、いろいろ心配の種は尽きないわけです。

 * * *

『新興国リアルタイム・ネット勉強会』に定点観測のコーナーを設けて、退屈きわまりないマクロのデータを嫌がる子供に無理やりブロッコリを食べさせるように(そこまで言う事は無いか、、、)レビューする理由は、本当にBRICsの経済がそこまで悪いのか?それを皆さん自身の目で毎月フォローしてもらいたい、、、僕がそう願っているからに他なりません。

以前にも書きましたけど最近のGDPの流れ:

中国: +11.2%が+10.6%へ(第4四半期から第1四半期にかけて)
インド: +8.5%が+8.2%へ(今年の通年のGDP予想の下方修正値)

これらの数字の何処をもって「悪い」という評価になるのか?僕にはそれが理解できないのです。

臆病者の資金が慌てふためいて逃げ出した分については、その何倍にもなって投資資金が帰ってくる、、、


僕はそう信じて疑いません。

ウォール・ストリート・ジャーナルによるとLIBOR(ロンドン・インターバンク・オファーリング・レート=銀行間の貸し出しレート)が高止まりしており、シティのアナリストは「NYBOR(ナイボー=つまりニューヨーク・インターバンク・オファーリング・レート)というのを作ろうじゃないか!」と調査レポートの中で提案しているのだそうです。

米国の住宅ローンなどの金融商品の少なからぬものはこのLIBORの金利を基準にして金利設定されています。だから折角、FEDがFFレートを下げてもそれらの消費者に直接関わってくる商品の金利が下がらず、救済にならないわけです。

LIBORを決めるにあたり英国銀行協会は16行から参考レートの提供を受け、その平均を取ってレートを決めると思うのですが、その16行の大半は欧州などの金融機関で米銀は3行しか含まれていません。ですから米銀がより低い金利で貸付する意思があっても(右のグラフを参照して下さい)、消費者向け金融商品の金利が下がってこないわけです。

欧州の銀行間金利の方が高いということは単純な見方をすればサブプライム問題の膿み出し作業が米国より遅れており、それだけ銀行同士がお互いに相手を信用していないことの現れであるという風にも取れると思うんです。

さて、LIBORが高止まりすると確かに米国の消費者にとっては悪いわけですけど、どうせムチャクチャな与信審査で乱発したローンのことですから、その金利が数ベーシス下がろが下がるまいが焼け石に水で大勢には影響ありません。

一方、米国の銀行の経営者の立場で考えるとレートが高止まりするということは利幅が大きいという事を意味すると思います。だから利益がどんどん出るし、その利益を留保することでバランスシートの修復が早まるという利点があります。

だから、案外、今のこの現象は米銀にとってラッキーかなと思うわけです。
2008/04/23のBlog
今度こそ証券取引税が現行の0.3%から0.1%に引き下げられるようです。4月27日から施行されるそうです。

これ自体は投資家の懐に与える影響は微々たるものですけど、大事なのは政府が株式市場のテコ入れに「本気ダヨっ」とシグナルしている点だと思うんです。



(僕が聞いて回った感触ではアメリカの投資家はこのニュースを素直に好感しています。)
これは言うまでも無くこれまで冷ややかだった中国政府の株式市場に対する態度が、、、
投資家寄りの姿勢に改まりつつあることの証です。
インド株式市場に関する最近のアップデートを別のところにUPしておきました。興味のある方は読んでみて下さい。


追加のレポートをアップしておきました。
もうひとつ追加のレポートをアップしておきました。
[ 09:08 ] [ コミュニティー連絡事項 ]
皆さん、コメントありがとうございます。

最近、皆さんからのメールやご質問、コメントなどに返答が追いつかなくてスミマセン。

コメント欄の質問とかを読んでいて、「このくらいなら自分でも答えられる」という質問があれば皆さんの方でどんどん横レスして頂いてOKです。

それからいつも言っていることですけど、メールよりコメント欄を使っていただけると幸いです。(メールは標題を読むことすらままなりません。)
2008/04/22のBlog
ザラ場マカオのカジノに関連する銘柄が急騰しています。

メルコPBL(ティッカー:MPEL)+9.5%
ラスベガス・サンズ(LVS)+12.15%
ウイン(WYNN)+9.7%

などです。

これはどうしてかというとマカオ政府が「今後新しいカジノ・ライセンスはもう交付しない」と発表したからです。

「今は既に始まった開発がちゃんと軌道に乗るかを見極めるべき時期で、サブ・コンセッションを含めた追加のライセンスをイシューして競争を激化させるのは得策ではない」

という意味の発言をしています。

さらに既存の業者の28のカジノ(実際運営されているもの、事業計画が既に提出されているもの)についても、これまでに承認されたギャンブリング・テーブルやスロット・マシーンの台数を今後増やさない方針であることを表明しました。

当然、これは需給関係からすると好ニュースであり、いまある業者のライセンスの希少価値は高まります。


 * * *

これは今の時点での僕の「直感」ですけど、新しいキャパシティーをもう承認しないということになれば、事業計画面で一番アグレッシブに申請を出している業者が最も恩恵を蒙ると思います。すると当然、ラスベガス・サンズとメルコPBLが得をすることになるわけです。
[ 22:40 ] [ 中国株 ]
右のチャートはペトロブラス(PBR)ペトロチャイナ(PTR)の過去1年のパフォーマンスを比較したものです。

この両方の銘柄とも最近のリザーブ・リプレースメントの実績は素晴らしい!。

その理由はペトロチャイナの場合はジ東油田、ペトロブラスの場合はトゥピ油田ならびにカリオカ油田の発見があったからです。

そういうわけで両社の探索部門の仕事ぶりにはA+をあげていいと思っています。
(エクソンとかロイヤル・ダッチなどの世界的に有名な会社のリザーブ・リプレースメントの数字より遥かに良いです。)


 * * *

ところが、こと株価ということになるとご覧のようにすごく差が出てしまっているんですね。これはどうしてかというと中国の場合石油製品の価格がインフレに対する配慮などから統制されていることによります。

中国の政府は「価格統制のおかげで苦労かけて、ごめんね」という事でペトロチャイナ(PTR)やシノペック(SNP)に実質的な補償金を払うと発表しています。

勿論、そんなのチョッとくらい補償されたって焼け石に水ですけど、その「キモチ」は嬉しいですよね?。最近、ペトロチャイナやシノペックの株が底入れしているのはそういうワケ。

 * * *

一方、やることなすこと全部パーペキな筈のペトロブラスですけど、直近の業績の数字は下方修正が入ると思います。その理由はP-51という櫓が運行面でモタモタしているからです。

オフショアのオイル生産というのは極めて難しいオペレーションで日々の生産の上でのリスクはとても大きいです。(数年前にメキシコ湾で『サンダーホース』という呼称の櫓がズッコケたエピソードは皆さんも覚えてらっしゃいますよね?)

そろそろペトロチャイナも評価してあげて良いのではないでしょうか?。
低迷するA株市場をテコ入れするため、CSRCはブロック・トレード・ルールというのを発表しました。

このニュースを受けてきのうA株市場は一旦は高かったのですけど、ラリーはすぐに剥げました。

先ず(僕が理解する限りの)A株のブロック・トレード・ルールとは何か?ですけど:

所謂、全流通改革の後で:

①「時期が来れば売れるようにしてあげる」と約束された政府の持ち株
②それに加えて2006年以降にIPOのロックアップが切れることによって市場で自由に売れるようになる株式

の2種類が今回のルールの対象だと思います。

次にルールの内容ですけど、「一度に発行済み株式数の1%以上を売るのなら、それは場にオファーを晒すのではなく、ブロック・トレードで買い手をアッセンブル(組成)してからクロスすること」という理解です。

なるほど予め買い手を勢揃いさせれば大きな売り物が出てきたときの株価下落圧力は吸収しやすいかも知れません。

ただこのルールの盲点は一日に発行済み株式数の1%以内を売るのであればブロック・トレードしなくて良くなるわけで、「チョロチョロした間断ない売り物を毎日浴びせる結果になるだけだ」という意見もあります。

またブロック・トレードでクロスした後、その買い手(これは一般の投資家や機関投資家も当然含まれてくるでしょうけど)にはロックアップは適用されるのか?という問題もあります。勿論、この特別なクロスにだけロックをかけることは可能でしょうが、その場合、流動性を犠牲にするわけですから買い手は大幅なディスカウントを要求すると思います。

そういう事をいろいろ考えると「どうもこのルールはあまり効果は無さそうだ」という結論に達したのが、昨日、早々とA株のラリーが値を消した理由です。


たしかに昨日の発表は「失敗」だったかも知れませんけど、大事なことは中国政府が株式市場の低迷を好ましくないと思っていることが市場にシグナルされたということではないでしょうか?。

これまでも中国政府はマーケットを冷やすためにああでもない、こうでもないといろいろ方策を出してきました。それらの「冷やし策」は最初は興奮に包まれた投資家に無視されたわけですけど、いろいろ繰り出しているうちに最後には効いてきてとうとうマーケットを押さえ込むのに成功しました。

だから今回も昨日の発表が効き目が無かったからので「これでオシマイ」というのではなく、今後もいろいろ試行錯誤すると思うんです。
2008/04/21のBlog
ダイヤモンド・ザイ・オンラインに新しい記事がUPされています。
2008/04/20のBlog
皆さん、コメントありがとうございます。

前にもコメント欄などでは何回も書いたことですけど、いま良く考えてみたらちゃんと独立したエントリーとして断っておくべき大事なことなのでエントリーを立てます。

僕は投資に際して心がけていることのひとつとして:

「きれいな女の娘にはいちおう片っ端から全部キスする」

主義です。

そうやってポートフォリオに組み込んでおいてから、観察が始まるわけです。

なぜそんな尻軽な事をやるか?。

それは僕にはきれいな女が登場した瞬間にはそれが「第二のシスコ」や「第二のソニー」になるかどうかを看破するだけの力が無いからです。それと

毎期、毎期の決算をきちんと出せるかどうか?

これの方が経営者の大言壮語より大事です。だから決算が会社側の事前ガイダンスと合っていたか、いなかったかを丁寧に追っているわけです。

これは昔の講演会のときに示した絵(クリスマス島の蟹)ですけど、新しい技術、新しいビジネス・モデル、新しい産業(=例えば太陽光発電なんてのはその典型です)が出てきたときは、最初はエキサイティングですからジャンジャン新しい企業がIPOされます。でもその大半は数年後には消えて無くなっているわけです。

沢山生んで、沢山死なせる

そういう下等動物のような市場の在り方なわけです。
だから僕が取り上げた(=それはキスした女にほかならないわけですが)銘柄の中でズッコケる奴がどんどん出てくるのは所期の出来事であり、偶然でも不運でもありません。

だんだんルーザー(負け犬銘柄)を間引いていく作業をやっているわけです。
2008/04/19のBlog
[ 22:52 ] [ コミュニティー連絡事項 ]
僕のうちの近くに「SRハイ」という公立高校があります。

ここの売り物は本格的な自動車修理工場が学校の中にあって、興味のある生徒に自動車をどうやってバラバラに分解し、それをまたイチから組み上げるかを教えている点にあります。

思うに僕が勉強会とかこのブログとかでやっている事というのは手を油まみれにして相場を分解し、それを再構成してみせる、その繰り返しだという気がするのです。そうなるのは当然のことで、そもそもこのブログを始めたときには自分が普段、大学ノートに書き留めておいた自分の勉強のための書き込みをそのままブログに移しただけだからです。つまり僕の作業場がそのまま晒されているわけです。

(なお、この手法は僕が発明したのではありません。「こういう使い方があるんだよ」というのはwha_man3さんから教えてもらいました。目から鱗でした。)

確かに一度やってみると「ブログ内検索」機能などのおかげで自分が昔書き留めた事を探す時間が大幅に短縮されました。こうなると馬鹿馬鹿しくて大学ノートなんか使わなくなるわけです。(僕の大学ノート消費量は大幅に減りました。以前は2ヶ月に一冊くらいのペースで使っていました。)

 * * *

こういう風に分解することを投資銀行業界ではUnbandling(アンバンドリング=バラバラにすること)と言います。投資銀行の人は自分たちのサービスがそういう風に分解され、「良いとこ取り」で顧客の知りたいノウハウ部分だけを盗まれることをたいへん嫌います。

そういう僕自身も投資銀行に勤めていた頃は毎年元旦3日くらいに召集がかかってホテルの会議室に閉じ込められて所謂、オフサイトという経営戦略会議に出ることを強いられるわけです。そこで毎年飽きもせず繰り返される議論は「投資銀行サービスのアンバンドリングのトレンドをいかに食い止めるか?」というナンセンスな水掛け論です。

でも機関投資家の立場からすれば「おたくのアナリストのインテルのファイナンシャル・モデルがどうなっているか知りたい」という風にレポートの結論ではなく、プロセス(過程)の方法論こそが知りたいことなのです。

僕は日頃から「こういう風に時代の流れに抗しようとするのは、、、ナンセンスだよなぁ」と感じていたので今、嬉々としてgiving it away(ただでタレ流し)しているわけです。

 * * *

そういうわけできちんと筋道を立てて説明しなければいけない分解手順に関しては最近は主に勉強会の方で言及することにしています。あとデータ類もなるべく勉強会の方に集約することを心がけています。ここのブログはその「残り」が多いです。

 * * *

さて、僕のやっていることがある程度説明できたと思うので、それを踏まえた上でコメント欄への書き込みについてお願いします。

1.コメント欄への書き込みは大歓迎です

先ず強調したいのはコメント欄への書き込みは大歓迎だということです。僕が皆さんの書き込みの全てに返答できないのは時間的制約からそうなっているのであって、無視しているとか怒っているとかいろいろ気を揉んでもらう必要はありません。

2.僕の間違いの指摘、僕に対する批判も是非下さい

僕はアメリカ暮らしが長いのでTalk back culture(=反論、ないしはくちごたえ文化)の中で育っています。ですから皆さんから寄せられるご批判というのは歓迎ですし、至らないところは直してゆこうと思っています。なによりも自分との反対意見や批判の声を消し去ることでこのブログが大政翼賛会みたいになっちゃうことを一番恐れています。

3.読者同士の中傷はナンセンスなのでやめてください

いま、自動車修理工場での実習でエンジンの分解の仕方をしている最中に生徒同士が「おまえ、こんなことも知らないのか、アホ!」なんて貶し合っているのは目クソが鼻クソを笑っているようなものでレベルが低いと思います。どうせやっつけるのならインストラクターをやっつけるべきです。スポーツでも趣味でも仕事でもビギナーというのはどの世界にも居るわけで年長者はビギナーを批判して気分を良くしたりしてもそんな満足感は空虚だと思うんです。そういう心配をする暇があれば自分のスキルを向上し、インストラクターを超えることに専心して下さい。もちろん、教えあうこと、励ましあうこと、などは大歓迎です。

4.なるべく同じニックネームでコメントしてください

これは勉強会にログインされる際にもお願いしていることですけど、なるべく同じニックネームでコメントして下さい。その理由は昔からずっと参加してくれている人を優遇したいと思うからです。(だから勉強会皆勤賞の人とかはいずれ何かお返しをしたいなと思っています。)ブログ・コミュニティーを長くやっているとそのブログは書き手だけのものではなくなり、読者、或いは日頃の質問者などの参加者の共有物になってゆく気がするわけです。そしてその毎日の積み重ねがそのブログらしさをだんだん形成してゆく気がします。僕はそのインテグリティー(=真正性)を壊したくないのです。長く参加してくれているということはそれだけこのブログにvested interest、つまり費やした時間分だけの「先行投資」が入っているわけで、それをいちげんさんの参加者に壊されたくないと思う方も多いと思うのです。

決算シーズンです。

決算シーズンというのは僕の好きな季節なんです。

証券会社勤めの頃はアメリカ国内を駆け回って事業会社を訪問しているか、さもなければモントリオールとかシンガポールとか東京などの顧客回りで旅行している場合が多かったのですけど、決算シーズンだけは落ち着いてオフィスに居れるというのが自然にこのシーズンが好きになってしまった理由なのかも知れません。

決算シーズンに際して海外の投資家を相手にする国際営業部の直面する問題は決算発表後、すぐにアナリストのレポートが出てこないという点です。実際、アナリストがレポートを書き終えるまでの12時間くらいの間に既にアジアや欧州の顧客は次の営業日が来てしまいます。だからアナリスト・レポートを待っていたのでは営業になりません。

そこで国際営業部は午後1時に場が引けた後(西海岸時間だからです)も全員トレーディング・ルームに居残り、決算のカンファレンス・コールのサマリーを作成し、それを速報として顧客に配布するわけです。

僕:「今日は決算だから居残りだね。」
へザー(僕のアシスタント嬢):「う~っ!、駄目だ、また我慢できなくなった!」
僕:「わかってるよ。相撲バーガーでしょ?。」
へザー:「なんだか居残りと聞くと相撲バーガーが食べたくなっちゃうのよねぇ。」
僕:「それじゃ、いっちょ注文すっか?」
僕:「おうい皆、今日は相撲バーガーだよっ!。欲しい人は手を挙げて。」

そうやってみんなのリクエストを取ってオフィスの真向かいにある日本食レストラン『おいしい』にピックアップに行くわけです。この日本食レストラン、どういうわけかハンバーガーが得意のメニューで「相撲バーガー」という呼称からもわかるようにドデカイのです。おまけにフレンチ・フライも揚げたてのホカホカ。だいたい日本食レストランのくせにハンバーガーを出すということ自体、胡散臭いわけですが、ここのバーガーは掛け値なしに美味しかった。

営業部の皆でバーガーにパクつきながらその日の決算カンファレンス・コールの一覧表を見ます。大体、シーズンたけなわのときは我々に直接関係のある企業の決算だけでも10数社にも上る場合があります。だから営業マンもアシスタントもみんな手分けしてそれらの会社のコールを聞くわけです。

僕:「じゃあジョンはリードライト、シャーリーはジュニパー、ルイーズはアッセンドをお願いね、、、。」

カンファレンス・コールに先立ってアナリストから「今日のコールではこの部分を注意して聞くと良いよ」というツボを教えてもらい、それぞれの担当者と確認し合います。そうやって2時半を回る頃にはトレーディング・ルームじゅうにスピーカー・フォンから流れてくる各社のカンファレンス・コールの実況で「ぐわ~ん」という騒音が充満するわけです。この喧騒が僕はとても好きで、それを聞いているだけでおなかの底から力が沸いて来るような感覚にとらわれるわけです。

シニア・セールスマンの場合、片方の電話ではA社の、もう片方の電話ではB社のコールという形で一度に数社をかけもちすることも普通です。でもアシスタントなどの場合はカンファレンス・コールを聞く要諦が未だ飲み込めていない人も居ますから、アシスタント達には「コールの中で○○という言葉が出たら大声で知らせて!」と頼んでおくわけです。

それらのキーワードの一部は実は以前の勉強会でも紹介しました。(右のホワイトボード参照)

ルイーズ:「アッセンドがlong lead timeって言ってるわよっ!」

そのひとことでシニア・セールスマンたちはルイーズの周りに集まってきます。

シニア・セールスのひとり、アンマリーは携帯で上得意のヘッジファンドを呼び出し:「アッセンドが成約までの時間が長くなっているって言ってるわ。いま携帯をスピーカーのところに持ってゆくから、そのまま聞いていて!」と顧客をパッチ・インします。

他のセールスマンはすぐ担当アナリストに電話して:「いまの、、聞いただろ?どう思う?」とアナリストのワンポイント・コメントを取ります。

僕:「アッセンドと言えば、GLGが買ってたな。おい、ロンドンのパトリックに電話して!」

ロンドン・オフィスとのリエゾンをしているアシスタントはレストランで遅くまで顧客の接待についあっていたロンドンの営業部長のパトリックを携帯で呼び出します:「あ、シャーリーよ。アッセンドのカンファレンス・コールだけどリード・タイムが延びているってコメントが出たわ。」

パトリック:「うん、アリガト。じゃカンファレンス・コールのサマリーを入れておいてくれるかな?」

そういう感じで一度に何社ものコールをまるで聖徳太子みたいに聞き分けながら、だんだんその決算シーズンの全体像、ひいてはアメリカ全体の景況感というのを実感してゆくわけです。

 * * *

いまでは僕はそういう証券会社のセールスから電話を受ける側に居ますので一度に数社のコールを聞くような無茶なことはしません。それにウエブキャストなどで簡単にリプレイが聞けるので自分の手がすいているときを選んで聞けるのも助かります。

でも昔とかわらないものもあります。例えば決算の勉強会のときに使う「決算テンプレート」などは僕が昔から使っていたものです。


以前にも書いたと思いますけどサブプライム問題はもういちばん怖い局面を終え、あとは時間をかけて傷を癒す段階に入っていると思うんです。

そういうと皆さんは「でもまだまだ住宅価格は底入れしていないし、ローン金利のリプライシングは終わっていない、、、商業用不動産の市場がおかしくなるのはこれからだし、欧州だって心配だ。」と仰るでしょう。

それらの不安要因は僕のレーダー・スクリーンにもちゃんと捕捉されています。

ただデリンクウェンシーが増えるという事だけが金融システムの屋台骨を揺るがす唯一のファクターではないのです。システムそのものにかかっている総和としてのレバレッジが大き過ぎるときにだけ収拾がつかなくなるのです。

つまりお料理教室風に書けば:

レシピー:金融パニック
必要な材料: 
1.アセット・クウォリティーの劣化
2.レバレッジ

となります。別の言い方をすれば或る銀行の資産内容が相当劣化していてもその銀行のギアリングが低ければ大惨事にはならないのです。

ところが米銀のバランスシートが実態としてどのくらいブヨブヨに膨れているかをウヤムヤにしてしまう発明(投資銀行風に格好つけて言えばイノベーションですか?)が起きた。それがCDOやSIVだというわけです。

これらの発明の多くはロンドンのメイフェアあたりのタウンハウスにオフィスを構えた小さなブティック・インベストメントバンクによってコテージ・インダストリー的にひそかに始まったというのが僕の理解です(デリバティブの専門の方のほうがこのへんの事情は詳しいと思いますので間違いがあればご指摘ください。)

そのプラクティスは大手投資銀行にもすぐに模倣されどんどん拡大しました。気がついたときには合法的に「飛ばし」がおこなわれたパッケージ化された住宅ローン関連証券で世界は溢れかえってしまったわけです。そのうちのどれだけが「出戻り娘」で戻ってきて、その尻拭いを銀行がしなければいけないかが曖昧になってしまったんです。

「合法的飛ばし」の発明は銀行をして「バランスシートを気にせずに、じゃんじゃん行ける」経営環境を作りました。これはちょうどウォルター・リストンが采配を揮っていた頃のシティコープの経営姿勢と同じなのです。その末路に関してはジョン・リードのバランスシート革命というエントリーに書いておきました。


従って僕はスーパーSIVの頓挫は世界の金融界にとってとても良い治癒の第一歩だったと思います。(なぜならスーパーSIVはレバレッジをレバレッジで繰り延べする、絆創膏を張っただけの解決法で、問題のルート・コーズを抉り出す治療法ではないからです。)銀行が問題のある資産を自分のバランスシートでちゃんと受け止めるということは株式(ないしは優先株でも良いですけど)のような「期限の無いファンディング」でゆっくりと時間をかけて問題を処理する余裕を与えてくれます。

もちろん、焦げ付いたもの(或いは焦げ付くと思われるもの)については損金計上するわけで、これは銀行のバランスシートのエクイティーに対するヒット(毀損)になります。ですから放置するとどんどん銀行の自己資本比率は悪化します。銀行がSWFなどにお願いしてエクイティーを注入して貰っている理由はここにあります。幸い、今回の金融危機ではこうした一連の銀行のバランスシート修復作業はまるでボリショイ・バレーを観ているように一糸の乱れも無い優雅な動きでスムーズに進捗しました。(多分、読者の多くはこれらの銀行が損を発表すると同時に「穴ぼこをちゃんと埋めておきましたから」という発表をしてきた事すら気が付かなかったのではないでしょうか?)


その結果、米国の投資銀行や商業銀行の株はだんだん下値の抵抗が強くなってきています。右は今回、いちばん被害が大きかった金融機関のひとつであるシティですけど、$25のネックラインを超えて逆三尊が完成したようなチャートつきになっていますね。


 * * *

さて、レバレッジが下がってきているのは銀行だけではありません。いま、通常の株式投資の世界に目を転ずると、ミューチャル・ファンドもヘッジファンドも総じてキャッシュ比率が高くなっています。

これがもうこれ以上、株が下がらないと僕が考える理由です。


それではどのアセット・クラスが魅力か?ということですけど、もちろん一番魅力なのはBRICsをはじめとした新興国の株です。でもアメリカ株も結構割安だと思います。

次のFOMCでFEDがどのくらい利下げするかわかりませんけど、僕の考えでは:

1. 利下げなし = 市場はラリーする
2. 25bpの利下げ = 市場はラリーする
3. 50bpないしそれ以上の利下げ = 愚図愚図した展開に

というシナリオを持っています。

普通なら利下げ幅が大きいほど市場は好感するものですが、今は利下げサイクルの後半部分に既に差し掛かっており、特に今回のような金融不安が利下げの動機として大きく影を落としている場合に限っては利下げ幅が小さくなるということは「パニックが収拾した」というFEDの勝利宣言になるわけですから市場は好感しなければいけない筈なんです。
バスや電車の社内の液晶テレビで広告事業を展開しているヴィジョンチャイナ(ティッカー:VISN)が広州の地下鉄の社内およびプラットフォームにおける液晶テレビ広告の独占契約を広州メトロTVメディアと締結しました。広州市の人口は1000万人、そのうちの160万人が毎日地下鉄で通勤しています。また広州市はGDPでは中国で第3位の都市であり、比較的裕福なデモグラフィーです。

なお、同社の決算発表は4月24日です。

PS:僕がCFOを褒めると、そのとたんにそのCFOが会社を辞めちゃうということがジンクスになっているので()余り書きたくないのですけど、この会社のCFO、ディナ・リューはとってもしっかりした方だと思います。
2008/04/17のBlog
Simple is beautiful.などとよく言われますが世の中、美しいものが全て単純明快かと言えば、必ずしもそうとは限りません。

市場が効率的に価格を発見し、モノの需要と供給の最適値を自然に探し当てる様を形容して、アダム・スミスは「見えざる手」と名づけました。

この概念自体はとてもシンプルで美しいのですけど、シンプルなのはその呼称だけであって、Price discovery(最適価格発見)の過程や需要と供給がちょうどバランスするに至るまでの過程は無数の試行錯誤の積み重ねなのです。

つまり市場とは本来、カオス的であり、ちょっと見た感じでは雑然としていて、なにがどうなっているのか皆目見当がつかないものなのです。(嘘だと思えば一度NY証券取引所の場の中に入ってみるとよくわかります。僕はそこらじゅうに散らばった伝票に足を取られたり、場立ちの人に体当たりされて、何度、スッテンコロリン転んだことか。)そういうカオスの中で人々の打算や煩悩や不安などが複雑に絡み合いながら株価というものが出来上がってゆくのです。

しかし、我々のまわりにはそういう不可解でカオス的なマーケットでおこっていること、さらには投資という行為そのものを一冊の本で快刀乱麻にスッキリ説明してしまう、素晴らしいアドバイスや書物に満ちています。

「正しい投資の本」とか、「世界一わかりやすい○○」とか、「成功の秘訣」とか、「正しい使い方」とか、「シンプルな勝利法」とか、、、

でも最近の厳しい相場を目撃した方なら誰しも(それらの本から学べる程度の理論武装ではぜんぜん歯が立たないな)と感じているのではないでしょうか?。

そもそも相場が面白いのは悉く自分の思い通りにならない点なのです。(=これは女性と同じ。)

つまり相場は奥が深いのです。


もちろん、そういう事の一切が面倒で性急に結論だけを求める人も当然世の中には居ます。登山に喩えればヘリコプターで頂上まで運んでもらって、登頂したという証拠の旗だけを自分で立てるようなやり方です。

僕はそういうアプローチも否定はしません。

でも登山道の脇に咲いている花を眺めたり、時には休憩しておにぎりを食べたりしながら山登りするから楽しいのであって、頂上になるべく早く辿り着くことだけが目標だとは思わない、、、そういう価値観があっても良いと思うんです。


[ 04:28 ] [ 相場のテクニック ]
有名なヘッジファンド、タイガー・マネージメントの関連の「タイガー・カブ」のADRへの積極投資が米国の投資コミュニティーの間で話題になっています。銘柄としては:

シナSINA
アメリカ・モバイルAMX
バイドゥBIDU
メルカドリブレMELI
フォーカス・メディアFMCN
ニュー・オリエンタルEDU
ロングトップLFT
チャイナ・ファイナンスJRJC
グーシャンGU
チャイナ・エデュCEDU
チャイナ・セキュリティーCSR
ザナインNCTY
LDKソーラーLDK

などを買い集めているようです。今日はこの材料でシナ(SINA)が値を飛ばしました。
右の数字は2月から3月にかけての消費者物価の推移です。
こちらは去年の第4四半期から今年の第1四半期にかけてのGDP成長率の推移です。
上の経済統計がどの国のものかはこのブログを日頃から読んでくださっている皆さんなら即座に答えられるとおもいます。

僕がこれらの数字から読み取るメッセージはただひとつ:

「ソフトランディングはもう始まっている!」






PS:ただボンヤリとニュースの数字を眺めるのではなく、ひとつひとつの数字の意味するところをじっくり考えてみること。

2008/04/16のBlog
インフォシス(ティッカー:INFY)が第4四半期決算を発表しています。
市場予想とほぼ同じ(=インライン)の決算でした。

3月期売上高実績 11.4億ドル(+20.4%)
コンセンサス予想 11.4億ドル
3月期EPS実績 54セント(+9.2%)
コンセンサス予想 54セント
6月期売上高ガイダンス 11.42~11.45億ドル
コンセンサス予想 11.8億ドル
6月期EPSガイダンス 52セント
コンセンサス予想 52セント
FY09 売上高ガイダンス 49.7~50.5億ドル
コンセンサス予想 52.4億ドル
FY09 EPSガイダンス $2.31~$2.35
コンセンサス予想 $2.37

 * * *

(以下はCNBCインディアのインタビューの抜粋)

TOP100カスタマーに対して実施したIT予算アンケートに関しては76%から回答を得ているが回答が寄せられた顧客の全てが予算を維持ないし拡大している。従って問題は回答を保留している24%の顧客。意思決定の遅延に関しては4から6ヶ月程度の遅れは可能性として見ておく必要がある。(=踏み上げ注:前回のカンファレンス・コールと同様な「ひっかかり」を感じる部分)

営業マージンは去年と同じレベル。

ガイダンスを策定するに当たって使用した為替レートは40.02。稼働率は76%。

今期価格は+0.2%だった。ガイダンスを策定するにあたって価格上昇は織り込んでいない。

今期BFSI(銀行、金融サービス)部門の顧客からのキャンセルは無かった。

短期的にはBFSI部門は苦しいが、今回の混乱が収まればさらにアウトソースは増える。

ガイダンスを巡る不確実性としては95%がリピート・ビジネスなので全体としては自信を持っている。また米国経済が住宅ローン問題で景気減速してから既に9ヶ月経っている。だから思わぬサプライズが出る可能性は今後は低い。

ルピーは少し下がるかも知れない。

オンサイト(顧客の国における役務)はなるべく減らそうとしている。代わりにオフショア(インドにおける役務実行)を増やそうとしている。これはインフォシスのマージンにとっても良いし、顧客にとっても良い。(=踏み上げ注:ここのところは今後のインフォシスを見てゆく上で理解しておくべき大事な点→つまり売り上げ成長よりEPS成長に注目すること!)

サラリー:+11~13%オンサイト、+4%オフショア。

セールス・サイクルには変化なし。

大型ディールのランドスケープ:スローダウンなし。

15程度の大型案件、今期4つクローズした。ひとつは250Mil.。

ガイダンスに対するリスク:売り上げスローダウンは可能性としてある。価格はOK。ルピーはOK(ヘッジがあるから)。1Qはフラットを予想。

採用:25000人 8~10%アトリッション 21%成長。

バランスシート:2Bil.キャッシュ。

売り上げ対キャッシュフロー比率=15%


今後オンサイトからオフショアへの移行が加速すると見かけ上、売り上げ成長は鈍化する、しかしマージンは良くなる。

ラテンアメリカと日本でのビジネス獲得に業界の注目が移っている。

北米:様子見。 全体的な予算はダウン、オフショアリング増える。

欧州:成熟したグローバル・デリバリー・モデル。

価格交渉は秋から冬、今は余りネゴシエーションしていない。

欧州:BSFIは影響を受けている。製造、薬品はスローダウンなし。小売はまばらなキャンセルあり。

ユーロ高で輸出が減速している顧客あり。


インテル(INTC)が1Q決算を発表しています。

3月期売上高実績 96.7億ドル
コンセンサス予想 96.3億ドル
3月期EPS実績 29セント
コンセンサス予想 25セント
6月期売上高ガイダンス 90~96億ドル
コンセンサス予想 92.3億ドル

注目すべきデータ・ポイント
6月期のグロスマ・ガイダンスは56%、コンセンサスは54.9%。
通年のグロスマ・ガイダンスは57%、コンセンサスは56%。
設備投資ガイダンスは不変で50~54億ドル。
3月3日に示された世界のPC需要予想は+11%成長。
過去のQr.:4Q07売り上げEPSともにディサポイントメント。
3Q07売り上げEPSともポジティブ・サプライズ。

カンファレンス・コールの印象ですが、45ナノメターの生産ラインの歩留まりは多分順調で、経営陣は気をよくしていると思います。

インテルという会社は工場の新しい生産ラインがちゃんと高い歩留まりを示しているときは強気のガイダンスになりやすく、逆に工場が上手く行ってないと元気をなくす傾向があります。その理由はカッティング・エッジ商品の歩留まりさえ良ければ競争力ある価格設定で、大量の最新鋭のチップを他社に先んじて売ることでマージンを守り、新しい需要を刺激できるからです。

確かに外部環境(米国の景気)は悪いですが社内的な士気は高いはず。
あれれ。。。サン、読者サン他の方々から色々批判の声を頂きました。

ありがとうございます。

以前何回も書いたことですけど僕がこのブログを始めた動機は「普段、ヘッジファンドの仲間連中で駄弁っている相場のネタとかゴシップをそのまま書いたら、ひょっとしたらオモロイ事になるんじゃないか?」程度の軽い気持ちなのです。

 * * *

「おまえ、これどう思う?」

仲間内でああでもない、こうでもないと水掛け論を繰り返しながら、だんだん或る銘柄の置かれている状況を理解していったり、仲間の考え方やココロの位置を確認したりする、、、
ファンド・マネージャーの仲間内で情報交換する価値はそういうところにあるんです。ですからここでの議論は紛れも無くInstitutional level、つまり機関投資家の洗練度の議論です。

このブログの読者にはファンドマネージャーやセル・サイド、つまり機関投資家セールスの方に混じって、個人の一般の投資家の方も大勢いらっしゃると思います。

「話がわからない一般の投資家を混ぜちゃって、、、大丈夫なの?。」

昔、オフ会のとき、何度かそういう議論になりました。

「収拾がつかなくなるぜ。」

僕のそれに対する答えは:

「いや、僕はそうはおもわない。むしろ一般の投資家の理解度や潜在力を信じて、敢えて難しい議論でもそのまま出した方が良い。」

というものでした。なぜ僕がそう主張するかといえば、いままで個人投資家は「あいつらにはむずかしい話したって、どうせわかんないよ」式に証券界から見くびられ、コケにされてきたからです。

だから僕の方ではたとえご質問頂ける皆さんが個人投資家の方であってもちゃんとフランクリン・テンプルトン・ファンズやクレーマー&カンパニーやGICに接するときと全く同じ態度で敬意を持って回答していますし、自分のアタマで考えつくベストの回答を心がけています。(もちろん、僕のアタマが悪くて相場を間違えたり、状況把握が不正確だったりは当然します。)

ここで僕を批判して下さっているみなさんは僕をdiscredit、つまり僕の間違いを証明することにとても執念を燃やしていらっしゃいますけど(笑)、、、僕は自分の正しさを証明しなきゃいけないことは何も無いんです。(そんなのはじめから「僕は間違っている」と明言しているし、皆さんが損して気分を害されているときは必ず先ず謝っています→ところでみなさんは金融機関の方やマスコミの方から相場の見込み違いをちゃんと謝ってもらえた経験、ありますか?。僕がいつもみなさんに謝っているのは別に商売上の関係があるからとかそういう事ではなくて、いま、ここに相場で損して気分を害している友人が居たら、その人の気持ちを汲んで同情するのがともだち同士の当然の行動だと思うからです。)

僕がマーケットのからくり、経済の仕組み、銘柄の特徴などに言及するのは「知ることは楽しい」という僕自身の信念からやっていることであり、「仕組みが分かると、、、おもしろいよね。」という単純な喜びを皆に知ってもらおうという気持ちからやっているわけです。だからこそ、「プロになる前にヲタになろう!」と主張しているわけです。

僕自身の話を少しすると、僕はもう結構長く相場を見ているのでマーケットから学ぶものというのは余り多くないし、年老いたイヌに新しい芸が仕込めないのと同じで、カイゼンにはたいへんな労力が必要になりつつあります。だから皆さんから「直せ」と言われたて、悪い相場観はなかなか直りませんよ。ただ、個人投資家の方々にはこれまでぜんぜん接点が無かったんですね。ですから皆さんがどういう風に才能を伸ばしてゆくのか?という問題にはたいへん興味を持っているし、この部分は新しい発見が沢山あります。つまり僕が夢を託しているのは皆さんのスキル・アップへ貢献することの方なのです。

2008/04/15のBlog
ペトロブラス(PBR)、BG、レプソルのコンソーシアムがリオデジャネイロ沖合いのカリオカ油田で330億バレルBOEにも上る超ど級の油田を発見したというコメントがありました。

(なお、急いで付け加えておくとブラジルの石油省は未だこの埋蔵量を確認していません。)

今回のカリオカ油田の330億バレルという数字が如何に大きいかは右のグラフをみて頂ければ一目瞭然です。

去年、ペトロチャイナがジ東油田を発見して大騒ぎになったわけえすけど、それよりペトロブラスが発表したトゥピ油田の方が大きいし、今回はそのトゥピ油田の5倍というから驚きです。

カリオカのコンソーシアム(PBR、REP、BG)の持ち株比率がそれぞれ何パーセントなのかは今調べ中です。だから黄色のバーの全部がPBRの所有になるわけではないので早とちりしないで下さい
実はペトロブラスのトゥピ油田が発見されたとき、この発見が「今後大型油田の連続発見につながる可能性がある」という事は第4回のリアルタイム・ネット勉強会で皆さんに説明しました。

その根拠をもう一度示しておきます。

右の図のグリーンの矢印でしめしてある部分がトゥピ油田です。
(BMS-11が鉱区の名称)

さて、そのトゥピ油田とおなじ赤の破線の円で囲った探索地域に白いまだらが見えていると思いますが、これらが潜在的油田です。ここは等高線の色が一段と濃く、これまでのペトロブラスの操業してきた海底油田より深度が深いことがわかります。
これは油田の断面図ですけどこの図のいちばん上が海の底、つまり海底です。海の深さは大体1500メートルです。カンポス油田をはじめとするペトロブラスのこれまでの殆どの既存油田は①の断層に所在しています。黄色の矢印は海底からさらに深さで3000メートル程度の深さのところにあります。地質はサンドストーンと呼ばれる地質です。

ペトロブラスはポートフォリオの分散を目指していたので、これまでより遥かに深い掘削深度の油田を探索してきました。今回のトゥピィ油田は②の、プリサルト、つまり岩塩層の更に下に位置しています。

僕は未だニュースの詳細を読んでいませんけど、今回のカリオカ油田が②の掘削深度の油田であることはほぼ間違いありません。

このようにトゥピの試掘の成功はこれまでの油田のポートフォリオとは全く違った、新しい油田の発見の可能性を大きく広げたことを意味するのです。
今回カリオカ油田が発見されたことはウルトラペトラルを始めとするオイル・サービス船を所有している業者にとっても大きなプラスです。なぜならこれらの油田は海底深くに位置しているため、やぐらを組むわけには行かないからです。

そこでFPSOと呼ばれる移動式リグで採掘作業を行います。この移動式リグにはGPSがついていて自分の位置を常に一定に保てるようになっています。その他、ウエルヘッドやフレキシブル・ラインなどあらゆる設備にハイテクを駆使する必要があります。ペトロブラスはこれらの機器ならびに採掘の段取りをできるだけスタンダード化し、作業効率の向上を目指しています。今回発見されたトゥピ油田の生産開始が2010年ないし2011年と比較的先である理由は先ず最初にこれらの設備を調達、さらに現地の事情に合わせて調整しないといけないからです。

オイル・メジャーとよばれる世界の石油会社の殆どは一生懸命あたらしい油田を探していますけど、なかなか発見できていません。ペトロブラスは独力で次々に新油田を発見してきた素晴らしいトラックレコードがあります。しかもその発見の大半はオフショアの深海の技術的に難しいところばかりです。今回の発見でいよいよペトロブラスがエクソンを抜いて世界最大の上場石油会社になる可能性が出てきました。

(なお、天然ガスをBOEベースに換算するとガスプロムの方が埋蔵量は大きいですし、OPEC諸国の非上場国営企業ではエクソンより埋蔵量の大きい企業は沢山存在します。)

 * * *

PS:僕は最近、「ペトロブラスを売って、ルクオイルに乗り換えたほうが良い」と言ってきましたので、乗り換えちゃった人にはごめんなさい(また間違えた、、、)。

ペトロチャイナがジ東油田を発見したときはそれこそ「何十年に一度」という大発見でした。ところがペトロブラスがトゥピ油田を発見して、また「何十年に一度」という大発見が出ちゃった、、、だから可能性として上で説明したプリサルト層における新油田発見の確率が高いことはわかっていても、これほど(=今回のカリオカ油田のこと)の馬鹿デカイ油田がこんなに早く発表になるとは夢にも思いませんでした。

(考えても見てください、エクソンとロイヤル・ダッチという世界で時価総額が一番大きい2つの石油会社の確認埋蔵量を合計した規模の油田が今回イッパツで出ちゃったわけです。これって、、、、そうそうあることではないと思うんです。)


追記:

カリオカ油田の権益は:
ペトロブラス 45%
BG 30%
レプソル 25%

です。

それからカリオカ油田の試掘は1本のみ。330億バレルがリカバラブル・リザーブかどうかは明言はありませんでした。

=前回のトゥピ油田のときの公表はコンサーバティブな数字を使っていたので今回の公表が突然アグレッシブな数字を公表するとは思えません。

それからトゥピが発見されたと同時にオークション・ブロックから降ろされた、ブラジル政府の温存する鉱床はカリオカ以外にもまだまだあります。
2008/04/14のBlog
今日のウォール・ストリート・ジャーナルの第一面の記事は『食品インフレ、暴動の発生が世界の政治家を震撼させている』というものです。(右の写真の出典はAP、ハイチでの暴動の様子です。)

僕が面白いなと思ったのは最近の穀物市況の高騰で、どの国が比較的恩恵を蒙って、その一方でどの国が窮地に立たされているかを示す右のグラフです。

これを見ると最大の恩恵を蒙った国はバラグアイです。また、リストの上位にはアルゼンチンやブラジルも入っています。これらの国はいずれも南米の穀倉地帯、パラナ・パラグアイ川流域の国々です。

また、タイランドやベトナムも恩恵を受けた国のリストに入っています。

それから欧州屈指の穀倉地帯のひとつであるウクライナも登場しています。

一方、困っている国のリストの中には中国やインドも入っています。
『ダイヤモンド・ザイ・オンライン』に新しい記事がUPされています。

いま話題の穀物相場に関する記事です。
去年の7月に『BRICsここが危ない』という標題でネット・セミナーをひらきましたが、そのときに喋った内容に関連する記事です。


そこであの時喋った内容を簡単に復習すると:

過去四半世紀で見ると第二次石油ショック以降、基本的にアメリカの金利はずっと右肩下がりでした。これは金融商品を提供する金融機関の側からいえば新しい商品を作り易い環境と言えます。

その好環境の中で次々に新しい金融商品が消費者に提示されました。住宅ローンやクレジット・カードなどの借金のコストそのものが下がったのみならず、使い手からみた利便性、さらに融資審査の基準が緩まるなどいろいろな要素が重なって金融商品の消費者への浸透は一層加速しました。

これは所得が一定でもより多くの財やサービスを消費者が買えるようになったことを意味します。つまり自分の収入を超えるライフスタイルをエンジョイすることが出来るようになったわけです。

学資ローン、自動車ローン、住宅ローン、クレジット・カード、、、長期に渡る低金利でこんにちのアメリカの消費者は待つことをせず、すぐ借金して欲しいものを手に入れるという生活態度になりました。

投資家の考え方も世界経済がちょっとクシャミするとすぐアメリカの金利を下げていつものように消費者に窮地を助けてもらおうとします。

しかし、今後BRICsのパワー・アップが原因で世界の金利が上昇トレンドに入るとこうした先進国の消費者に依存する方法はだんだんやりにくくなります。アメリカの消費者の世界経済における重要度は既に低下しはじめているのです。


それでは一体、誰が新しい需要創造の担い手になるのでしょうか?。
それは今、物凄いスピードで膨れ上がっているエマージング諸国のミドルクラス層です。彼らの特徴はまず現在の一人当たりの購買力は小さいけれども人口で言えばとてつもなく大きい勢力であるということ。

次に彼らはこれまで銀行サービスなどと余り縁が無く、借金体質になっていないということです。

エマージング・マーケットではこれまでは国の信用度が低かったので外国から借金する場合も高い金利を払わないと駄目でした。しかし、最近は先に見たようにBRICsはどんどん外貨を貯めこんでいるし、信用力は格段に上昇しました。これは借金のコストが先進国とたいして変わらなくなったことを意味します。それはエマージング諸国の銀行が先進国の銀行サービスと同じような商品、例えばクレジット・カードとか住宅ローンとかオート・ローンなどを提供できるようになったことを意味するのです。

エマージング諸国の新しいミドルクラスが消費の一大勢力として台頭するということはいろんな面でこれまでの我々の投資に関する先入観を変えてゆかないといけないことを意味します。そこではいままであてにしていた需要が期待通り実現しなかったり、逆にいままで考えもしなかったような財やサービスが突然、需要爆発で逼迫するというケースも出てきます

例えば去年は中国などからくる石油の需要増を囃して原油価格がラリーしました。ところが今年(2007年)中国ではポークの値段が急騰していて社会問題化しています。3月から4月にかけてポークの値段は29.3%も上昇しました。これは疫病の発生で一部の豚が死んだことも影響していますけど、それよりトウモロコシなどの飼料の高騰、肥料の高騰、家畜向けお薬の高騰などが原因です。中国でガソリンが不足しても暴動は起きませんが中国人の大好物の豚肉の値段が急騰すると庶民の不満は一気に高まるのです。中国政府はこの事態を重く見て豚の戦略的備蓄を進めています。

豚肉価格の高騰は中国の消費者が今物凄い勢いで購買力を蓄え始めていることを如実に示していると思うのです。これまで専ら工業セクターに関連するコモディティー価格が上昇していたのが、今、消費セクターにも波及してきているのです。

つまり私の言いたい事は昨日まで世界の消費の牽引車の役割を果たしてきたアメリカの消費者が、エマージング諸国のミドルクラスに取って変わられる過程というのはまだ我々が誰も経験したことのない全く新しいことであり、一体どんな波乱万丈が待ち受けているかわかったものじゃないということです

つまり昨今の世界の株式市場の安定とはウラハラに不確実性は高まってきていると私は考えるわけです。(去年7月のオンライン・セミナーのスクリプトからの転記です。)