岐阜県大垣市民病院は26日、死亡2例を含む医療ミス4件があり、計約1億2000万円を支払うことで遺族や患者と和解したことを明らかにした。腸を上下逆に取り付けたり、複数のミスを重ねる深刻なケースが含まれており、曽根孝仁院長は「あってはならないことと真摯(しんし)に受け止めている。一丸となって再発防止と信頼回復に努める」と陳謝した。
腸切除などの手術から約4カ月後の07年2月に死亡した大垣市の男性(当時61歳)=和解金5800万円=のケースでは、手術中に大量出血して術後もショック状態が続いたのに、病院側は輸血しなかった。さらに、血圧を上げる薬を過剰投与して心室細動を起こし、近くに除細動器もなく、蘇生処置まで約10分かかるという多重ミスを犯していた。
また、05年1月に腸の手術を受けた大垣市内の50代の男性=同2000万円=は、術後に腸閉塞(へいそく)や胆管炎による敗血症になり、ICUに入れられた。造影検査をしたところ、小腸が上下逆に吻合(ふんごう)されていることが判明。再手術で元に戻したが、男性は今も頻繁な下痢に悩まされているという。
ほかにも、数回の手術を受けて免疫力が低下したのに術後管理が不十分だった男性=同2650万円=が、MRSA(抗生物質耐性黄色ブドウ球菌)感染などで死亡。がんの科学療法を受けた女性=同約1550万円=は、本来1日だけの抗がん剤を3日間投与され、腎機能障害が残ったという。【子林光和】
毎日新聞 2008年5月27日 2時15分(最終更新 5月27日 2時23分)