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レジ袋削減
- 2008/05/26
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すぐできる温暖化防止策
スーパーなどで買い物をした際に無料で配布されるレジ袋。それをなくす取り組みが広がっている。家庭ごみを減らし、地球温暖化を防止する効果もあるからだ。事業者と協定を結ぶなどしてレジ袋を有料化している自治体は、全国で二十八に上るが、多くは一部店舗での実施にとどまり、まだ試行段階にある。温暖化問題への関心の高まりを背景に、市民ができる活動として普及させたい。
レジ袋を含めた容器包装の廃棄物は、家庭ごみの約六割を占めている。二〇〇七年四月に施行された改正容器包装リサイクル法では、レジ袋を大量に使用している事業者に対し、有料化や削減目標などの取り組み状況を国に報告することが義務付けられた。自治体は循環型社会を目指す立場から事業者への支援、市民への啓発活動などを担うことになった。
環境省が改正容器包装リサイクル法の施行一年に当たってまとめた調査(四月一日現在)によると、レジ袋の削減手法としては、行政と事業者との協定に基づいて有料化に転じるケースが最も多く、全国で二十八自治体に上った。このうち県内は、横浜市が五社五店舗で、川崎市が二社八店舗でそれぞれ実施している。川崎市の事例では、有料化によりマイバッグの持参率が13%から80%に向上する効果が報告された。
東京都杉並区はコンビニも含めた事業者を対象にした条例を制定。協定レベルでは富山県などが県内全域で有料化に踏み切った。町田市は市民団体と事業者が自主協定を締結して廃止実験を三月からスタート。有料化以外でも、レジ袋を辞退すると景品のポイントがもらえる制度などを導入している自治体は十七あった。
しかし、こうした積極的な自治体はまだ少数派だ。今後、有料化に取り組みたいと回答した全国の自治体も十九にとどまり、県内からの名乗りもなく残念である。
レジ袋の削減が重要視されてきたのは、温室効果ガスを減らすことにつながるためだ。年間の使用量が約三百億枚と言われているレジ袋の原料は石油。製造から焼却までに百数十万トンの二酸化炭素が排出される。わが国に6%の削減を義務付けた京都議定書の約束期間は四月から始まったが、〇六年度の排出量は一九九〇年度を6・2%上回っており、目標達成は依然厳しい状況にある。レジ袋の削減は、今すぐ、誰にでもできる温暖化防止策といえよう。
県は一月、新たな温暖化対策「クールネッサンス宣言」を発表した。レジ袋の使用抑制とマイバッグの使用奨励も、その中に盛り込まれている。政府も国民運動として呼び掛けている。温暖化対策の強化にはライフスタイルを変えることが求められる。多少不便さを感じてもレジ袋は断る。そうした節度ある行動が地球を救う。