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2008年5月27日

 「長寿と職業」の関係は、画家と僧侶がよく話題になる。絵描きは筆を持つ指先が脳を活性化すると言われ、高僧で長生きするケースが多いのは粗食や人生を達観した心が影響するなどと推測されている

最近は画家と僧侶に加えて、首相経験者も長生きすると付け加えたくなる。中曽根康弘元首相がきょうで90歳になった。吉田茂89歳。岸信介90歳、福田赳夫90歳、鈴木善幸93歳、宮沢喜一87歳など各氏の長命が思い浮かぶ

首相の精神的重圧やストレスはただならぬものがあろう。在職中に急死したり職務放棄のように突然辞職する例も、あるにはある。が、これだけの長寿例をみると、日本人の平均寿命の伸びだけでは説明がつかない

長寿の秘けつを問われて「食い物がちがう、私は人を食っている」とジョークを飛ばした吉田元首相の話は有名だが、どの首相も、ポストに就いてから「人を食う」大胆さを身につけるのかもしれない

それにしても、首相経験者が長寿なのに、首相が「短命」なのは何とも皮肉だ。中曽根氏の卒寿を寿(ことほ)ぎながらも、福田康夫首相の「寿命」が気になる昨今である。


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