売買ルール以外に大切なこと
2006年11月29日今回も、メルマガからの転載です。
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こんばんは。IIT稲葉です。
前回、前々回のメールで、斉藤正章さんとのシストレ談義について
書いてきました。
そのシストレ談義の際に出てきた個別株式のシステムトレードで、
実際に使えそうなアイデアについては、既に取りあげました。
つまり、
(1)空売りのシステムで、十数年間ワークし続けたテクニカル指標を
見つけることは難しい
(2)逆張りの場合、大量にシグナルが発生したときには、非常に効果
が高い
という2つのアイデアです。
斉藤さんからこの話を聞いて、後日、私自身も、手元にある検証用
ソフトとエクセルを使って、この2つを確認してみました。
その結果、確かにその傾向はありました。
人から聞いたアイデアを、自分でも検証できるというのがシステム
トレードの良いところです。
これは、裁量トレードでは、なかなかできないことです。
場合によっては、検証不可能なトレード手法もあります。
もしかしたら、あなたは、
「斉藤さんが既に検証済みのアイデアなのに、何でそれを自分でも
わざわざ検証してるの?」
と思われたかもしれません。
しかし、私は検証作業をしています。
これは、斉藤さんを信じていないとか、私が疑い深い性格である、
という意味ではありません。
「どんなシステムでも、自分に合っているかどうかを探ることが、
大切である」
と考えているからです。
システムトレードでよく言われている、
「売買ルールさえ与えられたら、あとは誰がやっても同じ結果に
なる!」
というのは、正しい部分も間違っている部分もあります。
システムトレードにおいて、「誰がやっても同じ結果になる!」と
いうのは、簡単なことのようで難しいことです。
なぜならば、人によって、資金量・性格・リスク許容度が異なる
からです。
その中でも、一番分かりやすいのが「資金量」です。
資金量に制約があると、トレードできる銘柄とトレード出来ない
銘柄が出てきます。
また、許容できる損失額も当然異なります。
そんなわけで、
「売買ルールに合致した銘柄を、『全て』買い付けることが出来た
ときの、バックテスト結果は良好だった。」
という話は、今一つ信用ができません。
現実的には、資金量に制約があるからです。あなたにとって本当に
大切なのは、
「自分の資金量を考慮したバックテスト結果が良好だった。」
ということです。
本来であれば、それが確認できない限り、そのルールに従ったトレ
ードは、行うべきではありません。
売買ルールよりも資金管理が大切なのは、こうした理由があります。
また、「性格」や「リスク許容度」の問題も無視できません。
どんなにバックテスト結果が有効であったとしても、あなたが心理
的に耐えられない売買ルールであれば、それは、使い物にならない
売買ルールだからです。
売買ルールや資金管理よりもメンタルコントロールが大切なのは、
こうした理由があります。
優れたシステムトレード関連の本で、資金管理とメンタルコント
ロールについての記述が抜けているものを、私は知りません。
優れたシステムトレーダーは、その2つの要素が成功するために
必要不可欠なものであるということを知っているからです。
多くのトレーダーにとって必要なのは、売買ルール・資金管理・
メンタルコントロールが一体となっているノウハウです。
どれか1つでも欠けていれば、ワークしないと思います。
そして、売買ルールについては、自分で検証できる環境が与えら
れていることです。
自分で検証して初めて、自分に合ったルールであるかどうかが分
かるからです。
それがあって、はじめて良いシステムトレードの実践書になるの
ではないかと、私は考えています。
http://www.esystemtrade.com/stock/index.html
システムトレードの良い面も厳しい面も踏まえて、斉藤さんの監修も
受けて作られた、他では見られない、個別株式のシステムトレードの
実践書です。
今回のメールでは、システムトレードの厳しい面ばかり指摘しました
が、それでも、裁量トレードよりは実践しやすいと私は思います。
過去のデータに裏付けられた有効性を基にトレードが出来るという
のは非常に心強いです。
だからこそ、あなたも、私みたく、特段のトレードセンスがないと
自覚しているのであれば、システムトレードを導入すべきなのだと
私は思います。
(稲葉)
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【追伸】
私の知り合いの小澤政太郎さんという方が、「健全なFX投資」について語っています。特に、為替変動リスクのヘッジをどうするかという話が、非常に参考になります。
http://www.esystemtrade.com/ozawa_c/ozawa_free.html