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四川大地震:パンダにも「心の傷」…保護センター公開

震源地に近い臥竜パンダ保護研究センターで寄り添う生後7~8カ月の赤ちゃんパンダ。後方は地震でできたガケ崩れ=中国・四川省ブン川県で2008年5月24日午後1時35分、石井諭撮影
震源地に近い臥竜パンダ保護研究センターで寄り添う生後7~8カ月の赤ちゃんパンダ。後方は地震でできたガケ崩れ=中国・四川省ブン川県で2008年5月24日午後1時35分、石井諭撮影

 【臥竜(中国四川省)庄司哲也】中国・四川大地震の震源地・ぶん川県の臥竜(がりゅう)ジャイアントパンダ保護研究センターは24日、毎日新聞に内部を公開した。地震の影響で、赤ちゃんパンダは落ち着かなくなるなど心理的影響が出たほか、土砂崩れで飼育舎の一部が損傷。生々しい傷跡をさらしていた。

 地震発生後、日本メディアで同センターの取材を許可されたのはこれが初めて。

 センターは海抜約2300メートルに位置する。記者が訪れると、生後7~8カ月の赤ちゃんパンダ6頭が無邪気にじゃれ合って遊んでいた。ただ、愛らしい光景とは対照的に、飼育舎裏側の斜面が数十メートルにわたって崩落し、地震の大きさを物語る。

 センターの黄炎(こうえん)主任(44)によると、赤ちゃんパンダのほとんどがおびえて落ち着きを失った。成長したパンダも数日間、食べ物を受け付けなかった。「パンダがあれほど怖がったのは見たことがない」と話す黄主任ら職員が抱きしめたり、一緒に遊んで「心の傷」を少しずつ癒やしているという。

 地震による土砂崩れで流れ落ちた硬い大きな岩があちこちに転がり、「パンダの病院」棟の厚いガラスも岩の直撃を受け破損、大きな穴が開いていた。飼育施設32棟のうち14棟が損壊した。60頭のうち2頭が負傷した。

 センターへ通じる東西2本の道路も土砂で埋まり、センターは一時孤立。地震直後に逃げ出したままの1頭の行方が今もわかっていない。主食のササは周囲に豊富にあるが、地震で道路状況が悪いため、赤ちゃんパンダ用のミルクや果物が不足気味という。

 センターは国内外から年間約20万人が訪れるが、黄主任は「完全復旧がいつになるかわからない。一般参観も当面難しい」とため息をつく。今月上旬に訪日した胡錦濤国家主席は日本へのパンダの貸与を表明したが、臥竜のセンターから選ばれるとみられている。

※ぶん川県の「ぶん」はさんずいに文

 ◇「五輪パンダ」8頭が北京に

 【北京・鈴木玲子】臥竜パンダ保護研究センターのパンダ8頭が24日、特別機で北京動物園へ移送された。8月の北京五輪に合わせ約半年間、貸し出される「五輪パンダ」で、いずれも元気という。6月1日から一般公開され、園側は特別に河南省などから新鮮な竹を毎週運び、与えるという。

毎日新聞 2008年5月25日 2時30分(最終更新 5月25日 2時30分)

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