凛として時雨 インタビュー [Brand-new Artist]
爆音ギターサウンドを凶器のように振り回しながら、熱い疾走感と冷静な構成力、不思議な叙情性を併せ持つ唯一無二のオリジナリティあふれる存在。「凛として時雨」は、エモやオルタナティヴ、ハードコアなどのリスナーも、Jポップのリスナーをも取り込む摩訶不思議な吸引力を武器に、グングンとライヴの動員を増やしている注目バンドだ。最新作となるファースト・シングル「Telecastic fake show」で、そのファン層はさらに広がることは間違いない。 |
■「普通にポップな音楽が好きで、あんまり激しい音楽は聴かないんです」(TK)
So-netMusic(以下So-net):初めて知る人も多いと思うので、まずはプロフィールを―― 結成から何年ですか? TK(Toru Kitajima/Vo&G/写真左):5年ぐらいですね。当初はドラムが違ったんですけど、このメンバーになって3年ちょいです。もともとこの二人(TK&345)が大学生の頃にコピーやオリジナルをやってる遊びのバンドをやっていて、それが解散して、またバンドをやりたいということで「凛として時雨」ができました。それまではパートが違ったんですよ。345はギター&ヴォーカルで、僕はギターだけやっていて。 345(Miyoko nakamura/Vo&B/写真右):二人とも、「時雨」を始める時に初めて歌って、初めてベースを弾いたんです。 TK:別のメンバーを二人集めるのがめんどくさかったんです(笑)。 So-net:それからピエールさんが加入したのは……。 ピエール中野(Masatoshi Nakano/Dr/写真手前真ん中):1年半後ぐらいです。たまたま凛として時雨のホームページをみつけて、音源を試聴して、すごいカッコいいなと思って。自分も地元でイベントをやったりしてたんで、「今度ライヴ見させてください」ってメールを送って、見たらやっぱりカッコ良かったんで、いろいろ親交が深まって。で、ドラムが脱けるという話になって、「ちょっと叩かせてよ」って言って、やったらいい感じだったので。 So-net:それぞれ、音楽遍歴はどんな感じですか。 345:もともとピアノを習っていて、高校ぐらいからギターを始めて、バンドでJUDY AND MARYのコピーをやったりしてました。今は東京事変とかが好きです。中島みゆきさんとか、小谷美紗子さんとか。女性ヴォーカルが好きなんです。 TK:僕は、中学校の頃に好きだったのはゴスペラーズなんですけど。 So-net:おおっと。意外ですね。 TK:けっこう意外なんですけど。あとはB’zとかLUNA SEAとかGLAYとか、みんなが聴いてるようなものを。で、クラスのもう一方ではハイスタとかグリーンデイとかを聴いてる人たちがいて、二つに分かれていたんですけど、僕は邦楽のほうで、洋楽はあんまり通ってないんです。ニルヴァーナとかも通ってない。「洋楽好きそうだよね」「プログレとか好きでしょ?」ってよく言われるんですけど、あんまり……。ドリーム・シアターとかも聴いたことないし(笑)。普通にポップな音楽が今でも好きで、あんまり激しい音楽は聴かないんです。小田和正とか、来月ライヴに行くんで今から予習してます(笑)。 So-net:聴いて楽しむ音楽と演奏する音楽とは別ものだと? TK:そうですね。 ピエール:がっつりハマッたのは、尾崎豊、電気グルーヴ、LUNA SEAです。小学校5年生から中学にかけて。今でも聴きますね。ドラムは高校に入る前ぐらいからで、きっかけはいろいろあるんですけど、一番大きかったのは、XのライヴビデオでYOSHIKIさんを見たことです。今はPerfumeが好きです。池田亮司という、ミニマル音響系の人もかなり聴いてます。自由にやってる人が好きですね。時雨もそうだったし。 ■「常に音楽のことを考えてるわけじゃないけど、自然と必要なものになってる感じで す」(TK) So-net:時雨を始めた時には、はっきりした音楽的ビジョンはあったんですか。 TK:なかったですね。自分で歌うのも初めてだったし。最初はこんなに高い声じゃなかったんですけど、ある日……。 345:「自分の声が聴こえない」って言って、1オクターヴ上で歌って。 So-net:デスメタルが好きだったとかじゃなく? TK:ないです(笑)。 So-net:バンドとして思い描いた夢とかは? TK:一攫千金とか? ないです(笑)。やりたいことはありますけど。100万枚売ってみたいとか、日本でトップになりたいとか、そういうのはないです。 So-net:そのへんのモチベーションをぜひ聞きたかったんですよ。音楽的には相当な技巧派だし、リズム・チェンジを多用したり緩急とりまぜた構成が緻密だったり、頭がクールじゃなきゃできない音楽で、でも伝わってくる思いはすごく熱い。これは何だろう?と。 TK:何ですかね? 作ってる時には考え込むことは多いですけど、常に客観的に見てる自分がいるので。時間をかけて曲を作ると、聴いてるうちに良く聴こえてくるんですけど、それでなんとなくカッコいいと思っちゃうのが嫌なので。常に「初めて聴いたらどうなのか?」と思いながらやりますね。自分がいいと思えるところまで持っていくためには、相当集中して作ります。それがさめてるのか熱いのかといったら微妙なところなんですけど、冷静さはどこかにありますね。セッションで作るタイプのバンドじゃなくて、僕が打ち込みまで作ってからメンバーに聴かせることも多いです。それで二人にリスナーとして聞いてもらってカッコいいと思ってもらえたら、それから3人でやってみる。 So-net:けっこう打ち込みっぽい音も使うし、ギターの音をサンプリングしてカットアップ的に突っ込んでみたり。ニューシングルの「Telecastic fake show」にもそんなところがありますね。 TK:そうですね。ギターの音を切ってきて貼ったりとかは、けっこうあるかもしれない。 345:「完成だ」と思ったところから、5回ぐらい変わったりするので。 TK:「完成だ」と思った時って、その音楽に慣れてしまってるんですね。それを一回冷静になって聴いて、「やっぱりカッコいいな」と思ったらそのまま完成するし、「まだ行けるな」と思う時にはやり直しますね。前のアルバムも、マスタリングの当日までミックスをいじってたし。 So-net:音楽がなければやっていけない人ですか? TK:ん~、そうなのかもしれないですけど、あんまりそう思わないようにしてるというか、常に音楽のことを考えてるわけでもないし。……何なんだろうな。 So-net:問い詰めてるわけじゃないですよ。どんなスタンスで音楽と向き合ってるのかを聞きたいだけで。 TK:時間があれば常にギターを弾こうとか曲を作ろうと思っている訳ではなくて、自然と必要なものになっているという感覚です。僕はある一瞬だけ集中するタイプなんで。 ■「ライヴでやるのを見に行きたいですね、自分が」(ピエール中野) So-net:シングル「Telecastic fake show」はどんなふうに作った曲ですか。 TK:2年ぐらい前に一人でアコースティックでライヴをやる機会があって、そのために曲を作ったんですけど、その時は披露できずに終わって。そのネタと、新しく作ったリフを合わせてみたらけっこうハマッて……テンポもキーも全然違うけど、それが個人的にしっくり来たので。 345:カッコいい曲だと思います。楽しいです。 ピエール:イントロの終わりで歌が入るところとか、途中で静かになってリムショットをカチカチやってるところとかが好きです。全体の流れも好きですね。ライヴでやるのを見に行きたいです。自分が。 So-net:詞はどんなイメージで? TK:自分と自分というものが何かしら描ければな、というのが漠然とあったんですけど。 So-net:自分と自分? TK:「君」と言ってるのが自分だったりして。自分の中のこの部分とこの部分と……というイメージが強くありました。感覚的に書くことも多いので…「ここの意味は?」と訊かれても、書いた時の自分にしか分からない事もあって。時雨の歌詞が「意味がわかりづらい」って言われるのはよくわかるんですけど、意味を押し付けたい気持ちもないですし、自分の中では表現したい景色とか感覚が言葉としてあるので、それを表現出来ればいいのかなと思います。 So-net:痛い言葉もたくさん使いますよね。「殺す」とか「刺す」とか。「サディスティック」とか。 TK:最初に作った曲が「鮮やかな殺人」ですからね(笑)。そこからよくわからないスイッチが入ったというか……曲を書いてる時はふだんと違う感覚で、ギターの音も出した瞬間にそうなってるし、言葉もそうだと思います。何かそういうスイッチが入るんですね。 So-net:そのへんが、最初に言っていた「聴く音楽とやる音楽は違う」というところですか。 TK:そうですね。ふだんはハナレグミとか聴いてしんみりしてますからね。 So-net:わかりました、そこは解明しません。聴き手にゆだねましょう。 TK:そうですね。 ■「意外とソフトな部分もあるので、怖がらずに聴いてください(笑)」(TK) So-net:今回は「シングルだから」という意識は強かったですか? たくさんの人に聴いてもらうために、よりわかりやすくとか。 TK:それがあったら、もうちょっとわかりやすい曲にしますね(笑)。最初にスタッフに聴かせた時、「これがシングル?」って言われましたから(笑)。「これです」って。僕らにできることはこれだし、作った時点で自分らの中ではフィックスしてるんで。売れる売れないとかは結果だから、そんなに意識はしてないです。 So-net:ライヴの動員が増えたり、こうして取材の場が多くなったり、状況が良くなっている実感はあります? TK:そうですね。昔に比べると、着実に聴いてくれてる人は増えてるなと感じます。 345:うれしいです。 ピエール:今の状況だからできることがどんどん広がってくると思うので、それをきちんと自分たちでやれるような環境を作っていきたいですね。周りの人はいろいろ言いたがると思うけど、ちゃんと自分たちの思うように活動できればなと思います。 So-net:これからの希望や夢はありますか。 45:最近みんなで言ってるのは、海外でライヴをやってみたいということです。 ピエール:リリースもしたいですね。何年も言ってるんで、そろそろ実現させたいです。 So-net:では最後に、これから凛として時雨を聴こう思っている人への誘いの言葉をもらえますか。 TK:男女ツイン・ヴォーカルがやたら高い声で歌ってて、そのうしろでやたらドラムが叩き狂ってる音が好きな人は、たぶんハマるんじゃないかなと思います(笑)。ぜひ一度試聴なりをしてほしいです。意外とソフトな部分もあったりするので、そこは怖がらずに聴いてほしいです(笑)。 ●Text/宮本英夫
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凛として時雨(リントシテシグレ) 2002年に埼玉県にて結成。TK(Toru Kitajima/Vo&G)と345(Miyoko Nakano/Vo&B)の男女ツイン・ヴォーカルにピエール中野(Masatoshi Nakano/Dr)が加わった3ピース。2005年11月に自らのレーベル「中野レコーズ」より1stフルアルバム『#4』をリリースし、その後はフルアルバム2枚とミニアルバム1枚をリリース。2007年秋の全国ツアーのファイナル・渋谷AX公演はSOLD OUTを記録するなど、今最も勢いとオリジナリティのあるロックバンド。 ■オフィシャルサイト http://sigure.jp/ |
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タグ:凛として時雨
2008-05-02 10:08
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やっぱりこれって運命なのかもしれませんねw
ぜひお付き合い願いm((殴
最近345さん明るくなりましたね!!!
すばらしいことです。。。。
GIGSの機材参考になりました!!
TKさんの足元の謎がとけましたーw
早速エフェクター買いあさりますw
ピエールさん・・・・・面白いwwww
by 大河くん (2008-05-02 20:54)
相変わらず時雨の皆さん面白い…w
<strong>Q1.コーヒーと紅茶</strong>
→コーヒーはまだ飲めへんので紅茶!!!(お子ちゃまですww)
…飲みたいですw笑
<strong>Q2.うどんとそば</strong>
→うどんww
断然うどん!!
のどごしが素敵☆
カトキチのうどんは絶品ですね。笑
激しく同意です。
<strong>Q3.白と黒</strong>
→黒!!!
あたしも日焼けで黒いですよー中野さんw笑
北嶋さんうらやま…ry
と、こんな感じで…。
345さんとシンクロです(^ω^)
でも345さん確かコーヒー好きだけどアレルギーで…でしたよね…??
なんか残念ですね…。
一緒に紅茶飲みましょう!!!←は
by NAKA (2008-05-03 21:57)
TKさんの普段聴いてる音楽はかなり以外でした
345さんタイプです(笑)
同じベーシストとして345さんみたいになりたいと思ってます
僕みたいなキッズのためにスコアとか出してくれませんでしょうか(笑)
5月8日のワンマンライブ参戦します、超楽しみです
これからも応援していくんで頑張ってください
by KN (2008-05-05 13:48)