オレンジボックス (ハーフライフ2) :レビュー
テーマ:ゲームレビュー前回のオレンジボックス ポータルに引き続き今回はハーフライフ2のレビューをお届けしよう。
ハーフライフ2は前にもお伝えした様にもう発売してから数年が経つ。コンシューマ機では旧世代のxboxで発売した。しかし、これもお伝えしたが日本ではつい先日のオレンジボックス
までローカライズされなかった。
本作品を日本語で、コンシューマ機でプレイしたいと思っていた人間にとって今回の発売は待ちに待った恵みの雨なのだ。
もう数年前のゲームとなってしまったハーフライフ2だが古臭さはあまり感じられない。ゲームの流れとしては最近のトップクラスの作品以上に洗練さrえていると言っても過剰では無いだろう。
ステージ構成、ストーリーのメリハリ、そして独特のエレクトロニカルな世界観、また絶妙なタイミングで流れるバックミュージック、そしてその音楽の質の高さ。
このゲームは日本人離れした作品といえるだろう。世界観にしても音楽にしても効果音一つをとっても、この作品を触れている間はまるで異国の地で異国の文化に触れている様な感じになる。
ゲーム性については物理エンジンHavokを前面に押し出した物になっている。今でこそ物理エンジンは一般的に多くの作品で使われているが本作品程物理エンジンを前面に押し出し徹底的に使い込んでいる作品は無いだろう。数年前の作品だが未だに驚かされるのは干渉出来るオブジェクトの多さ。オブジェクトを徹底的に活用して進めて行くのが本作品でオブジェクトは90%以上は干渉可能になっている。しかもそのオブジェクトには現実世界と同様に重量が定められおり重いものを勢い良く敵に向かって投げれば敵は大ダメージを受ける。逆に軽いものであれば敵は怯みもしない。
またオブジェクトには特性もあり、鋭利なものを投げれば敵を切り刻んだりペンキの入っている缶を投げればペンキが敵に付着したりと最近の作品でもここまで物理エンジンを活用しつくした作品は無い。
当時から非常に先鋭的な作品だった事は間違いない。
それとこの作品にはグラビティガンなる重力を一部操れる武器がある。これがメイン武器になるのだが、この武器でオブジェクトを上手に利用して敵を倒したり謎解きを行ったりするのである。
Havokを用いる事の恩恵をプレイヤーに直接体感させてくれる役目をこのグラビティガンは持っている。
大まかなゲーム性としてはこんなもんだ。
この作品はとにかくセンスが良い。クールという表現がピッタリだ。
個人的に特質すべきなのはバックミュージック。基本的には無音なのだが気持ちが盛り上がり始める場面で絶妙なタイミングで音楽が鳴り出すのだ。それによって益々ゲームにのめり込むことが出来る。
俺はよくゲームにもメリハリは大事だと言うが、メリハリあるステージ構成に加えメリハリある音楽の流し方がこの作品をよりテンポ良く見せているのだ。流れてくるハウス調の音楽の質も非常に高く、ゲームを無しにして考えても素晴らしい。ハーフライフ2のサントラを見たことは無いのだが売っているなら買いたいと思う程だ。ゲームやアニメのサントラに一切興味のない俺が言うのだから間違いない。
EXILEとかジャニーズとか聞いてる聴覚障害者には理解出来ないかも知れないが・・・・・・・。
幾つか気になった点もあるので紹介してしよう。
視点移動に関して、最近のFPS作品よりも若干カクつきが見られる。本当に若干だ。
感覚的な問題だが、視点移動の分類はHaloと言うよりもハーフライフ2と同じ会社の作品であるカウンターストライクに似ているだろう。まあ開発元は同じなので当たり前の事ではあるが。これに関しては鈍い人は分からないと思う。Halo3を好んでプレイしている人間ならば違いが分かるはずだ。
それとグラフィックだが、当時は最高峰のグラフィックも今となってはそれ程でもないと感じる。
旧xboxの時よりは向上しているがCoD4やバイオショック等のグラフィックにおいてトップクラスの作品と比べると見劣りしてしまう。それでも水の表現は未だに健在だ。透明感があって飲みたくなる水の表現だ。
それと日本語版なのでローカライズの出来だが、正直言ってあまり良いとは言えない。
字幕なのだが訳も直訳に近いので読み難さは否めない。意味が理解出来ないわけではないが、基本的に文法がおかしい。
それと字幕として表示される文字の質感が安っぽい。せっかく元が良い作品なのだから質感の高い文字を使って欲しかった。
と言った様に若干の問題点を抱えながらも今尚色あせる事の無いハーフライフ2の魅力。
俺がせっかく日本版を発売させてやったのだから未だプレイしていない人間は是非買うべきだ。
初日の出荷は6000本程度で、良い数字とは言えないが市場に出た数自体が少ないので購入出来ずに地団駄を踏んでいる人間もいるようだ。発売日前から予約しておけばそんな事にはならなかっただろうに判断力の無い人間の末路とでも言うべきか。
それと知っておいて貰いたいのは本作品のデベロッパである『Valve』の名前だ。
Valveはハーフライフ2以外にも前作ハーフライフ、そして今回のポータル、そして未だに根強いファンを持つCSことカウンターストライクを生み出した非常にクリエイティブなデベロッパだ。
Valveはここ数年、常に独創的で革新的で尚且つ面白い作品を世に送り出してきた。こういうデベロッパにはこれからもゲームの質をドンドン高めていって欲しい。この仕事はValveで無ければ出来ないだろう。
資金力があるだけでは出来ない。大きな志とズバ抜けたセンス、それを持ち合わせたレアメタル以上に稀少な存在がValveだ。
まだまだValveについては語りたい所だが締まりが無くなってしまうのでこの辺にしておこう。
そういえば本作品の主人公はFPS作品に多い脳みそまで筋肉のゴリラが主人公ではなく、それとは正反対でMIT(マサチューセッツ工科大学大学院)卒の物理学者という設定だ。
これがどうと言うわけではないが、こういった敢えて他とは反対にしてみたり違うことをする姿勢がValveのクリエイティブさの源なのかもしれない。
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※ 関連:オレンジボックス(ポータル):レビュー
■無題
毎回毎回質の高いレビューですね
ゲーマーとして高みにいると自負するだけのことはあります
これからも質の高いレビューと自称ゲーマーの一掃を宜しくお願いします