ダビング10と私的録音録画補償金に関するアンケート

[お知らせ] 2008-05-18 14:49:05
現在、私的録音録画小委員会にて、ハードディスクレコーダーや、iPod等を、私的録音録画補償金の対象にしない場合、地上デジタルテレビ放送の録画方式である「ダビング10」を実施しない、という意見を権利者団体が展開しています。
MIAUでは、そもそもダビング10という方式自体に問題点があると指摘してきたところですが、さらに機器に課金まで行われるという方向については、何らかの対応をする必要があると考えています。

そこで、MIAUとしては、今回の件についてアンケートを行うことといたしました。
実際にインターネットユーザーの皆様がどのようにこの件について考えているかを調査させていただき、その結果を、MIAUの今後の活動に活かしていければと考えております。

アンケートの詳細については下記の通りです。

 URL(PC) : http://veritas-vos-liberabit.com/dub10-2/
 URL(携帯): http://veritas-vos-liberabit.com/dub10-2/m/
 期間: 2008年5月18日(日) ~ 5月30日(金)

是非、多くの皆様にお答えいただきたいと考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

著作者:MIAU

シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」 ご報告

[MIAUについて] 2008-05-15 21:50:00

2008年5月1日、世田谷文化生活センターにて、「青少年ネット規制法について考える」と題しました、Movements for Internet Active Users主催のシンポジウムを開催いたしました。

直前のご案内にも関わらず、多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございます。

MIAUシンポジウム概要

名称:
MIAUシンポジウム「青少年ネット規制法について考える」
日時:
2008年5月1日(木) 18:30~20:30
場所:
世田谷文化生活センター(キャロットタワー内)5F セミナールーム

発表者資料・関連記事

映像資料

YouTubeでは「MIAUオフィシャルチャンネル」内、「再生リスト: 第1回青少年ネット規制法シンポジウム」にて公開しています。 また、ニコニコ動画では公開マイリスト「第1回青少年ネット規制法シンポジウム」にて公開しています。
著作者:Fumiko Kudoh

「かぐや」高画質映像のインターネット公開について

[お知らせ] 2008-05-08 19:30:00

時下、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

いくつかの報道によりますと、NHKは月探査衛星 SELENE(通称「かぐや」)に搭載したカメラで撮影した「"満地球"の出」および「"満地球"の入り」の高画質映像(1280×720ピクセル)をインターネット上で公開したとのことです。

私たちMIAUは、「かぐや」ハイビジョン映像公開に関する問題について、今年3月公開質問状を送付致しました。そして4月、NHKよりご回答を頂きましたことは既に皆様にご報告した通りです。

頂いた回答のなかに、高画質のストリーミングを行うデータ転送容量がないとの記述があったことを考えますと、今回HDカメラで撮影されたオリジナル映像(1920×1080ピクセル)に近い画質で公開して下さったことは、少なくない努力と検討を重ねた結果だと思われます。

当団体の活動が今回の公開にあたってどれほど貢献できたかは分かりませんが、高画質映像が公開されたことを喜ばしく思うと同時に、インターネットによる提供に関して前向きに検討し、公開に踏み切って下さったNHKの皆様に感謝しております。ありがとうございました。 また、NHKに先立ってDVD品質の映像をインターネット上で公開して下さった宇宙航空研究開発機構(JAXA)の皆様にも厚く御礼を申し上げます。

「かぐやアーカイブ」を拝見致しますと、「地球の入り」「地球の出」の高画質画像も公開予定のようです。今後も月の高画質画像を広く公開する事によって、一人でも多くの国民、特に若い世代の方に高画質映像を見て頂き、宇宙と技術に興味を抱いて頂きたいと祈念しております。

著作者:Fumiko Kudoh

シンポジウム ストリーミング中継のお知らせ

[お知らせ] 2008-05-01 18:27:08

今回のシンポジウム「青少年ネット規制法について考える」についても、ustreamによるストリーミング中継を行います。今回はネットを通じて皆様からご質問などを受け付けることがあります。下記のURLよりアクセスしてお楽しみ下さい。

http://www.ustream.tv/channel/miausymposium20080501

著作者:Atsushi Enomoto

シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」

[お知らせ] 2008-04-28 03:00:00

直前のご案内となってしまいましたが、来る5月1日に、下記のシンポジウムを開催いたします。多くの皆様に是非参加していただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

シンポジウム開催の目的及び趣旨

インターネットの劇的な普及と発展により、私達は多くの情報を入手し、活用し、そして発信する手段を獲得しました。その反面、インターネットには青少年に「有害」とされる情報も多く飛び交っているとの声もあり、このような情報から青少年を保護することを目的として、インターネット全体を広く規制しようという法案が現在自民・民主両党によって検討されていることは、皆様ご存知の通りです。

しかし、青少年を保護するためとはいえ、健全な情報を発信する個人やそれを支えるインターネット関連企業などにまで、情報発信・公開についての制限をかけてしまうことは適切なのかという疑問の声も多く、結果的に国家による検閲に繋がりかねないとの懸念も表明されているところです。

私どもMIAUは、これまで、独自に法案に関する検討や、青少年の健全な育成を阻害する有害情報対策案の研究・模索等を行ってまいりました。私どもとしても、青少年がインターネットを通じて犯罪をしない、また犯罪に巻き込まれないようにするための取り組みは大切だと考えており、明確に、かつ極めて限定的に定められた、現状の違法情報への取り組みを否定するものでもありません。しかしながら、現時点での法案には懸念すべき点があまりに多く、充分な議論を尽くさないままでの拙速な立法化はすべきでないと考えております。

そこで、現在検討されている法案の問題点について一般の方々への周知を行うとともに、他組織の方のご意見を伺うことによりこの問題に関する理解を更に深めるため、今回シンポジウムを開催させていただきます。

開催日時・会場

申込み方法

下記のE-mailに、4月30日中に、ご所属、お名前をお送りいただければと存じます。参加費用は無料です。

  E-mail: infoあっとmiau.jp (記号に置き換えて下さい)

一度申込みを締め切りましたがキャンセル連絡もありましたので、4月30日中まで申込みを受け付けたいと思います。二転三転して申し訳ありません。(なお、予想以上に人数が多かった場合、立ち見が出る可能性があります。予めご了承下さい)

本件のお問い合わせについては、infoあっとmiau.jp にいただきたく存じます。シンポジウム会場(キャロットタワー)へ直接問い合わせをいただいても、MIAUでは把握することができないため、よろしくお願いいたします。

次第(予定)

  1. MIAUからのご挨拶
  2.  
  3. 青少年ネット規制法案の概略とその経緯
       講師:中川譲 (MIAU幹事)
  4.  
  5. 有害コンテンツ対策を巡る論点と業界の動き、今後の展望
       講師:楠正憲(マイクロソフト株式会社 技術統括室 CTO補佐)
  6.  
  7. ネットの青少年保護についての国際動向
       講師:崎山伸夫(CPSR/Japan)
  8.  
  9. 情報リテラシーと情報モラルの側面から(演題未定)
       講師:久保田裕(コンピュータソフトウェア著作権協会)
  10.  
  11. 親による情報管理の手法と現実
       講師:小寺信良(AV機器評論家・コラムニスト)
  12. 会場・ネットからの質疑応答

みなさまの積極的なご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

著作者:MIAU

NHKより質問状へのご回答をいただきました

[お知らせ] 2008-04-23 23:00:00

まずは皆様に、4月11日にNHKより当団体が提出した公開質問状に対してご回答がありましたことをご連絡致します。詳細は以下をご参照ください。

NHK編成局計画管理部宇宙関連連絡会の担当者様におかれましては、ご多忙の折、お返事下さいまして誠にありがとうございます。また当団体の不手際により、ご回答の公開が遅れましたことをお詫びいたします。申し訳ありません。

これから当団体でNHKからのご見解・ご説明を精読し、今後の対応を検討していきたい所存です。

謹啓

先日はNHKの活動につきましてご質問を賜り、ありがとうございました。いただきました質問にお答え申し上げます。

質問1:
NHK が「かぐや」の高画質動画をインターネットで公開をしない理由をお聞かせ下さい。

「かぐや」によるハイビジョン映像はプレスリリースと同時に国内外のマスコミ各社に配信いたしました。JAXAのホームページでもリリースと同時に映像を公開しております。映像素材を適切に管理しつつ多くの皆様に高画質をご覧いただけるよう、ネット公開も検討いたしましたが、NHKのサーバー、JAXAのサーバーとも、現在のところは高画質のストリーミングを行うデータ転送容量がなく、解像度を落とした公開としております。しかし、できるだけ多くの皆様にご覧いただけるように、JAXAと協力しながら、国内外の学校や科学館などにブルーレイ等による映像提供を行っております。

質問2:
「かぐや」の動画公開について、NHK と JAXA の間で、どのような取り決めがなされているのかをお聞かせ下さい。

NHKとJAXAは「かぐや」の映像の使用及び第三者への提供に関して取り決めをしており、その適用基準に則って画像を公開しております。基本的な考え方は「両者の自己目的による使用は無償とする」「学術・個人使用は無償とする」「教育利用は無償とする」「商業利用は有償とする」としております。

質問3:
NHK では「かぐや」の高画質動画の公開について、今後どのような計画をお持ちなのかお聞かせ下さい。また、既に学術機関への資料提供の実績などありましたら、お聞かせください。

4月1日現在、NHK、JAXAによる学術機関等への資料提供実績は以下のとおりです。
  • 国内科学館・博物館等:8件
  • 国内学校・大学等:12件
  • 国内団体等:日本プラネタリウム協議会(約40のプラネタリウム)、PAONET他
  • 海外研究機関:NASA、JPL、DLR等 18件
  • 海外大学等:13件
  • 海外科学館・博物館:スミソニアン等 8件
NHKは「かぐや」によるハイビジョン撮影の実現に努力を重ねてまいりました。宇宙空間に直接曝露するカメラの開発には多くの困難があり、様々な壁を乗り越えて今回の成功に到達いたしました。「かぐや」のハイビジョン映像の公共的な価値は十分に認識しており、NHKでは公共放送として視聴者の皆様に資するべく積極的に本映像の提供を行ってまいります。
4月からはNHKホームページに新たに設ける「アースウォッチャー」のページでも映像を公開いたします。高画質映像の提供は、すでに行っているブルーレイ・ディスク等による配布の努力を続けるとともに、ネットによる提供の検討も前向きに継続してまいります。
今後ともNHKの放送と活動にご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

謹白


平成20年4月11日
NHK
編成局 計画管理部 宇宙関連連絡会
著作者:MIAU

共同声明:私たちは青少年ネット規制法案に反対します

[記事] 2008-04-22 19:56:15

このたび、私たちインターネット先進ユーザーの会(略称「MIAU」)及び下記団体・個人は、現在検討されている青少年ネット規制法案(自民党法案名『青少年の健全な育成のためのインターネットによる青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案』など)に対して、下記の通り反対の意を表明することにいたしました。

賛同団体及び賛同個人は現在も募集しております。ご賛同いただける場合は、info@miau.jp までご連絡ください。多くの方にご賛同いただければ、本法案への反対意見が多いことを示せるかと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私たちは青少年ネット規制法案に反対します

インターネットの劇的な普及と発展により、私達は以前よりも多くの情報を入手し、活用し、そして発信する手段を獲得しました。またビジネスにおいても、情報の収集、利用、発信や、取引への利用など、インターネット無くしてはビジネスが成り立たないほどの社会基盤となろうとしています。これらによってビジネスのスピードは加速し、また、論文やデータ等の公開・共有による世界的な知の発展も、今までになく加速しようとしています。

その反面、あらゆる人々がどんな情報でも発信できることから、猥褻や犯罪などといった、青少年に「有害」とされる情報も多く飛び交っているとの声もあります。そのため、青少年の犯罪とインターネットとの関連性を指摘する声が挙がり、現在、インターネット全体を広く規制しようという法案が、自民・民主両党によって検討されています。

私たちは、青少年が犯罪に巻き込まれないように努力するという社会的・倫理的な必要性を、とても強く認識しています。 また、インターネットを経由して行われる犯罪を防止するための積極的な取り組みも、大切だと考えていますし、明確に、かつ極めて限定的に定められた、現状の違法情報への取り組みを否定するものでもありません。

しかし、青少年を保護するためとはいえ、健全な情報を発信する個人や、それを支えるインターネット関連企業などにまで、情報発信・公開についての制限をかけてしまうことは適切でしょうか。インターネット上の広汎な情報を、単に青少年にとって有害であるとして法律によって規制することは、どんな手段であっても、結果的に国家による検閲に繋がりかねず、情報の発信やコンテンツの制作を萎縮させていきます。また、事業者に対して法律によって「有害情報」への対応を義務づけると、その経済的な負担は、零細事業者の多いインターネット関連企業の経営を直撃し、新たな官製不況を招き兼ねません。さらには消費者の PC 等にプリインストールされるというフィルタリングソフトウェア等のコストは、最終的に消費者に転嫁されることになり、フィルタリングを必要としない人にまでコスト負担を負わせることになります。

青少年を本当に保護するためには、インターネットを大幅に規制することではなく、早期の教育で青少年に正しい知識を教え、適切なインターネットの歩き方を体得させることが、より優れた手段ではないでしょうか。何よりも、「有害」な情報に全くアクセスできない状態で成人した青少年は、どこで情報の取捨選択や主体的な判断といった情報への対応、すなわち「情報リテラシー」を学ぶのでしょうか。受動的な教育を受けさせるだけでは、興味本位で「有害情報」のサイトを作成する青少年や、成人してから多くの犯罪に巻き込まれる、「情報弱者」の 18 歳が生まれるだけではないかと危惧しています。

私たちは、「有害情報」への対処について、国家によるインターネットの制限ではなく、教育による情報リテラシーの向上と、民間事業者による自主規制の強化で対応することを提案します。

現在、「情報」という授業は高校でしか行われておらず、義務教育での情報教育は貧弱なままです。青少年を犯罪から守るためには、小学生の頃から、情報リテラシーについてのきちんとした教育を行うことが大切でしょう。また、既に携帯電話においては通信事業者を中心とした自主規制団体が作られているところであり、事業者による社会的な対応も行われていきます。

我々は、拙速な議論で結論に飛びつくのではなく、事業者と利用者、そして青少年の意見を、日本のインターネット政策に正しく反映させることを求めます。そして、その結論は、インターネットを国家によって規制するものではなく、青少年がインターネットを使いこなすことによって、より情報社会の発展に繋がるようにするものであると確信しています。

賛同団体

  • Movements for Internet Active Users: MIAU(インターネット先進ユーザーの会)
  • WIDE プロジェクト
  • 多摩大学情報社会学研究所
  • NPO Arts and Law
  • 有限会社マンダラネット
  • ロージナ茶会
  • CPSR/JAPAN(2008/04/22 23:59追記)
  • (以上、順不同)

賛同個人

  • 公文 俊平(多摩大学情報社会学研究所所長)
  • 会津 泉(ハイパーネットワーク社会研究所 副所長)
  • 江崎 浩(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
  • 立石 聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会 副会長)
  • 山形 浩生(評論家)
  • 白田 秀彰(法政大学准教授)(2008/04/22 21:27追記)
  • 金 正勲(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 准教授)
  • 中野幸紀(関西学院大学総合政策学部総合政策学科 教授)(2008/04/24 04:19追記)
  • 校條浩(ネットサービス・ベンチャーズ・グループ マネージング・パートナー)(2008/04/24 04:16追記)
  • 楯岡孝道(電気通信大学 助教)(2008/04/24 04:16追記)
  • 伊津信之介(東海大学福岡短期大学情報処理学科 教授)(2008/04/24 04:16追記)
  • 津田和範(社団法人日本インターネットプロバイダー協会 理事、有限責任中間法人レンタルサーバー・オルグ 監事)(2008/04/24 04:16追記)
  • 野原佐和子((株)イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長)(2008/04/26 15:10追記)
  • 竹熊健太郎(文筆家、編集者)(2008/04/26 15:10追記)
  • (以上、順不同)

著作者:Atsushi Enomoto

青少年ネット規制法案についてのプレスリリース

[お知らせ] 2008-04-09 07:32:03

時下、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

すでに複数のメディアで報道が行われておりますが、現在、自民党及び民主党において、インターネット規制法案とも言うべき法案が検討されています(自民党法案名『青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案』、民主党法案名『子どもが安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案』)。

MIAUでは、複数のルートを利用して法案の原文を手に入れ、検討を行ってきましたが、少なくとも下記のような疑問点があると認識しています。

  1. 有害基準の問題

    インターネット上の莫大な情報について、何が有害で何が無害なのかの基準を、内閣府に設置される少人数の委員会が独占的に決定することには、大きな問題があります。たとえ実際にコンテンツを見えないようにするのが民間の事業者に託されたとしても、その基準を国が作るというのは、情報の検閲にあたると思われます。

  2. 個人ウェブサイトなど非商業的運営者が対象になっている点

    現状、商業的なサービス提供者だけではなく、個人のウェブサイト運営者も対象となっています。 個人のウェブサイトに対しても対象となる情報発信について商業サイトと同様のレイティングや会員制サイトへの移行が義務づけられるとすると、個人が自由に情報を発信するという行為自体を阻害することになりかねません。(現行の青少年条例における有害図書規制では、業としての図書販売などについての規制がありますが、個人の情報発信を規制するものではありません。)

  3. プロバイダの講ずべき範囲が不明確かつ広範囲である点

    ウェブサイト運営者の利用するISP/ASPや、コンテンツプロバイダなどの事業者について、本法案では、有害なコンテンツのレイティング、もしくは会員サイトへの移行などの措置を行うことが求められています。しかし地域に密着する中小の事業者には負担が重く、またコンテンツの性質を第三者が判断し、特定のレイティングを行なうことは、利用者と事業者間で日常的にトラブルを発生させる要因ともなります。

    また競合他者がブログサービス等に有害情報の書き込みを行なうことで、健全な運用を不当に妨害するというようなことも起こりうるでしょう。「知った場合には」という条件がついているにしても、プロバイダに負わせる責任が重く、かつ、不明確です。

    法案では、このようなトラブルについて紛争処理機関による解決を求めていますが、この紛争処理機関の裁定については非公開で処理すべきとしており、透明性・公開性への配慮がみられません。

  4. フィルタリングの技術上の問題点

    フィルタリングは未だ不完全な技術です。携帯用のフィルタリングソフトが自民党のウェブサイトを遮断してしまったように、大切なサイトを遮断したり、本当に有害とされるサイトを素通しするなど、多くの問題が指摘されています。そうした技術を、PCや携帯電話などといった機器で、有効性が実証されてもいない段階から義務化してしまうというのは、誤りではないでしょうか。

    また年齢に応じたカスタマイズやメンテナンスは、すべて親の責務としてのしかかってきます。現時点でこれらの責務を果たせるのはごく一部の限られた親であり、すべての親に対してこれを求めることは無謀と言わざるを得ません。

  5. 知る権利の侵害

    本法案は表現規制を慎重に避けている点が見受けられますが、その一方で国民の知る権利を大きく侵害しています。先に述べたように現在のフィルタリング技術は、有害と見なされる情報のみをピンポイントでブロックすることは困難であり、その周辺にある多くの有益な情報も一緒に遮断します。特にコミュニティサイトは、サイト単位でまとめて規制されてしまう可能性が高く、同世代とのコミュニティによって精神的平衡を保っている青少年に対しては、有害な対策となりかねません。

    またこのような規制は、「 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」の第三条に定められた(すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現)の精神に反するものであり、18歳未満であるという理由だけでこれを阻害して良いことにはなりません。

  6. 教育という視点の欠如

    本法案では、フィルタリング運用の具体性と比較して、啓蒙活動や青少年への教育に対する具体的な対策がありません。そもそも青少年の有害情報への対処は、危険なものを全て包み隠してしまうのではなく、何が危険かを教えていくことが大事なのではないでしょうか。教育面での具体策なしの法案は、青少年の健全な育成という大前提を見失っていると言わざるを得ません。

  7. 経済的な問題点

    本法案では、PCメーカーにフィルタリングソフトのプレインストールを行うことを、努力義務として課しています。これにかかる費用は、製品価格に転嫁される可能性が高く、青少年が使用するか否かに関わらず、すべてのPC購入者への負担増となります。また、海外からの輸入品や、Linux等のフィルタリングソフトの無いOS等の場合には、誰がどのように対応するのかという点が明らかではありません。

以上のように、言論規制という意味でも、実際の運用という意味でも、多くの懸念がある法案になります。私どもMIAUでは、このような懸念についてきちんと解決を行ってから、法案を国会に提出するべきであると考えており、一部報道に見られるように、拙速な対応を行うべきではないと考えます。

MIAUでは、引き続き法案についての検討を行うとともに、議員の方々へのロビイング活動や、法案の問題点についての一般の方々への周知を行なっていく予定です。また同時に、青少年の健全な育成を阻害する有害情報対策案の研究・模索等も行なって参ります。

とりいそぎ、日程のみの決定ではありますが、下記の時間にて、本法案に関するイベントを開催することを予定しています。正式な告知は後日になりますが、この件に興味のある方は是非ご参加いただければと存じます。(申込み受付先等は正式告知時に公開します)

  • 日時:2008年5月1日(木) 18:30 ~
  • 場所:都内

今後とも、MIAUのご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

著作者:中川 譲

「知的財産推進計画2007」の見直しに関するパブリックコメント

[記事] 2008-04-04 00:38:49

先日お知らせしました、「知的財産推進計画2007」について、MIAUから送付したパブリックコメントを、こちらにも掲載いたします。

以下、「知的財産推進計画2007」について、その議論経過もふまえてコメントします。(ページ数は当該文書を参照)

著作権法における非親告罪化について (P.63)

著作権侵害は、有体物に対する財産権の侵害と比べて簡単に生じやすいものであり、またその財の非競合性から、無断で利用されることを被害と考えない著作権者が、数多く存在しています。著作権侵害を非親告罪化すると、著作権者が黙認するような事例について、著作権者の意思を無視して刑事告訴するという不条理が生じてしまいます。これはあってはならないことです。

また、刑事実務上、親告罪が非親告罪化されたところで、大してプラスの影響はないということは、昨年度の文化審議会の報告からも記されています。著作権侵害を効率よく規制する手段としては作用しないと考えられます。

私的使用複製の違法化について(P.91)

いわゆる「ダウンロード違法化」の問題について、いわゆる「違法サイト」からのダウンロード、いわゆる「適法サイト」からのダウンロードの両方について、文化庁が昨年の審議会の最終報告書でまとめたような違法化は適切ではないと考えます。既に文化庁のパブリックコメントにて指摘しましたが、以下のように数多くの問題点が懸念されます。

  1. 複製にあたるダウンロードと、複製にあたらないブラウジングやストリーミング視聴を、技術的には区別が曖昧であるにもかかわらず、法律的に適法性の区別がつけられてしまう筋の悪さと将来的な技術開発への無用な制約があること。
  2. 海外でその地の準拠法では違法な公開にあたらないサイトを利用した場合の扱いなど、国際的な法制度の不整合があること。
  3. 一部の国家を除いて、著作権制度はほぼ全世界的に無方式主義であり、ネットユーザーにとって、あるコンテンツが適法公開なのか違法公開なのかを、合理的な理由に基づいて判断する術が無く、違法公開「かもしれない」と考えてもそれを容認してダウンロードすれば、情を知っているので違法とされうること。また、裁判官の判断にも大きく依存し、また文化庁の持論も裁判によって否定されることがあり高度の信頼性に欠ける現状では、国民の法的地位が甚だ不安定になること。
  4. 国民が常に自分が違法行為を犯しているのではないかという不安感に晒され、それが架空請求の踏み台として大いに利用されうること。
  5. 「適法な」ダウンロードについて、実効性を担保したり国民の安心を得たりするために、適法ダウンロード情報をトラッキングするということになれば、通信の秘密が侵害されることになるおそれがあること。
  6. 学問・研究・報道等で違法ダウンロードについて調査する行為なども、従来は私的使用複製の概念で柔軟に対応していたとも考えられるが、ダウンロードが違法化されると、これらも違法行為とされてしまうということ。
  7. そもそも、法改正が必要であるという主張の根拠が乏しいということ。(「ダウンロードによる被害」が本当に存在するのか、印象操作の疑いの無い、信頼できる統計情報は存在しない。またダウンロード違法化議論で議論されている「問題」は、法律上は送信可能化権で既にカバーされているはずであり、まず著作権者が送信可能化権をしかるべく行使するよう啓発すべきである。)

なお、適法性の判断の問題に関連して、「適法マーク」のようなドメスティックな民間対応を見せる著作権団体もありますが、その有無は何ら適法性も違法性も担保しませんし、これを入札条件とする官製談合の類が認められるようなことがあってはならないと考えます。公正取引委員会ではコンテンツ事業の発注につき、厳格な姿勢で審査していただきたいと考えます。

ネット上のビジネスマーケット構築について (P.91)

最近、ネットでコンテンツを配信するための簡便な権利処理が必要であるという問題意識から、ネット配信に限定してそのために必要な権利を映画会社等に集中的に権利を帰属させる「ネット権」を創設すべきであるという提案がなされています。そこに問題意識を向ける姿勢は私たちも賛同するところですが、具体的な案としてのネット権については否定的にならざるを得ません。

ネット権の提案では、権利が映画会社やTV局に帰属することになりますが、これらは実際にコンテンツを制作している著作者ではありません。ネット権者に権利を専有させるということは、著作者から権利を剥奪することでもあり、ここではそれがマイナスに作用し、番組制作会社のインセンティブを不当に損なうことになります。

ネット権提案者たちが問題視しているのは、番組の配信等が行えないことにあるのですから、ネット配信に必要な権利について、事前徴収・事後分配方式で必ず許諾されるものとし、使用料に相当する対価を文化庁あるいは第三者機関に信託できれば足ります。個別の映画配給会社や放送事業者が権利を専有する必要は無いと考えます。使用料の分配は純粋に著作者間でなされるため、創作の担い手にさらなるインセンティブがもたらされることにもなることを考えると、この方が望ましい方式です。

そもそも、権利処理を簡便化するために新しい権利を創設するというのは、筋が悪いと言わざるを得ません。ネット配信に限定した専有権という考え方は、あまり明確なものではありません(インターネットプロトコルを利用したイントラネットにおける流通や、住基ネットを経由しての複製等の問題が考えられます)。

私たちは、権利処理の構想として、著作権制度とある程度パラレルでありつつ、既存の制度と矛盾しない「二階建て」のような制度が、ネット権よりも具体的に妥当すると考えています。それは、本来的に文化的な創作の保護を主眼におき、無方式主義であらゆる創作者に権利が自然発生する著作権制度は従来型のままにして、積極的に営利活動を行いたいという者にのみ、著作権を放棄することを条件に、新制度で与えられる法的保護を受けることを届出させる、というもので、以下のようなメリットがあります。

  1. 登録されている情報を探すのみであるため、権利者の探索に無用なコストがかからなくなる。
  2. コンテンツビジネスのために制作されたものであり、明確な権利行使の意思があると推定できることによるメリットがある:  
        
    1. 非親告罪化に類似する(ただし著作者の同意による違法阻却があり得る)規定を設けることができる
    2.   
    3. 禁止権として構成するのではなく、報酬請求権として構成することで、許諾を得るためにワンストップをかける必要がなくなる。
  3. 権利処理を自動化する機構を法的に整備しやすくする。

この制度によって、著作権法がその本来的な趣旨を維持しつつ、コンテンツ産業やネット配信など現代的な課題を解決することが可能になります。

「二階建て」の制度案については、同じ名前でいくつか(誤解を含む)解説が見られますが、私たちが支持する案は以下で詳しく説明されています。

    http://grigori.sblo.jp/article/3837797.html http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20070811

私的録音録画補償金とDRMについて (P.91)

文化庁では、審議会にて発表した「将来的にはDRMを前提に補償金を廃止」という方向性を示していますが、これについては私たちはむしろ否定的な立場をとります。EMIやユニバーサルミュージック、Sony BMGやワーナーミュージックなどがiTunes PlusやAmazon MP3などDRMフリーの音楽配信サービスを活用するようになり、大物ロックアーティストが自らDRMフリーの音楽配信を行うようになった現在、DRMは世界的な音楽配信の潮流としてはむしろ廃止されつつあります。DRMが何らかの補償制度の要件として機能することを求められるような制度設計は、現実的ではありません。

また、現在のような補償金制度を維持するとした場合でも、DRMが施されていて複製できないようなコンテンツについては、補償すべき損害は間違いなく存在しないのですから、補償金分配の対象から除外するなどして、公平な制度に改正する必要があると考えます。

補償金は何より著作権者に分配されるべきものであり、その徴収・分配が適切に行われるよう、透明性を高める努力が求められています。そのような努力を放棄して、共通目的事業を拡大したり、既に業界向けに周知されているはずである補償金制度の広告に補償金をつぎ込んだりしようというのは、不適切であると考えます。

著作権保護期間延長論について (P.94)

著作権保護期間延長論には数多くの問題があります。

  1. 著作権の保護期間を延長することは、遺族など一部の著作権者(著作者でない)を利することしかなく、新たな創作へのインセンティブが存在しないということは、経済学上ほぼ争いがありません。著作権者の遺族のみが不労所得を得られるべきであると考える合理的な理由は何ら存在しません。
  2. 長すぎる保護期間は、米国で"Orphan Works"と呼ばれる問題を生み出しています。すなわち、保護期間が長いため、著作権が切れていないが、著作権者の存否や所在が不明であったり、著作権者の遺族と連絡がとれないため、自由に利用することが出来なくなってしまうのです。
  3. 著作権によって自由利用が制限されていれば、特に創作から何年も経った著作物はほとんど利用されないことになり、大多数の古い作品は死蔵されることになります。著作権保護期間が延長されれば、その死蔵期間が無駄に長くなります。
  4. 世の中のあらゆる創作は、それ以前の創作の上に成り立っていますが、著作権が存続している間は、それらの創作の上に新たな創作を作り出すことが困難になります。古典作品を現代風に加工した名作は数多く存在します。古典作品を埋もれさせない、著作者やその創作に対して思いやりのある制度が望まれます。
  5. いまだに保護期間延長が世界的潮流であると主張する向きもありますが、西欧でも保護期間延長法案が却下されているのが事実であり、世界的潮流はむしろ保護期間を延長しない方向になっています。そもそも、世界的潮流がどうであるかは、国内法制度のあるべき姿を論じる際には、ほぼ無関係な問題であり、特に著作権制度のように各種条約が既に存在するのであれば、その範囲で議論すれば足ります。
  6. 保護期間を延長しないことで日本の経済的利益が損なわれるという主張する向きもありますが、日本は古典作品については輸入超過であり、かえって日本の経済的利益を損ないます。

コピーワンスルールの見直しについて (P.105)

コピーワンスの運用を見直し、もう少し柔軟な運用ルールを模索した結果、現在では「ダビング10」と呼ばれる方式に結着したとされていますが、このダビング10方式は、コピーワンスと同様、1世代コピー(COG)のみを許容する、柔軟性に欠けるものであり、私たちはこれを支持できません。

ダビング10が実際に9回コピー + 1回ムーブを許容するのは、HDDプレイヤーを前提とした場合に限られ、単体のデジタルチューナーや外付レコーダー、ケーブルテレビのSTBを利用している場合は、従来通りコピーワンスの運用となってしまいます。すなわち、相当数の人にとっては、従来通りのコピーワンス状態になってしまい、柔軟な運用ルールは実現できていないことになります。

当団体でネットユーザーにアンケートをとったところ、7割の回答者はダビング回数について無制限が望ましいと回答し、同様に7割の回答者はコンテンツをPCまたはDVDにアーカイブしておきたいと回答しています。今後は、Apple社のApple TVのような、自社のハードウェア(TV)を活用したオンデマンド番組配信が、TV視聴に取って代わることになると考えられます。COGルールに固執することによって、PCのHDDやDVDへの自由なコピーが行えないのであれば、その流れはいっそう加速していくことでしょう。

以上。

著作者:MIAU

「かぐや」ハイビジョン映像公開に関する質問状の送付について

[お知らせ] 2008-03-31 13:00:00

月探査衛星 SELENE(通称「かぐや」)のハイビジョンカメラは、いわゆる「地球の出」を始めとして、宇宙開発史上かつてないほど精細な月の映像を我々に届けてくれました。しかし、その高画質動画はいまだインターネットで公開されていません。

私どもMIAUは、この点について以前から疑問を有しており、本年3月28日、NHK宛にハイビジョン映像公開に関する質問状を送付いたしました。詳細につきましては、以下をご覧下さい。

MIAUといたしましては、「かぐや」の高画質動画が広く公開され、日本の多くの国民がその成果を視聴できる状態であることが自然であると考えております。

現状としてなぜ「かぐや」の高画質動画が広く公開されていないのか、何が阻害要因となっているのかを明らかにしていく所存でありますので、皆様におかれましては、この問題に注視していただきますようお願い申し上げます。

拝啓
時下ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
突然の質問をお送りする非礼をお許しください。

私どもは「Movements for Internet Active Users」(略称「MIAU」)というインターネットユーザーを基盤とする消費者団体です。

今回質問をお送り致しましたのは、貴協会の「かぐや」ハイビジョン映像の取扱方針について、いくつかお尋ねしたいことがあったからです。つきましては、下記質問項目について、ご回答をいただきたくお願い申し上げます。

なお、本質問は、誠に勝手ながら当団体のウェブサイト(http://miau.jp/)にて、公開質問状という形で公表する予定であります。また、貴協会より頂いたご回答も併せて公開させて頂きたいと考えております。事情をご理解いただき、何とぞよろしくお願い申し上げます。

また、誠に勝手ながら、この書面をお受け取りになって一ヶ月以内にご回答を頂きたいと存じます。もし、それが困難でございましたら、いつ頃ご回答を頂けるのかをお知らせ下されば、たいへん助かります。

年度末のお忙しい中、お手数をお掛けして誠に申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
                            敬具

              記

今回お尋ねしますのは、月探査衛星 SELENE(通称「かぐや」)に搭載されている宇宙探査機用ハイビジョンカメラが撮影した、いわゆる「地球の出」を始めとする「月の高画質映像」に関してでございます。これら映像は、NASA が13年前に行った月探査計画「クレメンタイン」の映像とは品質に歴然の差があり、NHK ハイビジョンカメラの高い技術力を示すものと認識しております。

が、しかし、宇宙開発史上かつてないほど精細な月の映像であるにも関わらず、現時点において、日本の多くの国民が、そのすばらしさを充分に認知できない状況にあると感じます。なぜならば、ハイビジョン対応地上デジタル放送テレビの普及率は、日本全世帯の3割に満たない状況なのです。このような状態では、これら「月の高画質映像」が、広く一般に公開されているとは言えない状況であると強く感じます。

そこで、私どもが日ごろ慣れ親しんでおりますインターネットで動画配信が出来れば、この状態を解消できるのではないかと考えました。既に、全世帯の半数以上が、インターネットをブロードバンド環境で利用していると調査結果が報告されております。一般的に普及しているパソコンの性能であれば、ハイビジョン放送と同レベルか、ほぼ同等の動画再生が可能でしょう。自宅に居ながらにして、放送を見逃してしまった国民も、その動画を鑑賞することが可能となるのです。

「月の高画質画像」を広く公開する事によって、国民が得るメリットは決して少なくないと感じます。昨今、学生の理系離れが著しいことは周知の事実でありますが、私どもは、若い世代にこそ「地球の出」映像を見て欲しいのです。それを、目の当たりにすることにより、「日本の宇宙開発技術は凄い」「日本の映像技術は世界に誇れるレベルだ」と感じて欲しいと考えております。「月の高画質画像」には、それだけのインパクトがあります。

今こそ「多くの国民が成果を享受できる」という大前提のもと、「月の高画質映像」のインターネット配信に踏み出すべきです。ところが、現在のところ NHK では、「月の高画質映像」のインターネット配信を行う予定をたてておられないようです。

NHK の主たる業務が「放送」であり、インターネットによる動画配信が「放送業務の枠」から外れていることは、もちろん承知しております。しかし、国民から得た受信料を運営財源としている NHK だからこそ、公共の事業でしかできないことをやるべきだと考えます。

件のハイビジョンカメラの開発費用の一部は、我々国民が負担した受信料からまかなわれていることは想像に難くありません。そうであるならば、もっと多くの国民が視聴できるように配慮していただきたいのです。

公共放送という立場で、受信料をもとに制作したコンテンツであるのにも関わらず、放送で受信者に還元するどころか、パッケージ販売で利益を得ることが公共放送としての義務を果たしているとは思えません。

私どもは、このような状況を踏まえ、NHK の「月の高画質映像」のインターネット配信について、いくつかの質問を挙げさせていただくことにしました。どうか、ご査収いだたき、ご回答をいただきますようお願い致します。

質問1:
月探査衛星「かぐや」からもたらされた高画質動画は、NHK の特集番組などで数回紹介されただけで広く国民に公開されているとは言えません。例えば「かぐや」の高画質動画がインターネットで公開されれば、多くの国民がそれを目にする機会がはるかに多くなると考えます。
また、「かぐや」の高画質動画は、それ自体が学術資料として非常に価値の高いものです。そうであるならば、プロジェクトの成果を広く全世界に発信してきた米国 NASA の偉業に習い、インターネットを介して広く公開すべきだと考えます。 このような状況にあってもなお、NHK が「かぐや」の高画質動画をインターネットで公開をしない理由をお聞かせ下さい。

質問2:
月探査衛星「かぐや」の高画質動画は、NHK と JAXA の共同作業でもたらされた画期的な成果と言えます。しかし、その動画公開の動きに関しては NHK と JAXA との間で温度差を感じます。「かぐや」の動画公開について、NHK と JAXA の間で、どのような取り決めがなされているのかをお聞かせ下さい。

質問3:
月探査衛星「かぐや」の高画質動画は、NHK のハイビジョンカメラ技術によってもたらされました。その開発費や運用費の少なくとも一部は、多くの国民から集めた受信料から捻出されていると考えます。
しかし、先日のことですが、「かぐや」の高画質動画が民間の一企業からパッケージ発売されるという報道がありました。また、ディスカバリーチャンネル・カナダのホームページで、カナダ国内限定とは言え、高画質動画が公開されているようです。
このような公開実態は、受信料で NHK を支えている国民が全く視野に入っていないと強く感じます。つきましては、NHK では「かぐや」の高画質動画の公開について、今後どのような計画をお持ちなのかお聞かせ下さい。また、既に学術機関への資料提供の実績などありましたら、お聞かせください。

質問は以上でございます。
ご回答をお待ち申し上げます。
著作者:MIAU
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