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美術館内に「居間」出現2008年04月24日
畳の上の座布団に座り、パチパチいう火鉢の音を聞きつつ壁の絵を眺める。しゃれたインテリアでくつろぎながら現代美術を楽しめる「居間」が今月、横浜美術館(横浜市西区)に出現した=写真。70平方メートルのリッチな空間だが、美術館は1円もお金を使っていない。その秘密は、全国でも珍しい、公立美術館と民間企業との提携関係にあった。 (安部美香子) フランス人アートディレクターのローラン・グナシアさんが展示を手がけた。北海道・旭川の家具メーカー「カンディハウス」のテーブルやソファに、「ケンウッド」が試作した火鉢型スピーカー。美術館所蔵の作品が6点、さりげなく配されている。 家具はカンディハウスが提供し、施工費は横浜市西区の不動産開発会社「ランド」から出ている。美術館が今年から公募している企業との連携プログラム「Heart to Art」の第1号として実現したスペースだ。 美術館の天野太郎・副館長補佐は「新しい資金調達の手法であり、来館者への新しいサービス」と説明する。 「収蔵品を見せる空間が欲しかった。一方で企業は、お金を出すだけでないメセナの方法を求めていた」 ランドは96年に創業、今年2月に東証1部上場した。その思惑は明快だ。「会社の信用力、ブランド力を高めること。美術館と組むことで、『美意識が高いディベロッパー』というイメージを全国発信できる」と大山憲一・経営企画課長代理は言う。 ランドは来年1月までの契約で、美術館の運営に3200万円を出資。館の広告などに企業名が出るほか、館内に100平方メートルの展望ラウンジを造り、会社紹介の映像を設置したり、館と連携したイベントを開いたりする。「費用対効果の面でも、株主への説明の点でも、単なる寄付は不可能だった。でもこのプロジェクトなら、数千万〜1億円の広告効果に加え、1億〜2億円のイメージアップ効果が見込める」とランド側はみる。 「まるで企業のショールームのようだ、間接的に商行為に加担しているのではないか、という批判はあり得る」と、天野副館長補佐は認める。「だが美術館が自己完結して済む時代ではない。市民や企業と協力関係を結ばなければ振り向いてもらえない」 この記事の関連情報マイタウン神奈川
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