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先住民族決議 次は政府が応える番だ(5月24日)一歩前進ではあるが、その先はなお不透明−。アイヌ民族を先住民族と認定する問題は、そんな状況にあるのではないか。 超党派の国会議員による「アイヌ民族を先住民族とする国会決議」の案がまとまった。 政府に先住民族としての認定を求め、総合的な施策を確立するよう要請している。来週にも国会で決議される見通しだ。 アイヌの人々が歴史的に受けてきた差別や苦痛、さまざまな不利益を思い起こしたい。その反省に立って政府は国会の声を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。 一九九七年にアイヌ文化振興法が成立した際に、国会は付帯決議で、「アイヌの人々の『先住性』は歴史的事実」と確認した。今回のは一歩踏み込んだ内容となる。 度重なる国会決議が出るのは、政府が、アイヌ民族を先住民族と位置づけることを頑として拒んでいるからだ。 国連は昨年の総会で「先住民族の権利に関する宣言」を採択した。日本政府はここでも、先住民族の集団的権利や財産権を事実上認めないという条件付きで採択に賛成した。 先住民族と認定すれば、政治的自決権、土地・資源の返還や、それに代わる補償措置など多くの問題と向き合わねばならないからだろう。 一方、アイヌの人たちは長い差別の影響で、所得水準や進学率などが低いという現実を抱えている。アイヌ民族に対する政府のかたくなな姿勢が、生活向上につながる施策づくりにもブレーキをかけている。 ここは政府に柔軟な対応を求めたい。先住民族として認めるとともに現下の問題、将来の課題を整理して着実に解決していく姿勢が求められる。行程表をつくり、時間をかけることで難問解決の知恵も生まれるだろう。 国会決議の動きと前後して、北海道ウタリ協会は政府に対し、先住民族の認定と諸問題を審議する懇談会の設置を求めた。 国連人権理事会も今月上旬、日本政府にアイヌ民族との対話を勧告している。 政府は懇談会の設置に前向きのようだ。実効ある組織にしなければならない。内外の声を軽視するのであれば人権感覚が疑われよう。 超党派の決議案をまとめた国会議員にも注文がある。決議で一件落着と考えず、アイヌの人々の不利益解消につながる具体的施策づくりに、さらに努力してほしい。 決議案は「これまでのアイヌ政策をさらに推進」とうたうが、道ウタリ協会が望む法制度の整備は盛られていない。これも課題と心得たい。 |
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