長期にわたり廉価商品で高齢者を集め、高額商品を販売する
“宣伝講習販売業者”に集中処分!!
健康不安を抱える高齢者をターゲットに、廉価商品を餌に、巧みな話術で時間をかけて洗脳し、薬効を謳い、次々と高額な健康食品等を販売した事業者7社に業務停止命令
平成20年5月21日
生活文化スポーツ局
東京都ではこれまで、不適正な取引行為が行われている疑いのある業態や業界に対する緊急調査を実施してきました。
今回、催眠商法に類似した新たな手口として、新聞折込みチラシなどで格安の食料品などを提供することにより人を集め、数ヶ月間オープンする会場で健康に関する情報を提供しながら時間をかけて健康食品や浄水器などの高額な商品を勧誘する事業者(宣伝講習販売)の実態について調査しました。その結果、7社について、違反事実が判明したので、本日処分を行いました。
7社は、いずれも、食料品などが格安な値段で購入できるなどと言って高齢者を会場に誘い、数ヶ月にわたり、安価な商品を販売しながら健康についての講習を行い、巧みな話術で健康不安をあおったり、薬事法に抵触するような虚偽説明などにより、最終的に高額な健康食品等を多量に契約させていたため、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条に基づき3ヶ月間業務の一部を停止すべきことを命令するとともに、東京都消費生活条例(以下「条例」という。)第48条に基づき勧告を行いました。
1 処分事業者及び処分内容
(1) 処分事業者名等
事業者名 | 設立年月日 | 資本金 (従業員数) |
直近売上高 |
---|---|---|---|
株式会社ピュア(店舗名:ピュアステーション) 代表取締役 鈴木貞男 (愛知県名古屋市中村区名駅二丁目35番22号) |
昭和62年2月21日 | 1億円 (1,249名) |
356億6,547万円 |
株式会社ホワイティ(店舗名:トピックストア) 代表取締役 石川達也 (東京都武蔵野市吉祥寺本町二丁目4番14号メディ・コープビル8 5階) |
平成13年10月11日 | 3000万円 (85名) |
28億4,273万円 |
株式会社アール・エフ(店舗名:ショップロイヤル) 代表取締役 原田一弥 (東京都品川区東五反田五丁目10番25号) |
昭和63年7月19日 | 1億9000万円 (62名) |
24億3,667万円 |
株式会社ダイユー(店舗名:ダイユー) 代表取締役 鈴木雄嗣 (埼玉県さいたま市大宮区土手町二丁目1番1号) |
平成6年9月30日 | 1000万円 (2名) |
12億4,405万円 |
株式会社ヘルシーライフ(店舗名:ヘルシー館) 代表取締役 酒井慎一 (東京都足立区千住三丁目31番地) |
平成9年4月28日 | 1000万円 (28名) |
7億3,320万円 |
株式会社ビックジョイ(店舗名:ジョイハウス) 代表取締役 野崎松彦 (愛知県名古屋市中村区名駅二丁目38番2号オーキッドビル4階) |
平成10年12月25日 | 1000万円 (23名) |
5億3,088万円 |
株式会社メビウス(店舗名:メビウスヘルスショップ) 代表取締役 加賀谷孝 (東京都杉並区上荻一丁目13番7号) |
平成5年7月21日 | 2000万円 (18名) |
4億7,301万円 |
(2) 特定商取引法第8条に基づく業務停止命令の内容(全社)
明後日から3ヶ月間特定商取引に関する法律第2条第1項に規定する訪問販売のうち、次の行為を停止すること。
ア 訪問販売の契約の締結についてその勧誘をすること。
イ 訪問販売にかかる契約の申込みを受けること。
ウ 訪問販売にかかる契約を締結すること。
(3) 条例第48条に基づく勧告の内容(主なもの)
ア 消費者の不幸を予言し、消費者の健康又は老後の不安その他の生活上の不安をことさらにあおる等消費者を心理的に不安な状態に陥らせる言動等を用いて、契約の締結を勧誘し、または契約を締結させないこと。(全社)
イ 消費者にとって不当に過大な量の商品又は不当に長期にわたって供給される商品の購入を内容とする契約を締結させないこと。(全社)
ウ 消費者に対し、商品が実際のものより優良又は有利であると誤信させるような表現を用いて、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させないこと。(全社)
エ 法律及び条例の遵守について、内部教育等により従業員に徹底すること。(全社)
オ 官公署、公共的団体若しくは著名な法人若しくは個人の許可、認可、後援等の関与を得ていると誤信させるような言動等を用いて、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結をさせないこと。
((株) ピュア、(株) ダイユー、(株) アール・エフ、(株) メビウス)
2 主な手口
7社は、いずれも、同じような手口で、違反行為を行っていました。
(1) 新規開店などと言って、格安の値段で、食パンなどが購入できることを強調したチラシを新聞折込や個別配布により頒布し、消費者を近くに設けた仮設会場に案内する。
(2) 会場はビルの空き店舗などで、入口に会社名の入った看板などがあるが、外部からは中が見えにくい。内部は、いすが並べられ、周りに日用品が陳列してある場合があるが、主力商品は陳列されておらず、話が始まると、扉が閉められるなど、一般の店舗とは、様子が異なっている。
(3) 最初の数日は、100円程度を集金し、食料品を配り、健康の話を毎日1時間程度行う。特に商品の紹介は無く、健康についての話を面白おかしくするために、高齢者は、役に立つと思い引き込まれて、毎日通うようになる。健康が大事であること、健康を失うとどのようになるか写真などを見せて不安にさせる。
(4) 数日後から主力商品の説明に入る(宣伝講習販売)。商品の効能・効果について、実験をしたり、医学博士の研究資料等を用いながら説明するため、健康不安を抱えた高齢者は盲目的に信じ込み、契約してしまう。からだの症状にあわせ、多種類の健康食品等を契約することになる。
(5) 価格について根拠のない相場や今日だけ特別割引、数量限定などと言って煽り、あたかも非常にお得であるかのように誤信させる。消費者の意向を聞くことなく半年から1年分の多量の購入を促す。購入額に応じて会員サービスが行われ、一度購入すると以後絶え間なく契約関係が継続することになる。
(6) 長期間にわたり店に通うため、事業者と消費者の間に絶対的な信頼関係が生まれているため、購入した商品による健康被害や支払い困難に陥るまで被害に遭っていることに気がつかない消費者が多く、問題が顕在化しない。
3 東京都内における相談概要(平成20年3月末現在)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
注) 処分にあたっては、当該事業者の相談件数の他、違反態様や過去の指導歴等を総合的に勘案し、判断しています。 |
4 都内における催眠商法の相談件数の推移
(注:19年度は、暫定値) | ||||||||||||
|
5 今後の対応
業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第70条の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法第74条の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
6 催眠商法及び類似商法の継続的な監視
東京都では、このたび催眠商法及び類似商法の苦情の多い主な事業者について集中的に処分を行いました。しかし、これらの商法は、違法行為が行われやすい販売方法であり、注意が必要です。引き続き相談状況の監視を続け、不適正な取引行為が疑われれば、直ちに行政処分等の対応を行うなど、被害拡大防止のための措置を積極的に行っていきます。
7 消費者への呼びかけ
消費者への注意事項を、別紙のとおりまとめました。
※別紙 消費者の皆様へ
※参考資料1 業務停止命令等の対象となる不適正取引行為の主な例
※参考資料2 事例集
問い合わせ先 生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課 電話 03−5388−3073 |