現在位置:asahi.com>国際>ヨーロッパ> 記事

EU、不法滞在者の強制退去に共通ルール

2008年05月23日22時42分

 【ブリュッセル=井田香奈子】不法滞在の外国人に対して、欧州連合(EU)加盟国が共通のルールで強制送還や強制収容などに臨むことになった。従来、国ごとに対処してきたが、不法移民問題を抱え、統一基準を求める声が強まっていた。

 22日の加盟国大使級会合で合意した。欧州議会の承認を経て、実施される。ルールの原案はEUの欧州委員会が05年に提案したものの、より強力な対応を求める声がある一方で、人権上の懸念もあって調整が難航、4年越しの決着となった。

 対象になるのは、EU域内に不法入国しそのまま滞在、あるいは観光ビザなどで正規入国しオーバーステイ状態になった外国人。新ルールはまず不法滞在者の自発的な出国を促した上で、応じない場合は強制退去処分を適用。一度適用されると、最長で5年間域内への入国禁止となることもある。

 退去処分を進める間の収容期限は現在、加盟国によってまちまちだが、新ルールでは半年を上限に設定。出身国側が調査に協力しないなどの場合は1年まで延長でき、収容期間を最長1年半とした。

 非EU国籍の人は退去強制処分に異議申し立てができ、資力がない人は滞在国が公費で弁護士などをつける。難民申請中の人は申請が棄却されない限り適用しない。

 EUの大半の国が加入するシェンゲン協定域内は旅券審査なしで国境を移動できるため、「一部の国の対応が甘いと影響が他国にも及ぶ」という不満がくすぶっていた。

PR情報

このページのトップに戻る