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「水の押し売り」 名水の里・京都府大山崎町が府を提訴

2008年05月20日

 京都府大山崎町は20日、割り当てられた府営水道の給水量が多すぎ、水道料金が高くなっているとして、府を相手取って07、08年度分の給水量の決定を取り消すよう求める訴えを京都地裁に起こした。水道料金をめぐって市町村が都道府県を訴えるのは極めて異例だ。

写真提訴後に弁護士と記者会見する京都府大山崎町の真鍋宗平町長(右)=20日午後、京都市中京区の京都弁護士会館
写真京都府営水道の水源となっている日吉ダム=同府南丹市日吉町
地図   

 大山崎町は豊富な地下水に恵まれ「名水の里」として知られる。同町は、工業用水はほとんど地下水で足りているのに、よりコストの高い府営水道を必要以上に買わされていると主張。府との交渉が決裂し、自治体同士が裁判で対決することになった。

 訴状などによると、町は98年、工業用水の需要が増えるとみて、同府南丹市の日吉ダムを水源とする府営水道から最大給水量1日7300立方メートルとする協定を府と結び、00年に府営水道を使い始めた。しかし、町内の企業などは安い地下水を利用しているため、工業用水の需要は伸びず、町の水道会計は00年度から約1億円の赤字に転落し、06年度の累積赤字は約7億7千万円に達した。

 06年に水道代引き下げを公約として当選した真鍋宗平町長は翌年2月、給水量を実際の使用量に近い1日3400立方メートルに減らすよう府に申し入れた。府は町に申し入れ撤回を求めたが拒否され、07、08年度の給水量を従来通り1日7300立方メートルと決めた。

 町は訴状などで「府が決定した給水量は使用実績の2倍以上もあり、不必要なことは明白」「町の自治を破壊する決定で、知事の裁量を逸脱する違法な処分だ」と主張。記者会見した代理人の森川明弁護士は「大量に水を押しつけられ、町の財政が破綻(はたん)しかねない状態まで追い込まれている」と述べ、真鍋町長は「毎年ふくらんでいる赤字をこのまま放置するわけにいかない」と話した。

 一方、府の篠宮正巳・公営企画課長は「ダム建設などの費用も水道料金で賄っており、今になって町に水の量の変更を求められても応じにくい」と話す。

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