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社説:羽田国際枠拡大 運用ルールの見直しも課題だ

 航空産業の世界的な競争の中で、日本としても相応の地位を確保していく必要がある。需要が集中している首都圏の空港の活用がそのカギを握っている。

 開港から30年を迎えた成田が国際線、羽田が国内線という形で役割分担をしてきた。2010年には、成田の滑走路の延長と、羽田の4本目の滑走路完成により、発着枠が拡大する。

 しかし、成田の発着枠の拡大には限界があり、羽田の有効活用に目が向くのは、当然のことだろう。都心に近い羽田の国際線枠拡大は利用者にとって利便性が高まるし、東京の国際都市としての機能の強化にもつながるからだ。

 羽田の発着枠拡大のうち、近距離のアジアの都市と結ぶ路線に年3万回をあてることになっている。そして国土交通省は、さらに3万回を国際線に割り当てることにした。成田が利用できない早朝や深夜の時間帯を使い、欧米との長距離路線も羽田から利用できるようにするという。

 激しい反対闘争の影響もあって、成田の利用にはさまざまな制約がある。羽田の国際空港としての機能を強化することによって、成田の役割を補完しようというのは当然のことだ。羽田の国際線枠拡大は前進と言え、成田との一体運用に期待したい。

 しかし、アジアで進む空港プロジェクトと比べると、小出しの対策の域を出ない。オープンスカイという航空業界での自由化の流れに対応するには、長期的ビジョンに基づいた施策が求められる。

 4本目の滑走路が羽田にできても、今後も拡大を続ける航空需要に対応するには不十分とみられている。地方空港が能力を持て余し、成田が十分な対応ができない以上、羽田の機能強化がやはり必要となる。

 羽田のさらなる拡張も選択肢となり得る。しかし、時間がかかる課題だ。ならば、空港の運用のあり方を見直すことによって、機能強化を図る道はとれないだろうか。

 航空機の騒音のレベルは、かつてと大きく違っている。運航技術も向上している。そうした点も踏まえ、発着能力拡大につながるよう、離着陸ルートの見直しなどについて検討してもいいのではないだろうか。

 これは羽田に限ったことではなく、成田についても同様だ。小出し的な対応ではなく、将来の首都圏の航空需要に応じることができるように、設備の増強とともに、運用の改善も行うべきだろう。

 空港は、騒音などの問題から、迷惑施設として位置づけられてきた。しかし、経済的効果も大きい。関西国際空港が完成した後も、大阪空港の存続を地元自治体などが求めているのもそのためだ。こうした点も考慮し、より柔軟な空港運営が行えるよう、関係者の対応を期待したい。

毎日新聞 2008年5月25日 東京朝刊

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