おちおち死ぬこともできないくらい、後期高齢者医療制度が迷走している。とりわけ評判の悪い「終末期相談支援料」は、早々と廃止の雲行きである 治る見込みが難しい時期の治療方針を患者・家族と医師が前もって話し合って文書にまとめると、2千円の診療報酬が支払われる。患者・家族に余分な苦痛や負担を与えまいという立派な建前のように映るが、延命措置中止の強制になりかねない、という批判も強い 終末期医療は、時に1日100万円単位の費用がかかるとか。それにブレーキをかけるのが「相談支援」の狙いであろう。よろいの下から、そろばん勘定がのぞいて見える 押っ取り刀で制度見直しを進める政府・与党に対し、野党は廃止法案を共同で出した。新制度はなかったことにしよう、というだけで、話が進んだわけでも妙案が出たのでもない。2年前に射水の病院で発覚した人工呼吸器取り外し問題があぶり出したように、一筋縄ではいかない医療現場なのである 死ぬ時まで、政治の厄介になる気はない。が、このままでは、死に際まで政治家と官僚に振り回されそうである。
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