「連帯責任だ。全員腕立て伏せ二十回!」―迷彩服に身を包んだ自衛官の怒声が響く。夜が明けない早朝からの寺の掃除や長時間の座禅。「いらー、しゃいー、ませー」と、河原で対岸に向かって大声を張り上げる…。
これらは以前、取材した新入社員研修。学生気分を払しょくさせ、協調性やプロの厳しさを身に付けさせようと、各企業とも力が入っていた。
編集局にも今春、新人記者が五人配属されてきた。昨年に続き研修の一環として、私が担当する若者向けの紙面「ダッシュ」(毎週月曜日付)を手掛けている。
今、新人たちは各大学を回り「ネタ」を収集中。いい情報をつかみ鼻息荒く帰ってくるが、しばらくすると、しょんぼりとした表情に変わることも多い。よく調べるとニュース性が低かったり、撮り直しに行った写真でさえ、またピンぼけだったりと失敗の連続。それでもめげずに何度も足を運んでいる。
社会経済生産性本部は本年度の新入社員を「カーリング型」と命名。企業は「育成の方向性を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、働きやすい環境づくりに腐心する」。しかし「少しでもこするのをやめると、減速したり、止まったりしかねない」。指導者の力量も問われそうだ。
「カーリング型」の一員である新人記者のデビュー記事は二十六日付の「ダッシュ」に掲載予定。内容は「学食の名物メニュー」。五人が岡山県内全大学の学食を巡り、集めた情報をまとめた。新人ともども悪戦苦闘した結果をご覧ください。