東大寺が奈良時代に所領していた荘園の絵図が24日までに見つかった。江戸時代に流出し所在不明になっていたが、民間に所有されていることを奈良国立博物館(奈良市)が確認、購入した。
正倉院宝物となった絵図と並び、地図としては日本で最古級。同博物館は「修復の形跡がほとんどなく、作製時の状況を研究する上で非常に貴重な史料」と話している。
絵図は麻布製で縦77センチ、横141センチ。越中国中心部(現富山県高岡市)の土地を碁盤の目に割り、区画ごとの土地利用の状況を墨字で記している。蛇行した水路や「沼」などの表記もある。天平宝字3(759)年の年号と、東大寺の僧や越中国司の署名が添えられている。東大寺には奈良時代の荘園絵図19点が保存されていたが、うち1点が江戸時代後期に流出。ほか18点は、明治期に東大寺から皇室に献上され正倉院宝物となった。
同博物館は、今回発見された絵図の中に97カ所押されている「越中国印」の朱印が、正倉院宝物となった絵図の印と同一だったため、流出した絵図と判断した。〔共同〕(00:32)